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早期教育・英才教育について 真剣に考えてみよう!〔子育て110番〕

親の本音と、社会の現実

早期教育・英才教育塾に子供を通わせている親御さんへのアンケート記事を読んだことがあります。「なぜ子供に英才教育をさせるのですか」という質問に対して「将来のためによりよい教育を受けさせたいから」という答えが多かったのですが、「エスカレーター式の私立小学校に入れたら苦労が少なそうだから」「将来、苦労しないように早くからエリートコースを歩ませたいから」といった声も載っていました。

果たして、幼少期に特殊な能力教育や知的英才教育を行えば、人生の成功が約束されるでしょうか? 将来、楽に人生を生きられるのでしょうか?

残念ながら、人生はそんなに甘くありません。たとえお子さんが本物の早熟の天才だったとしても、現代という時代は、それだけで成功できるような甘い時代ではありません。これだけ変化の激しい時代の中で、エリートやリーダーであり続けるためには、一体どのような力が必要なのでしょうか。

また、子供が将来、生きがいや幸福感、使命感を持ちながら、成功だと思える人生を力強く歩むためには、どんな力を身につけさせてあげればよいのでしょうか。

 

成功のための必要条件

私が考案した「リアル人生ゲーム」というボードゲームを使って、一緒に考えてみましょう。
このゲームのプレーヤー(人生の主役)はあなた、もしくはあなたのお子さんです。ゴールは「成功といえる人生」、または「幸福な人生」。

まず、あなたは人生のスタート地点で、数あるスキル(技能)やステータス(地位)の中から3つだけ選ぶことができます。さて何を選びますか?

A アスリートになれる身体能力
B 天才的な音楽の才能
C 類稀なる文才、あるいは画才
D 東大に入れるくらいの頭脳
E 莫大な親の財産
F 王侯貴族の地位
G 美しい容姿・抜群のスタイル
H 強靭な精神力・意志力
I 努力し続ける力
J 勇気
K 高い志・理想
L 幅広い人間性
M 利他・愛他の心

A~Dの能力は、人から「天才」といわれやすい分野ですが、人生を捧げるほどの努力をしなければ一流にはなれません。また、才能に見合う優れた人間性を持っていなければ、身を持ち崩すこともままあります。
E~Gは、どれも、いつ失うかわからない儚いものばかりですね。

H~Mは、人間としての真の実力といえる力です。時代が変わり社会が変動しても、これらの力があれば、自分で運命を切り開くことが可能です。ただし、現実にこれらを手に入れるためには、子供時代からの宗教的教育や良質の情操教育、さらに継続的な自己鍛錬が必要です。これこそ、現代にマッチした未来志向の英才教育といえるのではないでしょうか。

私としては、DとH~Mすべてをわが子に贈りたいところですが、あなたは、自分自身に、あるいはお子さんに、どんな贈り物(教育)をしたいですか?

Illustration by Mika Kameo

(「Are You Happy?2015年2月号)

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奥田敬子 

早稲田大学第一文学部哲学科卒業。現在、幼児教室エンゼルプランVで1~6歳の幼児を指導。毎クラス15分間の親向け「天使をはぐくむ子育て教室」が好評。一男一女の母。

 

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