家庭問題のプロに聞きました イマドキの嫁姑事情

離婚カウンセラーとして、さまざまな家庭の悩みを解決に導いてきた岡野あつこ先生に、嫁姑関係を良くするための方法や考え方をうかがいました。

嫁と姑は「夫ファンクラブ」のメンバーです。

ひと昔前の嫁姑の関係といえば、夫の家に入ったお嫁さんが、お姑さんに家風を習うのが一般的でした。しかし、今はお姑さんとの同居そのものが減っていますし、お嫁さんも強くなっていて、ただ言うことを聞くだけではなくなっています。先日、あるお姑さんから、「嫁に料理の作り方を教えても、『ネットにはこう書いてある』と言って聞こうとしない」という相談を受けました。せっかく夫の好きな味を習う機会なのに、もったいないですね。
最近の嫁姑トラブルとしてよく聞くのは、「別居していてたまに会うと、お互いに気を遣いすぎてストレスを溜めてしまう」というものです。だからといって気遣いをせず甘えすぎると、今度は図々しいと思われてしまう。嫁姑は、間に夫が入っているとはいえ、「他人」から関係性が始まるため、良い関係を築けるかは紙一重なのです。

夫の言葉や行動で、お姑さんに不満を持ってしまうこともあります。例えば、夫がお姑さんにお小遣いをもらい、自分のためだけに使ったのを知って、お姑さんのことまで悪く思うようになったという話も聞きました。
お姑さんの「息子にお小遣いをあげる」という行動は善意だったはずなのに、お嫁さんは悪い感情を抱いてしまったのです。
私がよくお伝えするのは、「嫁と姑は、夫のファンクラブ」という考え方です。どちらかが夫を独占しようとすると争いになりますが、「うちの子、良い子でしょ」「夫は誰よりも素敵です」と一緒に応援する気持ちになれば、協力できるはず。「夫のことが好き」という共通の思いを持っているのですから、しっかりコミュニケーションを取れば良い関係を築くことができるのです。

姑タイプ別コミュニケーション術

よくあるお姑さんのタイプごとに、接し方のコツを考えてみましょう!

Syutome Type 1

裏表ありタイプ
「息子を取られたくない」という思いから、裏表のある態度を取るお姑さんがいます。このタイプには、直接話すより、夫に「お義母さんを大事にしてあげて」「お義母さんって素敵な人ね」と、ことあるごとに話し、間接的に“褒め殺し”にするのがおすすめ。夫もあなたも自分に好意を持っていると分かれば、心を開きやすくなるでしょう。

【対処法】褒め殺し作戦

Syutome Type 2

ストレートタイプ
いわゆる口うるさいタイプのお姑さんですが、何でもストレートに言ってくれるということは、あなたを嫁として認め、期待しているということでもあります。このタイプには、「どうしてお義母さんはそう思うんですか?」と、ストレートに尋ねれば、答えてくれることが多いもの。対等に話し、理解を深めていくことが「仲良し嫁姑」への近道です。

【対処法】対等に言い合う

Syutome Type 3

気遣いタイプ
意外に多いのが、お嫁さんに気を遣いすぎて、逆にお嫁さんを疲れさせてしまうお姑さんです。このタイプには、「今日は恩返しをします」と言って、思いっきりお姑さんに気を遣ってみるのをおすすめします。気を遣われる立場になってもらうことで、お互いの気持ちを話しやすくなり、良い距離感を見つけられるはずです。

【対処法】逆に気遣いをしてみる

嫁姑トラブル Q&A

嫁姑関係の中で起こりがちなトラブルについて、岡野先生に答えていただきました!

Q1 お姑さんが、古い家事・育児のやり方を押し付けてきて困っています。

A 違いを受け入れ、お互いを理解する努力を

生きてきた時代が違うため、感覚の違いは仕方ありません。例えば、今の夫婦は親の前でも普通にケンカをしたり、遠慮なく妻が夫に注意することがありますが、お姑さんがそれを見て、「とんでもない嫁だわ」と驚き、態度を急変させたという事例を聞いたことがあります。もしかしたらお姑さんも、あなたを“宇宙人”のように感じているかもしれません。自分の常識だけで相手を否定するのではなく、世代間ギャップはあるものだと思って、お互いを理解する努力をしてみましょう。

Q2 何かと義母が家のことを手伝ってくれるけど、気を遣うしうっとうしいです。

A 手伝ってくれることはありがたいことです

今の若い人は、「家事も子育ても、夫婦で分担するもの」と思い込んでいる人が多いのですが、必ずしもそうでなければいけないわけではありません。お姑さんも家族なのですから、「夫が忙しくてできないことを、お義母さんが手伝ってくれている」と思えば、ありがたいことではないでしょうか。家事サービスやベビーシッターを雇うよりもお金はかかりませんし、お姑さんなら信用できます。「うっとうしい」から「ありがたい」に考えを切り替えるだけで、見方が変わってきますよ。

Q3 お義母さんに相談をしても、話を聞くだけで解決に動いてくれません。

A 姑は、その話を相談だと思っていないかも

もしかしたら、お姑さんはそれを「相談」ではなく、ただの「愚痴」だと思っているかもしれません。お嫁さんと愚痴を言い合える仲になったことを喜んで、それだけで終わってしまっている可能性があるので、具体的にしてほしいことを伝えるようにしましょう。ただし、夫のことを相談する場合、ただの悪口だと受け取られないように、「主人はこんなにすごいんだけど、こういうところには困っていて……」と、尊敬の気持ちを織り交ぜて話すことが大切です。

Q4 主人の実家に行くたび、気疲れするので、行きたくないのですが……。

A 帰省は恩返しだと考えましょう

わざわざお金をかけて夫の実家に行き、慣れていない環境で周りに気を遣い続けるのは大変ですよね。しかし、嫌々行くより、「お義母さんへの恩返しとして実家に行っている」と考えたほうが、気持ちが楽になるかもしれません。お姑さんは、「あなたが好きになって結婚して、今もお世話になっているご主人を育ててくれた人」なのです。面倒だと思いながら気を遣うのと、感謝の思いで気を遣うのとでは、その後の気持ちや疲れ方もまったく違ってくるはずです。

Column お姑さんへのアドバイス

私はお嫁さん側だけでなく、お姑さん側の相談に乗ることも多いのですが、「お嫁さんの気持ちを勝手に解釈してしまうお姑さんが多い」と感じています。例えば「私は嫁を実の娘のように思っているから、向こうもそう感じているはず」と思い込んでいると、善意でしたことが余計なお世話になることも。嫁姑関係であっても、相手の立場で物事を考えることはとても大切だと思います。

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岡野あつこ 

夫婦問題研究家、離婚カウンセラー。日本家族問題相談連盟理事長。夫の浮気による自身の離婚経験を元に1991年、結婚・離婚・再婚相談事業を開始。3万件以上の夫婦問題の相談に携わる。離婚カウンセラー養成講座開講。rikon.biz

タイトル

離婚カウンセラーになる方法 「幸せ」のゴールを一緒に探すやりがいのあるお仕事

離婚カウンセラーになる方法 「幸せ」のゴールを一緒に探すやりがいのあるお仕事

離婚カウンセラーとは、夫婦問題で悩んでいる相談者がどうしたら幸せになれるかをとことん考え、修復でも離婚でも、相談者にとって最善の結果を出すためのサポートをする仕事です。誰かの幸せのサポートができ、自分のペースで働けて、自分の年齢や経験が生かせる〝一生もの″の仕事でお金を稼げるなんて、素敵な生き方だと思いませんか?本書は、起業や副業をしてみたいという方が、離婚カウンセラーとして活躍するための方法やヒントがたくさん詰まった一冊です。