病気を引き起こす 心のメカニズム
病気は、体の弱いところに「心の不調和」が現れることで引き起こされることがあります。「心の不調和」とは、「自己破壊想念」のこと。わかりやすく言うと、主に「くよくよする心」と「イライラする心」のふたつです。
99歳で天命をまっとうされた小説家の宇野千代さんは、「健康で長生きする人の特徴は、くよくよしないこと、怒らないこと」と言っていました。
実際に「私はダメだ」「全部私が悪い」などとくよくよと自分を責めたり、「あの人が悪い」「私の人生を狂わせたのは、あのときにああなったからだ」などと、イライラと人のせいや環境のせいにしていると、やがて心のなかにヘドロのような悪い念い(悪想念)がたまり、自分を破壊する細胞を体のなかにつくりはじめます。それが「心が体に影響する」ということです。
くよくよ・イライラが 免疫力を下げ、病気の原因に
攻撃の矢がくよくよと自分自身に向かうか、イライラと他人に向かうかによって、病気の出方が変わります。女性は夫婦間の葛藤に悩む人が多く、夫に向けたはずの攻撃の矢が結果的に自分に向き、女性特有の器官に病気が現れることも多いのです。
他の人を責める思いも、自己卑下して自分を責める思いも、どちらもあなたを幸せに、健康にはしません。心を正しく持ち、免疫力を上げて病気にかからないようにするには、仏教の教えである「中道」の教えが必要です。
「中道」とは、くよくよ・イライラする、自分や他人を害する心とはまったく違う、愛と調和に満ちた安らかな境地のこと。くよくよしている自分や、イライラしている自分を発見したら、一度立ち止まり、心を点検してみましょう。「この感情はいけない」という思いを発見したら、意識して心のハンドルを「中道」に戻してください。
とはいえ、最初はなかなか自分の心がどのような状態にあるかはわからないものです。静かな時間をとって、ゆっくりと自分自身をふり返ることが第一歩です。
●まずは心を見つめてみて
くよくよ・イライラのほとんどは身近な人間関係からきています。でも、夫も環境も、あなたの選択によるもの。なぜ結婚したのか、その職場を選んだのかなど、静かに見つめ直してみましょう。
●意識して家族や友人のいいところを見つけ、口に出してほめましょう
意識していると、いいところがどんどん見えてきます。それを口に出してほめていると、不思議なことに相手も変わっていくはずです。そして、あなた自身も心がくよくよ・イライラしていないことに気付くでしょう。
信仰に勝る免疫力なし
何よりも病気に打ち勝ち、体の免疫力を上げるのは信仰の力です。「信仰で病気が治る」ことは、世界各地の宗教で、昔から、そして今も起きています。
神仏の存在を信じることで、〝生きている自分〟から〝生かされている自分〟に価値観が転換し、「自分」だけでなく神仏や他の人のお役に立つために生きたいと思っていると、くよくよ・イライラの「自己破壊想念」とは逆の“生きる力”が「積極的善念」となって体中を満たしていきます。そのため細胞が活発化し、免疫力が高まるのです。
強い信仰心と生きる思いが奇跡を呼ぶ
人間は本来、霊的な生き物です。新陳代謝で古い細胞は死滅し、新しい細胞にどんどん生まれ変わっていて、1年前と今の体はまったく違います。信仰を通して霊的なエネルギーが体に注ぎこまれ、さらに活発に新陳代謝をくり返すイメージを強く描いてみましょう。
くよくよしながらイライラすることができないように、人は一度にひとつのことしか思えません。マイナスのことを考えるのではなく、プラスのことで心を満たしておきましょう。明るい未来を信じて、病気や体調が治ったら何をするかを具体的に描いてみるのもいいでしょう。
強い信仰心と、自分に与えられた使命を信じ、神仏や他の人のために生きるという情熱が細胞に伝わり、免疫力をアップし、奇跡を起こしていくのです。
Columnあえて病気になるという人生を決めてきたパターンも
心をととのえ、病気の完治を願っていても、なかなか治らない方もいらっしゃいます。もしかしたら、表面意識では健康を願っていても、潜在意識では病気を望んでいるのかもしれません。
たとえば、つらいことがあったり、プレッシャーで押しつぶされそうなときなどは、病気が言い訳になります。無意識のうちに病気を握りしめていると、なかなか治りません。心をもう一度、点検してみましょう。
また、「カルマの刈り取り」のために病気になる場合もあります。たとえば、「今回の人生では面倒見がよく、周りの人に慕われている方が、その前の人生では、家族に病人がいるのに世話をしなかった」などの場合、カルマを刈り取るために、次は自分自身が病気になる人生を選ぶことがあるのです。
「申し訳ない人生を歩んでしまった。生まれ変わったときにはカルマを清算しよう」という目的のもと、人生の問題集として病気と闘っている場合、完治させないことが神の慈悲ということもあります。厳しい道を選んで生まれてきた方が、懸命に生きる姿を神仏はあえて見守っているのです。
1.くよくよ・イライラしないで明るく生きること
2.自分の心を見つめる時間を取り、素直に反省すること
3.人の「いいところ」を見てほめること
4.病気になってしまったら、そこから学ぶものは何かを考えること
5.日々お祈りの時間をとり、信仰心を深めること
Illustration by Hiro Shimizu
(2013年9月号)