魅力アップのための美の実践キーワード

大手航空会社にCA(キャビンアテンダント)として勤務し、現在はHSU(ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ)未来創造学部 芸能・クリエイター部門専攻コースで教鞭をとる愛染美星さんに、「物腰」「言葉」「マナー」「美を見出す」の4つのキーワードから、魅力をアップするための実践ポイントをうかがいました。(2017年3月号)

本当の美

1.物腰(しぐさ)

「美しいしぐさ」というのは、「女性らしさ」や「女子力」をイメージされる方が多いかもしれません。でも私は、いろいろな美しさがあっていいと思っています。海外のCA は、キビキビして男性と対等に話し、自分を隠さない男性的な方が多かったのですが、みなさんとても魅力的に見えました。外見だけで「こうあるべき」と捉えるのではなく、男性的な女性も、女性的な男性も、それぞれの個性や魅力があって美しいと思うのです。

気をつけたいのは、「他の人に見えている自分の外見と中身は結構違うことがある」ということ。例えば私は、外見は女性らしいと言われますが、中身は男性的です(笑)。私の内面を知った人からは、「全然違う」「騙された」なんて言われたこともあり、若いころは人間関係でもずいぶんつまずきました。

「人は見た目が9割」とよく言われていますが、実際に人は見た目で判断して、「こういう人だろう」と、心に鎧よろいをつくって近づいてきますから、最初から期待を裏切るとがっかりさせてしまいます。まずは自分の外見を研究して、外見に沿ったしぐさやふるまいをすること。そして人間関係ができてきたころに、少しずつ本当の自分を出していく。そうすると人は、そのギャップを魅力的に感じてくれるのです。

 

2.言葉(声のトーン・話し方・聞く力)

「声」がとても心地いい方っていますよね。私は、言葉は音とトーン、抑揚を組み合わせて伝える、ひとつの「音楽」だと思っています。クラシックはどんな心境のときでも聴くことができる、天国に通じる音楽だと感じるのですが、クラシックのように、「どんなシーンでも心地よく聴ける音楽を奏でよう」と意識しながら話すと、汚い言葉は出てこないのではないでしょうか。

私自身は「しゃべることが下手」という自覚があるので、「どんな質問をしたら気持ちよく話してくださるかな?」と、いつも考えています。「聞き上手は魅力的」と言いますが、やはり自分に興味を持ってくれる人に対しては好感を持ちやすいものです。私は人付き合いや話すことが苦手で、それを克服したくてCA になったのですが、相手の方に興味を持ち、常に聞く側に徹して質問をしていたら、お客様や仕事仲間の思わぬ魅力に気づくことができました。

特に怖い先輩や気難しそうなお客様には積極的に話しかけていましたが、みなさん外見からは想像できないほど魅力的なキャラクターでした。その方のことをもっと知りたいという思いでお話ししていると、相手の方もちょっと違った目で見てくださります。そうなると苦手な人がいなくなり、本当に楽しい人間関係が展開していきますよ。

 

3.マナー(気配り)

魅力的な方は、例外なく気配りができる方です。具体的には、「エチケット」と「マナー」の違いがしっかり身についていらっしゃる方といえます。エチケットは「髪をとかす」「歯を磨く」など“対自分”。マナーは“対人”ですから、「他の方に不快な思いをさせない」ように心を配ることです。エチケットで人を感動させることはできませんが、マナーを徹底することによって、人に感動を与えることができるのです。

ご本人は頑張って魅力的に見せているつもりなのに、周りから見たら「イタい」人になっている……。そういう方は、“対人”の視点が欠けていて、TPO に関わらず自分が着たいものを着て、自分がしたいようにふるまっているのかもしれません。“対自分”になり“対人”という観点が欠落していると、「自己満足の美」になってしまいます。

「美即悟り」の境地を目指して努力されている人たちの最終目標は、「神の美」に近づいていくことです。周りからイタいと思われてしまう美は、“対人”、“対神仏”への愛が欠如しているのかもしれません。周りの方のことまできちんと考え、ふさわしい身なりやふるまいをする。それができる方が魅力的な方だと思います。

 

4.美を見出す

美は「信頼」であり「説得力である」と感じます。信頼というのは「裏切らない心」です。それが結果的に、あなたの存在に説得力が備わることになるのです。「神仏を裏切らない心」は、「自分も周りの人をも裏切らないこと」であり、それは限りなく美しい精神につながっていきます。そういった姿が、人間としていちばん美しい姿ではないかと思うのです。

私はすべてのものに「美」を感じながら生きています。朝、家を出るといつもすれ違う、杖をついたおばあさんには「これまで本当に一生懸命生きてきたのだろうな」と、その姿に美を感じますし、毎日お店をピカピカに磨いているパン屋のご夫婦の姿も、「今日も家族のためにがんばろう」と駅へと急ぐサラリーマンの後ろ姿も、みなさん本当に美しいなと感じます。日々「美の中に生きている」と感じられることがとてもうれしく、感謝の気持ちがわいてくるのです。

あまり難しく考えず、日常の中に美を見出し、与えられた環境に素直に感謝する。そしていつも心が神仏の方向を向いているか確認して、努力する。それは限りない精進につながっていきますし、人間として一番美しい姿ではないかと思います。美意識の持ち方は、意外と簡単なところから始められるものですよ。

 
(「Are You Happy?」2017年3月号)

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