よくあること
「ばばばばばーー!!」
エンゼルプランVのお教室の前の歩道で、3歳くらいの男の子が、泣きながら意味不明の言葉を叫んでいます。(お、やってる、やってる! )
興味津々で近寄ると、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった男の子に見覚えがあります。イケメンのSくんです。彼は運動神経がよく、体操の先生の動きなどもすぐにまねることができ、将来はジャ○ーズかどこかに所属して歌って踊ってるんじゃないかとひそかに期待しています。
そんなSくんが、「地球滅亡か!」ぐらいの勢いで道端で泣いています。まあ、3歳ならよくあることです。しかも、よーく見ると、幼いなりに感情の高ぶりを何とかしようと、せり上がって来るえずきをこらえているのが分かります。(おー、がんばれ、がんばれ)
でも、こらえきれずにまた「ばばばばばーー!!」と叫んでしまいました。(あ、ママのバカ、ね)
そしてついに、「ママギィラァイィィ」と訴え始めました。放っておいてもそのうち泣き止むのですが、ママが、どうしていいか分からない、という顔で泣きそうだったので、助け舟を出すことにしました。
「Sくん、どうしたの?」「おはなしできる? せんせい、聞くよ」でも、Sくんの態度は強硬です。「そっか。まあ、こんなとこで泣いててもアレだから、エンゼルの中に入って、おくだせんせいとあそぼ」
すると突然泣き止んで、ママの袖をきゅっとにぎりました。「えっ、おくだせんせいとあそぼーよー」 今度は、フルフルと首を振って拒否します。「なーんだ、ママがいーのかー」
その後、エンゼルの授業を終えてすっかりいつも通りになったSくんに、お話ししました。「Sくんは男だろ。男だったら、ママを守らなきゃ。ママキライって言ったら、ママ傷つくんだから、もう言うんじゃないぞ」彼は黙ってうなずきました。この約束を、彼は守れるかもしれないし、守れないかもしれない。でも、いいんです。そんなもんなんです。
9割うそ、1割ほんと
子供に「ママキライ」と言われたら、強いママでも傷つきます。でも大丈夫、あれは9割うそ。子供は、何があってもママが大好き。でも、「言うことを聞いてくれないママや、気持ちを分かってくれないママはちょっぴりキライ」。それもホント。そんなもんなんです。それでいいじゃないですか。
ママ、どうか傷つき過ぎないでくださいね。思いつめないでくださいね。子育てって、うれしいこといっぱい、でも、傷つくこともあります。自分の心の傷を見つめ過ぎたり思いつめたりすると、かわいいはずのわが子も、憎らしくなってきます。子供って、ちょっぴり痛いもんだと悟りましょう。そして、許しましょう。まだ上手に子育てできない自分も許しましょう。
どうしていいか分からなくなったら、深呼吸して、肩の力を抜いて、心の中で「あなたがすき、だいすき」と言ってみてください。そんなあなたの小さな努力を、天使が、微笑みながら傍らで見守ってくれていますから。
(「Are You Happy?」2017年4月号)