
<動悸の主な原因>
・ 睡眠不足
・ 過労
・ 緊張や心配事
などのストレス
動悸の原因はいくつかありますが、まずは脈拍の状態を確かめてください。脈拍が速かったり不規則な場合は、心臓の疾患やバセドウ病、脱水、貧血などが疑われるので、医療機関での診察をおすすめします。そうではなく、脈拍は普通なのに心臓がドキドキするときは、漢方での対応が可能です。
鼓動を必要以上に感じてしまう感覚過敏や、緊張や心配事があって心臓がドキドキする――その原因の一つは睡眠不足です。
睡眠不足による過労やストレスは、動悸など何かしらの症状で体に現れます。自分では気づかないことが多いので注意が必要です。
東洋医学的には、動悸の人は「気逆(きぎゃく)」と考えられます。普通、気は上から下へ流れるのですが、それが逆になっている状態です。そのときに一番いいのは深呼吸です。ゆっくり深く呼吸をすることで、気の流れを正常に戻すことができます。生活面では、できるだけリラックスを。また、動悸がある人は早食いの人が多いので、普段からゆっくりよく噛んで食べることを心がけましょう。
漢方では、炙甘草湯(しゃかんぞうとう)が動悸の予防にも頓服にも使えます。息切れがある人におすすめです。交感神経が上がっているときや、舌の先が赤い人には釣藤散(ちょうとうさん)を。頓服には半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)がおすすめで、特に喉がつかえやすい人によく処方します。慢性的に動悸があり、体力が落ちている人には桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつほれいとう)が効果的です。
夏バテにもぴったり!気の流れを整えて動悸を鎮めるレシピ うなぎとゴーヤのチャンプルー
【材料】(4人分)
うなぎのかば焼き…1尾
ゴーヤ…1本
卵…3個
【作り方】
1 油を熱したフライパンに、種とワタを取り除いて薄切りにしたゴーヤを入れ、ふたをして蒸し焼きにする。
2 ゴーヤに火が通ったら、一口大に切ったうなぎも入れ炒める。
3 かば焼きのタレや塩などで味つけし、溶き卵でとじる。
うなぎは気の流れを整え、苦みのあるゴーヤは動悸を抑える効果があります。豆腐や油揚げを入れるとさらに栄養価がアップ。
自律神経のバランスを整える!心を落ち着かせるツボ「老宮(ろうきゅう)」

手を握って中指の先が当たるところにある「老宮」は、心を落ち着かせ、ストレスを緩和してくれるツボです。
Column 漢方は一回2袋がおすすめ
副作用がなく、安心して服用できる漢方は、効き目もゆっくり穏やか。「効果を早く感じたい」という人は、一回に2袋飲むのがおすすめです。私はどの漢方も、いつも2袋飲んでいます。
おすすめ漢方薬
息切れがあるときに 炙甘草湯(しゃかんぞうとう)
舌の先が赤い人に 釣藤散(ちょうとうさん)
頓服に 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
慢性的に動悸がある人に 桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつほれいとう)
(「Are You Happy?」2022年9月号)
小林城治
精神科・心療内科医
医療法人社団ヘルメス会「J戸越銀座クリニック」理事長。
高い実績を認められた復職支援(リワーク)の専門機関、薬だけに頼らない療法で社会復帰をサポート。現代書林『赤ひげ名医シリーズ』に掲載他、日本テレビ『ニュースゼロ』TV東京『ワールドビジネスサテライト』等、テレビ出演も多数。
書籍『2014最新版 現代の赤ひげ 医療最前線の名医12人』に選ばれている。