
<薄毛・抜け毛の主な原因>
気逆 ストレス
血虚 貧血、栄養不足
腎虚 老化
東洋医学では、髪のことを「血余(けつよ)」と言います。頭皮の血行が悪いと薄毛や抜け毛の原因になるように、髪は血液と大きく関係しているんですね。
さらに東洋医学では、抜け毛・薄毛の原因は、「気逆(きぎゃく)」「血虚(けっきょ)」「腎虚(じんきょ)」の3つだとされています。
「気逆」は、気の巡りが悪くエネルギーが落ちている状態で、主にストレスによって引き起こされます。「血虚」、貧血や栄養不足のことです。特に無理なダイエットをしている人は気をつけましょう。
「腎虚」は、いわゆる老化です。年を取るとだんだん髪のツヤがなくなったり白髪になったりしますが、更年期になると薄毛の悩みも増えてくるようです。
食事面では、ストレスがたまっている「気逆」の人は、香りの良いセロリや春菊などが気分を落ち着かせてくれます。貧血で栄養不足の「血虚」の人には、ドライフルーツやナッツ類、「腎虚」の人には、うなぎやイカ、シジミなどが症状の改善に役立ちます。
漢方では、気逆の人は桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつほれいとう)を。
比較的体力がある人には柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつほれいとう)が効果を発揮します。
円形脱毛症にはこの2つがおすすめです。血虚の人は、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)を食後に服用しましょう。肌の乾燥や爪の状態も改善してくれます。さらに効果を補いたいときは、これに四物湯(しもつとう)をプラスします。腎虚には八味地黄丸(はちみじおうがん)を。この漢方は、長期的に継続するより、疲れを感じたときに飲むとよいでしょう。
髪のお悩みに効く3つのツボ 薄毛・抜け毛を予防・改善!

百会(ひゃくえ)
両耳の一番高いところを結んだ線と、眉間と頭頂部を結んだ線が交差するところにあり、育毛を促進し脱毛を予防します。
天柱(てんちゅう)・風池(ふうち)
後頭部にある天柱と風池の2つのツボ押しで血行を改善。特に後頭部の抜け毛の緩和や円形脱毛症に効果があります。
ツボの押し方
強く押しすぎず、気持ちいいと感じる程度の力でゆっくり3~5秒かけて押し、同じくゆっくり3~5秒かけて手を離します。食後すぐは避け、1カ所につき2~3分を目安に。
Column 自然界に存在するものはすべて薬になる!?
お釈迦様と同じ時代のインドに、ジーパカという名医がいました。ジーパカがまだ医術を学んでいた見習いのとき、卒業試験で「町中をくまなく探し、人体にとって薬にならない物があったら持ってくるように」という課題が与えられました。数日後、ジーパカが手ぶらで戻ったところ、卒業が許可されたといいます。これは「自然界にあるもので薬にならないものはない」ということを教えてくれています。この考え方は、今でもインド伝統医学・アーユルヴェーダの最高原理の一つとなっていて、これは漢方の考え方のルーツでもあります。
おすすめ漢方薬
気逆 定番漢方 桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつほれいとう)
体力がある人に 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつほれいとう)
血虚 定番漢方 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
十全大補湯の効き目を補完 四物湯(しもつとう)
腎虚 疲れを感じたときに 八味地黄丸(はちみじおうがん)
(「Are You Happy?」2022年4月号)
小林城治
精神科・心療内科医
医療法人社団ヘルメス会「J戸越銀座クリニック」理事長。
高い実績を認められた復職支援(リワーク)の専門機関、薬だけに頼らない療法で社会復帰をサポート。現代書林『赤ひげ名医シリーズ』に掲載他、日本テレビ『ニュースゼロ』TV東京『ワールドビジネスサテライト』等、テレビ出演も多数。
書籍『2014最新版 現代の赤ひげ 医療最前線の名医12人』に選ばれている。