第一印象をグッとよくする会話力

「最初は苦手だったけど、実はいい人」より、「最初から好印象で、話してみるともっといい人」になりたいもの。人前で話すプロを養成する「Oh! YEs」のおふたりにきいた第一印象をアップする会話のコツをお届けします。

 

会話で好感を与える「質問力」

第一印象アップのコツ

短時間で初対面の相手との心の距離をグッと縮める方法、「質問力」についてお伝えします。

それは、「共通項」を見つけること。出身地が同じというだけで友達になったような気分になったり、趣味が同じだとわかったらまた話したいと思ったり、案外単純なことで人の心は開くものです。

この共通項探しをせずに自分が話したいことだけを話してしまうと、心の距離がむしろ離れてしまいます。

 

上手な質問で会話のキャッチボールを

ではどうやって共通項をみつけるかというと、上手な質問で会話のキャッチボールをすることです。

コツはふたつ。ひとつ目は質問を選ぶことです。初対面の人に聞いてもいい質問と、聞いてはいけない質問をしっかり使い分けましょう。

ふたつ目は、「私は××ですが、○○さんは?」というように、自己開示をしながら質問を投げかけるという方法です。

また、相手から質問された場合にも、「△△ですが、○○さんは?」と質問で返しましょう。この質問力については次ページでくわしくお話しします。

 

相手の興味を知る“裏ワザ”

さらに、もう一度会いたいと思わせる会話のコツとして、「すべては話さない」という“裏ワザ”もあります。

恋愛でもテレビ番組でも、いいところで「また今度ね」「続きは次回」となると、次が気になるのが人間心ですよね。これがうまくいくと、「こないだ言ってたあれって何のこと?」と相手のほうから聞いてくるので、興味がある分野がわかり、さらに相手が喜ぶ内容を話せるようになるのです。

質問力を発揮して、「会えてよかった」「また会いたい」と思われる人になりたいですね。

 

Lesson.1 質問力

「自分は話題がないから会話が続かなくて……」という悩みをよく聞きますが、そうした方は簡単な質問からはじめてみることをおすすめします。

あるベテラン美容師の方は、「天気の話がいちばんよぉ」と言っていました。お天気、季節の話題、出身地、スポーツ……このあたりの質問は会話の糸口にピッタリです。そこから会話のキャッチボールを続ける中で共通項を見つけることができれば、相手と人間関係を作ることができますよ。

質問力

 

<単純な質問>

知っておくべきことは、相手を傷つけてしまう質問もあるということ。初対面でもOKな質問とNGな質問を頭に入れておきましょう。
 
初対面でもOKな質問の例
○天気の話題「昨日は雨に降られませんでしたか?」
○季節の話題「お花見には行かれましたか?」
○出身地の話題「ご出身はどちらですか?」
○スポーツの話題「昨日の○○の試合は見ましたか?」
 
初対面ではNGな質問の例
○結婚の話題「ご結婚されてるんですか?」「ご主人は?」
○子どもの話題「お子さんはおいくつですか?」
○両親の話題「ご両親は何をされているのですか?」

 

<自己開示型の質問>

まずは自分のことを軽く話した後に、同じことについて相手に質問してみましょう。
○スポーツの話題「私、フィギュアスケートを観るのが好きで。○○さんは好きなスポーツはありますか?」
○季節の話題「ここ数年、花粉症になってからは春が苦手で……。○○さんは大丈夫ですか?」
○子どもがいることがわかっている人なら「うちの子、夕飯食べるとすぐに自分の部屋に行ってしまうけど、お宅のお子さんは?」
○職場の同僚なら「この近くにおいしいパン屋さんを見つけたんですが、○○さんはどこかお昼によさそうなお店知りませんか?」

 

Lesson.2 見た目と声

会話を始める前提として大切なのが見た目と声のトーンです。

見た目を整えた上でおすすめしたい、会話のコツ。キーワードは「相手に合わせること」です。

見た目と声

 

<声のトーン&テンポ>

まず、声のトーンとテンポを相手に合わせるように心がけてみましょう。相手が興奮気味に話をしているときに、ゆったりと受け答えをしていては気分が冷めてしまいますし、相手が悲しんでいるときに矢継ぎ早に質問したり、かん高い声を出したりしては話しにくくなってしまいます。自分が「鏡」になったつもりで、会話をしてみてください。

 

<体の向き&動き>

しっかり相手の話を聞こうと思えば、体は話している人のほうに向きますよね。とくに上半身を相手に向け、目線も適度に合わせることが大切です。また、体の動きも、相手に合わせてうなずいたり驚いたりすると、相手は話しやすくなり、あなたの印象もよくなりますよ。

「座る位置は正面より直角がgood」

人と話すときの位置関係は、正面よりも直角の位置に座って話すほうが、いい雰囲気を作りやすいと言われています。正面に座ると、対決や対立のようなイメージになりやすいからです。

 

≪いろいろな場面で質問力を発揮してみましょう≫

<ケーススタディ①>

学校の保護者会
保護者会の場では、「お子さんは男の子ですか、女の子ですか?」「何先生のクラスですか?」など、子どもの話題から入るのが自然です。一般的な場合はNGですが、ここでは子どもが「共通項」ですからどんどん聞いてみましょう。子どもの友達や最近流行っている遊び、先生の評判や他の親御さんの教育方針など、メールやインターネットからでは入ってこない情報を得る場として、活用したいですね。
目的は…
◦子どもの様子や子どもと仲良しの友達の情  報を得る
◦先生の評判や噂などの情報を得る
◦他の親御さんの教育方針などを知る

 

<ケーススタディ②>

職場の人間関係
職場では、その仕事や会社がお互いの「共通項」。「どうしてこの会社に入ったのですか?」「この部署にはいつから?」などの話題から入っていくと、初対面でも会話を始めやすいでしょう。職場の人間関係はある程度長く続くので、誰しも仲良く働きたいと思っているもの。うまくいかないという人は、たいていの場合、相手が質問してくれているのに質問を返さないか、もしくは一方的にしゃべっているかのどちらかです。質問力を高めて、楽しく働ける環境をつくりましょう。
目的は…
◦一緒に働く人たちと打ち解ける
◦上司や同僚のことを知る

 

<ケーススタディ③>

セミナーやパーティー
自己啓発セミナーやパーティーで場違いな恰好をしていると、会話を始める以前に人が近寄ってきてくれないので、普段以上に服装などに気を使いましょう。共通項はその場に参加しているということなので、話が合いそうな人をみつけたら、参加した理由の話題から入っていくと話を進めやすいでしょう。また、自分の名刺に会話のきっかけになりそうな仕事内容や自己PRを書いておくのもおすすめです。その後の人間関係も築けるような第一印象を残したいですね。
目的は…
◦気の合う人や仕事につながる人と仲良くなり、後日連絡を取り合う(メール、フェイスブック、手紙など)

(「Are You Happy?」2013年5月号)

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Yuko ANZAIとEmiko ITOによるユニット。コーチングや人前で話す人材養成を行っている。

 

Yuko ANZAI 会社員、海外ひとり旅を経て、アメリカの会社で国際ビジネスの立ち上げに携わりながら、コーチ ングを本格的に学ぶ。現在は、経営者や組織リーダー向けにコーチングを中心としたサポートを行う。国際コーチ連盟会員、生涯学習開発財団認定コーチ、 (社)日米コピーライトオフィス会員。

Emiko ITO 20代で選挙ウグイスのトレーニングを受け、国政選挙を含む数々の選挙戦を経験。結婚、子育てで 一旦退くが、郵政選挙と言われた2006年衆院選で復帰。その後プレゼンテーションマスターコースを修了し、現在、表現力の高い話し手の養成と自らのライ フワークである食育講師として活躍。