(写真はイメージです)
「今は元気だよ。心配しないで」と教えに来てくれた愛猫
(50代・女性・団体職員)
ずっと以前のことになりますが、私が大学生のころ、メメという猫を飼っていました。とある年末の30日、急にメメの調子が悪くなり吐き続けてとても苦しそうな状態に。年末年始で病院が休みだったので、ずっと付き添っていましたが何もしてあげられませんでした。
2日になって、やっと近所の動物病院に連れて行き、診察台に寝かせたとき、目の前で亡くなってしまったのです。獣医さんから聞いたところによると、近所の人が年末に“猫いらず”入りの毒団子を撒いたらしく、「ここ数日で5匹ほど死んだけど、年末に連れてきた子は助かった」とのことでした。
「年末に連れてきていたら助かっていたかもしれない」。そう思うと申し訳なくて悲しくて、まだ温かいメメを抱きしめながら涙が止まりませんでした。
しばらく自分を責め続けましたが、そんなある日の明け方に夢をみました。メメがいつも使っていた猫ドアから入ってきて、目が合いました。「あらメメちゃん!」「にゃぁ」。とても臨場感のある鮮やかなシーンで、今も鮮明に覚えています。
母に「今朝、メメが猫ドアから入ってくる夢を見たよ」と告げると、「今日は盆の入りだから、帰ってきたんじゃない? 陰膳をしてあげよう」と言いました。
その夜、家族でテレビを見ていたとき、メメの寝息が聞こえてきました。生前から鼻が詰まるので、寝息が大きかったのです。「どこから聞こえてくるのだろう?」と耳を欹てると、“確かにここから聞こえてくる”という場所が特定できました。そこはメメがまだ元気だったころ、いつも寝そべっていた座布団です。「今、メメがここにいる!」。夢の中で見たメメの顔を思い出し、思わず「メメ、今、元気なんだね」と声をかけると、寝息が止まりました。
私がメメの死で自分を責めていたので、「今は元気だよ。心配しないで」と告げにきてくれたのだと思います。猫もお盆に帰ってきてくれるのですね。
愛するペットを見送るのは悲しいけれど、きっとあの世で元気に走り回っているのだと思います。ときには遊びにきてくれるとうれしいな。
(「Are You Happy?」2014年10月号)