顔も疲れている
この春は、気が滅入りがちだったのではないでしょうか?
心身の疲れは思わぬところに凝りとして現れます。身体と同様、顔もほぐしましょう。神経、血管が一番多く集まっているのが首から上で、そこをゆったりさせると、翌日、化粧のノリが良くなり、気持ちが軽くなるのが分かります。
コンディションを整える
画面にアップで映る主演女優の顔の状態の善し悪しは、作品の評判に大きく関わります。そのコンディションを整えるのは彼女たちの大切な仕事のうちのひとつで、主演女優の常連である三田佳子さんは、疲れた顔をリラックスさせる方法をいくつもご存知です。
ロサンゼルスのフェアモントホテルで夕食のとき、ロケでくたびれているはずの三田さんの顔に疲れは見えず、きれいでした。
「海外ロケが合っているのですね」
照明さんの言葉に三田さんが答えます。
「いいえ。スプーンでマッサージしているのが良いようね。このホテルのスプーンはシルバーでできているせいか、いっそう効いているみたい」
担当してくれていた日本人の支配人が言いました。「そのせいか、時々ここのスプーンがなくなるんです」
スプーンマッサージ
スプーンを使ったマッサージ方法をご紹介します。まず、お風呂上がり、顔に乳液やマッサージオイルをつけ、準備体操として首を無理のないよう右回り、左回りとゆっくりと数回まわし、次に、目をきゅーとつぼめ、パーッと開く、これを2〜3回行います。そして首を斜め前に倒し、伸ばしたほうの首に出る筋を指で押します。これは両側を行いましょう。次に、スプーンを使ってマッサージをします。大きさはティースプーンほどのもので、柄の丸みを帯びた部分を握ったとき、手にしっくりくるサイズを選んでください。
目頭にスプーン先端の裏の部分を軽く押し当て、皮膚を揺らすようにくるくると回します。同様に目尻、こめかみにも行います。小鼻の脇、ほうれい線に沿って上下に押していき、口の周囲を右左それぞれ上下になでます。これを気持ちの良い程度に繰り返しましょう。気持ちが良いことは凝っていることでもあります。最後に首筋をスプーンで押して終了です(イラスト参照)。
顔に効く気分転換
さて、大河ドラマ「花の乱」のときは、さすがの三田さんも1年にわたる主役の重圧からか、顔に疲れが現れました。そこで、最後の仕上げに散歩を加えることをスタッフから提案したのです。撮影は夜中の2時を回ることもありましたが、三田さんはNHKのスタジオから代々木公園を通って原宿駅まで帰り道を歩かれました。
「深呼吸をしながら歩くと、全身の疲れた血液が新鮮になるようね」
両腕を開いて空気を吸い込み、大きく吐き出します。
「最後まで吐き出すことが大事よ」散歩は、時に高価な化粧品以上に顔に良い効果をもたらします。三田さんは、1年間の長丁場を、その美しさを保ち続けたままやり遂げられました。
1日の終わりに
その日の仕事が終わるとき、三田さんはご自分の顔をなでられます。
「1日ご苦労様、よくがんばってくれました。明日もお願いね」
そして最後に両手で顔を包み、やさしく圧をかけます。
「これ、効くのよ。子供の頃、お母さんになでてもらったのと同じね。くたびれた顔、飛んでけ」
お医者様に言わせると、科学的根拠もあるそうです。1日の終わりに顔をいたわり、明日を迎えましょう。
© K’s color atelier
未知なる場所も ひと手間が 心のお守りに
今月のレッスン
顔も疲れています。ご自身の手で癒やしましょう。
(「Are You Happy?」2020年6月号)
好評連載中
「岡野宏のビューティーレッスン さあ、はじめましょうか!」
第74回 「手首に物語を添えて」
(2023年6月号)