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子供たちとの関わり方に悩んでいます。〔竜の口法子校長の熱烈エール もう大丈夫!〕

〔お悩み〕
私は中学2年生になる息子と、小学6年生の娘の父親です。子供たちも思春期に入り、受験も迫ってきているので、妻からは子育てにもっと積極的に関わってほしいと言われます。しかし、数年間単身赴任をしてきて、現在も帰宅は夜遅くなることが多く、これまで子育てはほとんど妻に任せてきました。そのため子供たちとは距離感ができてしまっています。父親としてどのように関わっていけばいいのでしょうか。(愛知県/43歳)

父親が子育てに関わる難しさ

社会を見渡すと、「父親も子育てに参加すべきだ」という流れが強くなっていますが、実際に学校の保護者の集いに出席するのは、圧倒的に母親が多いです。というのも、男性は結婚すると、独身のときより仕事をやり遂げる能力を1・5〜2倍くらい成長させないと、能力的に破綻すると言われているのです。子供ができても仕事一筋で、気づけば家庭についてのノウハウが身についておらず、どうしたらよいか分からなくなり、仕事に逃げてしまう男性もいます。

いざというときは相談できる関係になる

まず、子育ては本能的、直観的にできるものではなく、人から教わったり、経験したり、努力したりしていくうちに熟練度が上がっていくものなので、あまり気負わないことです。まずは、短い時間でよいので、お子さんたちとコミュニケーションをとることから始めましょう。中2のお子さんは反抗期まっただ中かもしれませんが、進路や将来の希望など、父親だからこそ伝えられる話もあるはずです。息子さんにとってのよき相談相手、よき理解者となるよう心掛けましょう。女の子は中学生以降、一時期父親と距離を取り、友達との世界観の中で生きていこうとする子もいます。なので、今の時期に、休みの日に一緒に出かけるなど愛情を表現し、信頼を得ていくことが大事です。お子さんたちが「いざというときは、お父さんに相談できる」と安心感を持つことができたらよいのではないでしょうか。

子供の出来、不出来は幸福の条件ではない

また、子供の人生を心から尊重することも大切です。子供は親から影響を受けるものですが、その影響は、親が何かしてくれたという直接的影響だけでなく、「親の人生そのものの中に潜むもの」が子供に与える間接的影響もあります。例えば、親が人生で達成できず悔しく思っていることを、子供が感じ取って実現しようとしたり、逆に反発したりする場合もあります。こうした親自身の潜在意識を点検し、親とは別の人生を生きていく子供たちの個性や強みを発見し、尊重し、心から愛し、伸ばす手助けをしてほしいと思います。

子育てには、自分の半生を振り返るような側面があるので、子育てに関わることで、さまざまな発見や豊かな人生経験を得られるでしょう。一点注意することがあるとすれば、子供の出来、不出来を夫婦の幸福や結婚維持の条件にしないこと。子供はいずれ親元を離れます。子供からの恩返しは、子育ての過程で得られた多くの経験で十分だと思い、「自分が親から受けた愛をお返ししているのだ」という気持ちで子育てできれば、楽しんで向き合えるはずです。もう大丈夫!!

(「Are You Happy?」2022年1月号)

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