〔今回のお悩み〕
先日、中学2年生の娘が通う学校から呼び出され、娘がツイッターで友達を誹謗中傷する投稿をしたことがきっかけで、クラスメイトのいじめに発展したことを伝えられました。本人は反省しているようですが、SNSをよく使っている娘に、二度とこのようなことが起きないよう、親として伝えるべきことがあれば教えてください。(42歳/千葉県)
中高生のスマホ利用はリスクがたくさんある
今年の6月24日、文科省は、原則禁止としていた中学生の携帯電話・スマホの学校への持ち込みを認める方針を固めました。災害時などの緊急連絡手段として有効とのことです。内閣府によると、2018年度のスマホ利用率は中学生で70.6%まで上がっていますが、防災や防犯に役立つのであれば、私も異論はありません。
しかし私は、携帯・スマホの依存症の弊害について、強く警鐘を鳴らします。中高生時代に、SNSに時間を使いすぎてしまうと、勉強時間が減り、学力の基礎が定着せず、生活も乱れる傾向があります。睡眠障害や、視力低下、昼夜逆転、食欲減退など、心身に問題が生じた子供たちも見てきました。
正しい使い方ができるよう親子で話し合おう
結論を申しますと、今回の出来事を機縁に、娘さんの携帯・スマホの使用を制限することをおすすめします。いじめのきっかけをつくってしまったことに対して本人が反省している間は、SNSの使用をを自制し、使い方をコントロールできる「心」を養う機会にするとよいと思います。帰宅後は、携帯を翌朝までお母さんに預ける約束をしてみてはいかがでしょうか。
もう一つは、ツイッターへの書き込みで、簡単に人を傷つけてしまう恐ろしさを親子で話し合う時間を設けましょう。ネットいじめは、日本全国で頻繁に起きています。まずはお母さんが、SNSをきっかけに世間ではどのようなことが起こっているのか、どういったトラブルに中高生が巻き込まれているのか、といったことを勉強してみてください。
そして、お母さん自身が調べて驚いたことや、初めて知ったことなどを、お説教ではなく、娘さんと語り合うのです。被害者の心の痛みはどうだったのか、相手の立場に立って考えることで、反省も深まるはずです。「何気なく、悪気なく、深い考えもなく」したことが、たいていのトラブルの原因です。しかし、「軽い考えでとった行動によって、加害者にも被害者にもなりうるのだ」と、SNSの危険性を認識することが、再発防止の一歩になるでしょう。
スマホを置いて本を読もう
スマホの機能は日進月歩で、全貌を把握することは難しいですが、まず、大人が知識を得ることが大事です。次に、スマホを置いて、本を読むことの価値や、思索を深めることの尊さを話してあげてください。条件反射的に情報を得るのとは違い、活字を読み、考え、智慧に変えていくプロセスは、心の幸福をもたらします。
ショックな出来事だったと思いますが、娘さんの生活を変えるチャンスととらえ、携帯・スマホの使用ルールを親子で話し合いましょう。もう大丈夫‼
(「Are You Happy?」2020年9月号)