
お葬式といえば、2日間かけて通夜式・告別式を行い、遺族や故人の友人・知人が数多く集うイメージがあるが、近年、都市部を中心に葬儀の簡略化が進んでいる。その問題点とは。
「一般葬」以外のお葬式が増えている
都市部では、「一日葬」や「直葬(ちょくそう)」といった簡易な形式のお葬式の割合が増えている。
直葬(ちょくそう)
通夜式や告別式、葬儀を行わず、火葬場ですべて終わらせるもの。お坊さんを呼んで読経をしてもらうケースもある、なかには読経すらなく、火葬の前に10分間のお別れの時間を取るだけのプランも。主に経済的理由で選ばれる方法で、近しい親族のみが集まる。終活関連の情報サービスを行う鎌倉新書によると、大都市で直葬の割合が高い傾向があるという。儀式を行わないため、納骨する際に菩提寺(ぼだいじ)がお墓に受け入れてくれないといったトラブルも。
費用:20 ~ 30 万円
参列者:10 人まで
所要時間:火葬場で1 ~ 2 時間
メリット:時間や費用がかからない
デメリット:気持ちを昇華できずに
喪失感が長引く場合も
お坊さん便
地方から都会に出てきて菩提寺とのつながりがなくなった人などのために、インターネットでお坊さんを手配するサービス。直葬などでお経を5分間だけあげるプランもあり(戒名込みで5 万5000円)、大手インターネット通販サイトのアマゾンから注文できることでも物議をかもしている。
一日葬
会葬者の高齢化や遠方から来る人の宿泊費がかかるなどの理由で、2日間に渡らないようにするために通夜式を執り行わず、葬儀・告別式と火葬を1日で行うもの。親族だけで行う家族葬などで増えている。直葬だと親族が納得しない場合などに選ばれることも。
費用:30 万円~
参列者:30 人までなど
所要時間:1 日
メリット:会葬者の負担が抑えられる
デメリット:お別れの時間を充分にとれず、
参列できない人が出やすい
Column 「四十九日までにやるべきこと」
数多くの手続きや葬儀で混乱しないために、注意点とともに整理。
❶ 死亡診断書
医師から死亡診断書を受け取ったら、その左側の死亡届に必要事項を記入して市区町村役所に提出する。葬儀会社が決まっていたら、代行してもらう。
注意点
葬儀後の諸手続きに必要になるため、死亡診断書のコピーを取ってから提出する。銀行口座は名義人が亡くなると動かせなくなるので、遺族は当座のためにまとまった現金を用意する。
❷ 遺体の搬送
病院で亡くなるとすぐ搬送を求められるので、葬儀会社に連絡して手配をする(病院によっては翌朝まで霊安室に安置してもらえる)。
注意点
病院から紹介される葬儀会社に搬送だけをお願いしてもよいが、その後の葬儀も請け負いたいと言われると断りにくくなるため、依頼する葬儀会社を事前に決めておき、そこに搬送もお願いした方がトラブルが少ない。
❸ 葬儀の打ち合わせと周知
葬儀会社と通夜や葬儀・告別式について決めていく。遺影写真などを用意する。菩提寺の住職にお願いする場合、住職の都合を確認して日時を決める。
注意点
どこまでの関係者に知らせるかによって葬儀会場の規模が決まるので、伝える人は慎重に決める。
❹ 通夜(つや)
本来は故人と縁の深い親族だけで葬儀前に一晩中故人に付き添い、別れを惜しむこと。最近は通夜式がメインで葬儀・告別式は親族・友人主体ということも多い。
❺ 葬儀・告別式
葬儀は亡くなった人を送る儀式で、告別式はお別れをする式のこと。葬儀と告別式を一体としている場合が多い。幸福の科学式では合わせて帰天式(きてんしき)としている。
❻ 火葬
葬儀・告別式を終えると出棺し、火葬場で火葬される。骨上げを行い、火葬場から埋葬許可証を受け取る。
❼ 初七日(しょなのか)
親戚などと法要を行い、会食して故人をしのぶ。葬儀の当日に行うこともある。幸福の科学式では亡くなってから7 ~ 10日の間に初七日法要を行う。
❽ 四十九(しじゅうく)日法要
仏教では、極楽浄土に行けるか否かを閻魔(えんま)大王に判定されるのが49日目とされる。幸福の科学でも故人の魂はこのころまでにはこの世を去らなければいけないとされている。
散骨、自然葬、樹木葬など
火葬した骨を海や山、木の下などに散骨する埋葬法。「自然に還かえりたい」として積極的に選ぶ人と、子供がいない、墓から遠距離に住んでいるなどで「墓を維持できないから」と消極的に選ぶ人とに分かれる。
手元供養
火葬後の遺骨をさらに焼いてオブジェにして自宅に安置する、またはアクセサリーとして身につける方法。散骨を選び、墓がないため供養の対象が分からなくなるとして残した遺骨の一部を加工する場合や、「一緒にいたい」という遺族の願望を形にする場合も。
葬儀の本来の意味は故人に自身の死を自覚させること
都市部を中心とした変化ではあるものの、葬儀の簡略化は着実に進んできています。これには、社会構造の変化という仕方のない要因もあります。
葬儀の意味やしきたりを世代を超えて引き継いできた地域共同体は、都市部への人口流出によりその機能を失ってし
まいました。転勤族である子供に墓を守らせるのは申し訳ないと、あえて墓に入らない人もいます。また、高齢化が進んで葬儀参列が難しい人が増え、介護費用がかさんで十分な資金を残せないことも、簡略化の要因にあげられるでしょう。
やむをえず簡略化を選ぶ人たちがいる一方で、葬送儀式を行わない人の中には「葬儀にお金をかけたくないから」という人もいます。しかし葬儀の意味を知れば、考え方も変わってくるのではないでしょうか。
日本人は古くから、先祖の霊は山や川にいて、お盆などに家に帰るという死生観を持っていました。「御先祖様が見ている」という言葉は、その通りの意味で使われていたのです。
江戸時代、幕府の指導で檀家制度が広がると、今の葬儀の原型である仏式の葬送が庶民に普及します。先祖の死後の平安を願う人々の気持ちに沿うものだったからです。諦めさせる行為を意味する「引導(いんどう)を渡す」とは、もともと仏教用語で、「死者に自らの死を受け入れさせる」ことを意味しました。葬儀は本来、故人が自身の死を自覚するためのものだったのです。
苦しみも悲しみも希望に変わる 霊的人生観 好評掲載中!



