臼井由妃さんに聞きました 人気が出る人の3つの法則

会社経営に携わるかたわら、これまでコミュニケーション術、仕事術、ライフスタイルなど幅広い分野に渡って50 冊以上の著書を出版。現在も4冊の著書の出版を控えている“人気者”の臼井由妃さんに、人気がでる人の3つの法則についてお聞きしました。

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法則1 人気がでる人は人間が好き♥

「ギラギラ」ならぬ「キラキラ」な気持ちで人に接する

人に好感を持ってもらうためにとても大切なのは、まず自分が、「人が好き」という純粋な気持ちを持つことです。自分は人が嫌いなのに、相手に「好きになってよ」と言うのはおかしな話ですよね。好かれようと思って下心たっぷりで近づいてくる人は、「ギラギラ」していて、それはすぐに見透かされてしまうもの。
大切なのは、心からの親しみを込めて人に接する「キラキラ」とした雰囲気です。この「ギラギラ」と「キラキラ」の「゛」があるかないかの違いが、人に好かれるか嫌われてしまうかの分かれ道になるのだと思います。 私はこの「イメージ」の違いをとても大事にしていて、「今日はちょっとギラギラしてしまいそうだな」というときは、「いやだめだめ、キラキラ、キラキラ……」と自分に言い聞かせるようにしています。

 

相手に見返りを求めない「ギブ&ギブ」の気持ち

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私も若いころは、人に何かをしてあげるとき、お返しに何かしてもらいたいと思う「ギブ&テイク」の気持ちがありました。ですが今、50代になってやっと、「ギブ&ギブ」の見返りを求めない与えきりの気持ちを持てるようになりました。「ギブギブギブ……で、まかり間違ってひとつテイクがきたらラッキー」というくらいの感覚でいます。
昔は、バースデーカードを贈った相手から、自分の誕生日にカードが来なかっただけで、少しめげている自分がいたんです。でも、それは自分が悪いのでも相手が悪いのでもなく、「たまたまそうなんだ」と。むしろ、「人には多くを求めないけど、その代わり私に期待して!」というマインドを持つことで楽になりました。ちょっと格好つけすぎかもしれませんが(笑)。

本来、「人が好き」という気持ちのなかには、「May I help you?(お困りですか。何かしてさしあげましょうか)」の意味が含まれていると思います。だから、「人が好き」という気持ちは、「その人に何かをしてもらいたい」という気持ちではなく、「何かをしてさしあげたい」という気持ちなんですね。そのような「ギブ&ギブの精神」を持った人が増えることで、思いやりにあふれたすばらしい世の中がつくられていくのだと思います。

 

仕事でもプライベートでも「ひと手間」をいとわない面倒見のよさをもつ

また、「人が好き」な人に共通するのは、仕事でもプライベートでも「面倒見がいい」ということなんです。
「面倒を見る」ということを「手間」のように感じる方もいらっしゃるかもしれません。また、度を過ぎてしまうと「おせっかい」になってしまうため、さじ加減も大切です。私は、「手間」までいかない、「ひと手間」と感じるくらいのことをするのがちょうどいいのではないかと思っています。相手の欲しているものがわかったら、「ちょっとやってあげる」「相手より一歩先まわりしてやってあげる」というくらいの姿勢が、人間関係を円滑にしていく上で大切ではないでしょうか。

 

法則2 人気がでる人はいつまでも話していたい人

相手の話を真剣に話を聞く

「人気」ということを考えると、やはり、「話し方」は大切です。まず気をつけたいのが、実は「聞き方」。話し方と同じくらい、聞き方はあなたの印象を左右しているんですよ。

自分が話をしているときに相手がにっこりとした表情を浮かべ、「ああ、そうなんだぁ」「へぇ~」と、あいづちを打ってくれたら、「この人は私の話をちゃんと受け止めてくれている」と感じて、ずっと話していたくなりませんか。人は、自分の話を真剣に聞いてくれる人に好感を持つものです。

大切なのは、相手の話をただ耳で「聞く」のではなく、しっかりと心で受け止める「聴く」をイメージすること。その誠実な姿勢が相手にも伝わり、「この人とずっといっしょに話していたい」と思ってもらえるんです。まず相手の話をじっくりと聞いてから自分の意見を話すように心がけるだけでも、あなたの印象はアップするはずです。

 

ゆったりとした口調で
わかりやすく話す

口調や話すペースも大事です。基本的には、相手のペースに合わせるとよいと思います。人にはさまざまな“話しぐせ”がありますが、早口でマシンガンのように話されると、相手は置いていかれているように感じたり、せかされているように感じて、言いたいことが言えなかったりします。相手のペースを見ながら、どちらかというとゆったりとした口調で話すと好感が持てると思います。

また、特定の人にしかわからない業界用語やカタカナ言葉も、できるだけ避けたいもの。たとえば、「プライオリティーは……」と言われたら、「?」となる人もいると思うんです。「優先順位は……」でいいじゃないですか。そのような“使う必要のない言葉”や“難しい言葉”ではなく、だれにでもわかる言葉を使い、相手に伝わるように話すことが、「いつまでも話していたい」と思ってもらえる、人気者になるための秘訣です。

 

どんな人に対しても
同じ話し方をする

また、意外とみなさん意識されていないのが、「どんな人に対しても、同じ話し方をする」ということです。

私は基本的に、年齢や性別、相手の立場を見て、話し方を変えることはしません。むしろ、若い方にこそ丁寧に話すように心がけています。そのように接してもらった若者は、自分もまた年下の人に同じように接して、「いい循環」が生まれると思うんです。

もし、人を見て話し方を変えていたら、「あの人は年上の人にはヘコヘコするけど、若い人にはけっこう上から目線だよね」なんて、まわりの人から厳しく評価されてしまうということもあるかもしれません。また、人によって話し方をそのつど変えるのは自分も大変。話し方が首尾一貫している人のほうが人気も出ますし、自分も楽だと思います。

 

法則3 人気がでる人はマナー美人

マナーの基本は
「時間を守る」こと

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マナーの基本は、やはり、「時間を守ること」です。私は、仕事で相手先に訪問するときは、最寄りの駅に30分前には到着するようにしています。近くのカフェや、季節がいいときは公園などで、相手に会ったときのことをシミュレーションしたり、見だしなみを整えたりして準備をしています。

さらに、しめ切りのある仕事の場合は、何が何でも納期を絶対に守ります。しめ切り日の前日には提出する。それが難しい場合は、当日の朝一番に提出するようにしています。そのルールを徹底していたら、「臼井さんは仕事がきっちりしている」「臼井さんは信用できる」と言っていただけるようになりました。

「完璧で遅い仕事」よりも「8割の出来で速い仕事」のほうが人に好かれると思います。「完璧」かどうかは相手が判断することですし、相手が完璧だと思うものと、自分が完璧だと思うものは違う場合もありますから。時間を大切にし、「1分でも早く」というように、速さを意識することが、今の時代のマナーだと思います。

 

いつもの感謝を
年末のお礼状で伝える

人間というものは、お世話したことは覚えていても、お世話になったことは忘れやすく、あらためて一年をふり返らないと、意外と感謝の思いが薄らいでいるものです。

私は昨年末から、「年末お礼状」を始めました。12月24日のクリスマスのころから、仕事納めの28日ごろまでは郵便物が少ないため、相手との絆を深める“絶好のスポット”なんです。もちろん、年賀状も出しますが、この期間にお礼状を送ると、とくに印象に残り、たくさん届く年明けの年賀状に埋もれることもありません。この方法は、とくにビジネスシーンにおいて、相手に好印象を与える方法として有効だと思います。

私は、かわいいポストカードや一筆せんに手書きで書いています。また、「○○○○のことでお世話になりました」と、ひとことでもいいのでお礼の内容を明確にし、あまり長文にならないようにします。「前略」や「謹啓」といった、マナー本にあるような堅苦しい形式にとらわれず、「自分らしさ」を大切に、心を込めた感謝の言葉を伝えましょう。あなたもぜひ、今年の年末から始めてみてはいかがでしょうか。

 

あいさつで
心をつかむテクニック

「きちんとあいさつができる」ということも、基本的なことですが、やはり大切なことです。とくにポイントとなるのが、「語尾」。「おはよう」で切ったり、「おはようございます……」とフェードアウトするのではなく、最後までしっかり、「おはようございます」と言うのがポイントです。あいさつに関しては、「照れ」は必要ないと思うんです。

また、みなさんがやっていそうでやっていないことが、あいさつの後に、相手の名前をつけること。「おはようございます、○○さん」と言うことで、「私に言ってくれている」と、特別な感じがしてとてもうれしいものなんです。とくに一日のスタートである朝のあいさつが肝心です。お礼を言うときも、「ありがとうございます、○○さん」と言うと気持ちがこもっている感じがします。相手も同じように返してくれるようになれば、さらにいい循環が生まれますね。

また、何かにつけて「すみません」が口ぐせになってしまっている方はいませんか? 私は、「すみません」はネガティブな感じがするのであまり使わないようにしています。何かをしてもらったときは「ありがとうございます」。また、レストランなどで人を呼ぶ場面では、「お願いします」と言うように心がけています。ぜひ、みなさんも自分の言葉のくせを点検してみてください。

(2013年4月号)

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臼井由妃 

ビジネス作家・エッセイスト・講演家

理学博士・健康医科学博士・MBA・行政 書士・宅建主任者・栄養士 等。33 歳で結 婚後、ガンに倒れた夫の後を継ぎ、会社経 営にたずさわる。現在は、ビジネス作家・ 講演者・経営コンサルタントとしても活躍。 著書に『デキる女は仕上げがうまい』(あさ 出版)、『40 代を素敵にしなやかに生きるシ ンプルセオリー』(アスペクト)など多数。

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