タイムスタディしてみましょう
自分の時間の使い方を細かく分析してみることを、「タイムスタディ」と呼んでいます。たとえば、睡眠にどのくらい時間をとっていますか? 通勤は? 食事には? 身だしなみは? とチェックしていくわけです。
多くの人は、通勤なら「だいたい40分くらいかしら」「私は30分くらい」と大ざっぱにはわかっています。しかし、分単位までは考えていない人が大半なのです。
電車に乗る時間が片道30分としても、往復で1時間。駅から会社まで往復15分なら、1時間15分はかかっています。他も同じで、思いのほか、時間がかかっているものは多くあります。
参考に、タイムスタディのチェック項目をあげておきましょう。
1 睡眠
2 通勤
3 仕事(社内にいる時間・主婦の方は家事の合計時間)
4 食事
5 休けい
6 テレビ、ゲーム、インターネット等
7 学習、自己啓発
8 運動
9 コミュニケーション
10 その他、ライフワーク、趣味等
ウィークデーの平均的な1日をふり返って、自分のタイムスタディを書き出してみましょう。
タイムスタディのポイント
ここでのポイントは3つあります。
1 余計なことに時間をかけすぎていないか
2 やるべきことに時間を十分とっているか
3 自由に使える時間は何分あるか
私が研修をしていますと、あまりにも「余計なこと」に時間をかけすぎている受講生が多くいます。
もちろん「遊び」や「リラックス」は、大切な時間です。しかし、家に戻ってゲームに3時間かけていたとしたら、やりすぎといってよいでしょう。
テレビの観すぎ、休けいのしすぎ、眠りすぎというように、たとえ必要な時間であっても、「とりすぎ」ていないかを、タイムスタディでチェックして、気づくことです。あなたは何に、必要以上に時間をかけていますか?
あなたが「やるべきこと」は、営業の方なら客先に行って商談の時間をとることでしょう。決して、社内でデスクワークをすることではありません。研究開発の方なら研究の時間、ライフワークをお持ちなら、その時間をとること、学生なら勉強すること……。
この、あなたの大切なことに、果たして十分に時間が確保されているかを、タイムスタディによって知っておかねばなりません。どうですか? 不十分ではありませんか?
わかっているけど……
参考までに、研修会では、次の3つが不十分もしくはゼロという人が多いです。すべて、もっととるべき時間です。
① 運動の時間
② 学習の時間
③ コミュニケーションの時間
メタボに悩む人はいますよね。そんな人は、運動の時間をとらなくてはいけないと、皆、よくわかっています。でも、「わかっている」のと「行動する」のは別次元の話といってもいいのです。
学習の時間も、「資格試験に受かりたい。でも、勉強していない」、これでは困ってしまいますよね。家族、友人、大切な人とのコミュニケーションは、「継続すること」が大切です。毎日5分でも時間をとりましょう。ときには相手の話を聞くだけでも立派なコミュニケーションになりますよ。
さて、タイムスタディをしていただいて、最後に「実感」してもらいたいことがあります。実感してもらわなくては困ってしまうくらいの大切なことなんですよ。
自分のために使える時間は?
それは、「本当に自分のために使える大切な時間って、あんまりないかも」ということです。
先のチェック項目をよく見てみましょう。睡眠、食事、休けいなどというような、生きる上で不可欠な時間を差し引いてみます。さらに仕事や家事の時間、テレビ、ゲーム……と引いていきますと、どうですか?
私は、「1日は24時間もあるから大丈夫」なんて安心しないでくださいねと研修のときには言っています。「1日3時間あればいいほう」です。もちろん、本当にあなたが使える、自分の自由になる時間が、です。「時間は貴重なんだ」「使える時間って、あんまりない」と気づいて、タイムイズライフ、時間は人生そのものという意識を持ってください。
そうすればその瞬間、あなたの人生はガラリと変わります。
ポイント
①本当に自分のために使える時間は、意外に少ない。
②「行動する」ことに価値がある。
(2009年10月号)
松本幸夫
ヒューマンラーニング代表 / 人材育成コンサルタント
1958年東京生まれ。著作は170冊を超え、年間約200回行う研修・講演のリピート率は92%という実績を誇る仕事術の達人。主な著書に『百田尚樹に学ぶヒットを生む仕事術』(総合法令出版)『人生がうまくいく「呼吸法」』(PHP研究所)『自己能力を10倍高めるトランスフォーム仕事術』(幸福の科学出版)『超強運』(あ・うん)『図解 スティーブ・ジョブズのプレゼン術』(総合法令出版)など。著作は、韓国、台湾でも翻訳され、ベストセラーとなっている。