
4人の子供を育てながら整理収納アドバイザーとして活躍する藤原友子さんに、片付けによって得られる3つの効果と、子供の片付け力がつく子育て法についてお聞きしました。
自己流で見つけた片付け法
実は私自身、子供のころから片付けが苦手で、「片付けなさい!」と親に何度も言われていたのですが、できないまま大人になって結婚したんです。
でも、妊娠をきっかけに専業主婦になり、改めて部屋を眺めたときに、「この先、子供が何人か生まれたら部屋がとんでもないことになる。何とかしないと!」と思ったんですね。
何よりも、結婚してできた家族を大切にしたいという思いから、自己流で片付けの方法を見つけていきました。
片付けによる3つの「いい効果」
講演ではいつも、「片付けをすると3つのいい効果がありますよ」とお伝えしています。
まず1つ目は「時間的な効果」です。部屋が整理整頓されていると探し物をする時間が減るので、サッと作業に取り掛かれるようになりますよね。2つ目は「経済的な効果」です。買い物をして家に帰ってきたら、すでに同じものがあったという経験のある方もいると思いますが、そういった無駄が省けるようになります。また、部屋のスペースを有効活用できるようになるので、いらないものを置くための家賃を払わずにすむと考えれば、経済的な効果だと言えるでしょう。
そして3つ目は「精神的な効果」です。やはり片付けをすると気持ちがすっきりしますし、人を呼びたくなったり、ウキウキした気分になりますよね。よく聞くのは、「片付けができるようになったら夫が変わった」という声です。部屋がきれいになったねと褒めてくれたり、物を戻す場所が分かるようになったことで、積極的に片付けをしてくれるようになったり。自然と会話も増えて、夫婦仲が良くなったという方は多いんです。それに、部屋が片付くと自分自身イライラしなくなり、自然と笑顔が増えます。その笑顔は家族にも伝染していくんですね。私はこの「精神的な効果」が一番大切だと思っています。
「大切なもの」を見分ける片付け
子供に片付けができるようになってほしいと思うお母さんは多いでしょう。私たち大人がイメージする「片付け」、「散らかったものを元に戻す」とか「捨てる」というものだと思います。ただ、おもちゃの箱に収まりきらず物があふれていたり、おもちゃ箱に大事なものと、そうでもないものが混ざっていたら、片付けようという気持ちはなかなか湧いてこないと思うんです。
そういったとき、子供に片付けを教える方法としておすすめしたいのは、「自分にとって大切なものは何か」を見分けさせることです。この方法を思いついたのは、私の子供が3歳のときに、新聞紙で作ったおもちゃが収納場所に収まらなくなってしまったときでした。「これはいらないよね」と捨てようとすると抵抗するので、「おもちゃをカッコいい順に並べてみようか」と声をかけて、1位から20位まで順位をつけさせました。
そこで「1位から10位まで取っておこうか」と言うと、自分から進んで11位以下のものを捨て始めたのです。
子供に「大切な順番」をつけさせる方法は、おもちゃに限らず、洋服や小物類、文具類などにも応用できます。どんなに小さい子供でも、「自分で決めたい」という意思を持っていますので、好きなものを選ぶという行為を通じて、片付けに自分の意思を反映できる楽しさに気づけるようになります。そして、「これは本当に必要かな、大事なものかな」と考えるようになり、物とのつき合い方、物の選び方を学ぶことができるようになるんです。
「片付け」を楽しい時間に
こういった楽しい片付けの時間は、親子間のコミュニケーションの時間にもなります。親から見ると、「机の奥に隠れているゴミのようなもの」が、子供にとってはとても大切なものだということもあります。なぜそれが大事なのかを聞いてみると、実はそこにいろんなストーリーがあって、「こんなことを考えていたんだ」と、子供の新しい一面を知ることにもつながるかもしれません。
私は、「片付け力」というのは、「自分に必要なものが分かって、それを管理できる力」だと思っています。そういう意味で「片付け力」が身に付くと、自分の気持ちや価値観を大切にできるようになり、自分に自信が持てるようになります。これは生きる力にもつながっていくはずです。ぜひ片付けを通じて得られる喜びを、親子で感じていただきたいと思います。
(「Are You Happy?」2019年7月号)
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