いま話題の新国民病・ロコモティブ症候群とは?
体の要は腰!「腰痛予防」でいつまでも輝く毎日を
いつまでも若く美しく年を重ねるためには体づくりも大切。寝たきりにならないよう早いうちから備えを始めましょう。いま話題の「ロコモティブ症候群」と寝たきりの大きな要因の「腰痛」について、医師の伊藤晴夫先生に教えていただきました。
寝たきりリスクが高い「ロコモティブ症候群」
日本人の4人にひとりが高齢者という現代。高齢化が進む日本において、「ロコモティブ症候群」への対策が急がれています。
「ロコモティブ症候群(略称:ロコモ)」とは、「運動器の障害による、要介護リスクの高い状態」のことです。具体的には、加齢や運動不足によって起こる骨や筋肉、関節などの「運動器」のトラブルや、脳梗塞などによる手足のマヒ、転倒による骨折などが原因で歩行が困難になる、寝たきりの一歩手前の状態です。体の機能が衰えはじめる40歳以上の日本人4700万人以上に注意を呼びかけています。
また、寝たきりの隠れ要因ナンバーワンは「腰痛」。「腰の痛みが次第に重くなり、気がついたら寝たきりになってしまった」というケースが増えています。
いつまでも若々しく健康に人生を送るためにも、30代や40代のうちから足腰を鍛え、寝たきりにならないよう予防することが大切です。すでに症状がある方も、寝たきりにならないよう、負担のない範囲で症状の軽減、解消に努めましょう。
まずは、下の「ロコモチェック」で、ロコモティブ症候群の疑いがないかどうかチェックしてみてください。
ロコモcheck
□ 家のなかですべったり、つまずくことが増えた。
□ 階段を上るのに手すりがないと不安。
□ 青信号の間に横断歩道を渡り切れない。
□ 15分以上歩き続けると、やたらと疲れる。
□ 2kg以上の買い物をすると持ち帰るのが困難。
□ 掃除機がけや布団の上げ下ろしなどが困難。
□ 片足立ちでくつ下を履くとよろける。
ひとつでもあてはまればロコモの疑いあり!
次のストレッチで体の要「腰」を鍛えて、寝たきりを予防しましょう。
すでに腰痛がある人は
腰のまわりの筋肉を伸ばすストレッチ
1.背中を丸めて腰を伸ばすストレッチ
①足を肩幅より少し広めに開き、背筋を伸ばして椅子に深く座る。
腕を胸の前で交差させ、手を肩にそえる。
②息を吐きながら、おじぎをするように背中を丸める。
30秒ほど姿勢を保ち、息を吸いながら元の姿勢に戻す。
2.片足を抱えて腰を伸ばすストレッチ
①ひざを立ててあお向けに寝る。
②両手で片ひざを抱え、痛みが出ないところまでひざを胸に近づけて姿勢を保つ。
30秒ほど経ったら、ゆっくりと元の位置に戻す。
3.わき腹を伸ばすストレッチ
①両ひざを床につき、左手は腰にそえ、右腕を真上に伸ばす。
②息を吐きながらゆっくりと体を左に傾かせる。
30秒ほど姿勢を保ち、息を吸いながら元の姿勢に戻す。
右側も同様に行う。
腰痛がない人は
腰痛予防のためのストレッチ
1.腹筋トレーニング
①足を肩幅より少し広めに開き、背筋を伸ばして椅子に浅く腰かける。
腕を胸の前で交差させ、手を肩にそえる。
②息を吐きながら、背もたれに背中がつかないよう、上半身を後ろにゆっくり倒す。
10秒ほど姿勢を保ち、息を吸いながら元の姿勢に戻す。
2.背筋トレーニング
①お腹の下にクッションや座布団を敷いてうつぶせに寝る。
両手はひじを伸ばして身体の横に置く。
②あごを引いて上半身をゆっくり起こす。
1cmほど身体を起したら、10びょうほど姿勢を保ち、元の姿勢に戻す。
2.お尻の筋肉を鍛えるトレーニング
①両ひざを立ててあお向けに寝る。
②床から腰を浮かせて、お尻を左右に振る。
(「Are You Happy?」2013年5月号)
伊藤晴夫
医学博士、 メディカルガーデン整形外科院長 元東京厚生年金病院副院長
1946年生まれ。メディカルガーデン整形外科院長、医学博士。71年、岐阜大学医学部卒業。76年東京厚生年金病院整形外科に勤務。同病院整形外科部長、副院長、名古屋大学医学部臨床教授を歴任。オリンピック強化スタッフ、全日本柔道連盟医科学委員などを務め、数多くのスポーツ選手の治療に携わる。専門は股関節をはじめとする人工関節の研究と臨床。『ためしてガッテン』(NHK)などTV出演多数。