「この前も言ったよね?」「あなたのせいよ!」。
怒っちゃいけないと分かっていても、ついつい、夫には強く言ってしまうもの。
しかし今、そんな「怒れる妻」に悩み、カウンセラーに相談する男性が増えています。
令和元年の家庭裁判所の統計でも、夫から離婚調停を申し立てる理由の第2位は、「妻からの精神的虐待」でした。知らず知らずのうちに夫を追い詰めないためにも、「怒れる妻」を脱出する方法を探ります。
夫婦問題カウンセラーに聞きました
「怒れる妻」をやめるにはまず自分を変えてみましょう。
これまで約8000人の相談にのってきた夫婦問題カウンセラーの高草木陽光さんに、夫に怖がられる妻のタイプと、夫婦のコミュニケーションのコツを聞きました。
夫婦問題のカウンセリングを受ける男性は、この10年でずいぶん増えており、私のところに相談に来るのも約4割が男性です。妻から小言や不満をかなりきつくぶつけられている方も多く、「帰宅恐怖症」で悩んでいる方もいます。
夫に不満を持つ妻は多いと思いますが、どちらかが100%悪いということはありません。不満があって、状況を変えたいと思った側が、まずは自分を変えてみてほしいと思います。
実は、夫婦の悩みのほとんどは、コミュニケーション不足、もしくは伝わらない言い方が原因です。夫婦は一番身近な関係だからこそ、「私の気持ちを分かってくれて当然」だと思うものですが、それが間違いのもと。カウンセリングを通して、「お互いのことを全然分かっていなかった」と気づく方がたくさんいます。あなたも会話しているつもりで、「おはよう」や「行ってきます」だけになっていませんか。相手の得意なことや好きなことだけでなく、苦手なことや嫌いなこと、悩みごとにも関心を持っていますか。
夫婦は一緒に困難を乗り越えていく存在です。嫌なことを共有できるのが夫婦でもあるのです。ですから、日頃の雑談は決して無駄なものではありません。雑談から、お互いの価値観が見えてくるはずです。
まずは妻の側から自分がニコニコできるように変わっていくことで、夫も機嫌がよくなり、いい循環が生まれるでしょう。
夫が離婚を決意する状況 トップ3
1 ルールの押し付け
2 いつも否定される
3 家に居場所がない
上記以外にも、「妻の説教が夜中まで続いて寝られない」や「長期間の無視」もよくあるケースです。夫が黙っているから大丈夫だと思っていると手遅れになる可能性も。日頃から互いの理解を深めておきましょう。
怒れる妻タイプチェック
あなたはどのタイプの「怒れる妻」になりやすいかチェックしてみましょう!
GPS型妻
□「 理想の家庭像」がある
□ 夫のことは全部把握していたい
□ 返信がすぐ来ないと不安
□ 実は心配性
このタイプの妻は、夫の飲み会や、家庭をないがしろにする発言に怒りがち。それは夫や家庭を大切に思う気持ちの裏返しでもありますが、度を超すと夫を常に「監視」することに。鈍感力を鍛えて過剰な不安はスルーしましょう。
マイペース型妻
□ ひとりの時間を満喫している
□ 自分の都合でよく予定を変える
□ 熱しやすく冷めやすい
□ 束縛されるのは大嫌い
このタイプの妻は、自分のペースを乱されると怒りがち。天真爛漫な振る舞いが「かわいいワガママ」レベルを超えて、「自己中」になってしまうと夫にあきれられるかも。忍耐力を養うと、夫ともぶつからずに済むでしょう。
上司型妻
□ 何でも効率よく進めたい
□ 決めたルールは夫に守らせたい
□ つい命令口調で話してしまう
□ 負けず嫌いで白黒つけたい
このタイプの妻は、自分の決めたことを否定されたときに怒りがち。負けず嫌いなので、怒り出すと、「自分のほうが正しい」と夫を論破してしまうことも。共感力を高めることで、夫の意見も受け入れられるようになるでしょう。
暴発型妻
□ 気持ちを言葉にするのが苦手
□ 自分は可哀想だと思うことが多い
□ 怒ると言葉遣いが豹変する
□ 思わず夫を叩くことがある
このタイプの妻は、感情が高ぶると突然怒りがち。怒ると豹変し、暴言を吐いたり、ときには手が出ることも。もしかしたら大きなストレスがかかっているのかも。思い当たる人は、自分を客観的に見る努力をしていきましょう。
夫婦のコミュニケーションを劇的によくするための4カ条
1.理由を問い詰めない
つい夫に言っちゃう&思っちゃう(NG!)
「なんで?」「どうしてなの?」「何に謝ってるの?」
→怒られると思うので夫は言い訳しかしなくなります。
いつも夫が同じ失敗ばかりしていると、「なんでできないの」「説明して」と、問い詰めたくなる気持ちも分かります。しかし、相手を責めることが本来の目的ではないはず。きちんと夫が理由を説明したとしても、このように質問すれば、すべての答えが言い訳に聞こえます。また、質問攻めにすると、夫のほうは答えを考えている間に次の質問が来るので、とっさに噓をついたり、何も言えなくなってしまうということを知っておきましょう。
2.気持ちを素直に言葉にする
つい夫に言っちゃう&思っちゃう(NG!)
「バカ!」「期待してたのに……」
→夫には言葉にしたことがそのまま伝わります。
「バカ」と夫を責める妻の言葉の裏には、「私をちゃんと見てほしい」「もっと一緒に過ごしたい」といった気持ちが隠れていることがよくあります。しかし、夫には言葉にしたことがそのまま伝わってしまうので、気持ちは素直に言葉にしたほうがいいのです。また、結婚記念日を忘れられてショックを受ける人もいますが、何も言わずに期待するのではなく、「記念日は早く帰ってきてね」と、リクエストも言葉にしましょう。
3.「YOU」ではなく「I」メッセージで伝える
つい夫に言っちゃう&思っちゃう(NG!)
「あなた手伝ってよ」「あなたっていつもこうよね」
→夫は責められていると感じます。
主語を「YOU(あなた)」にすると、相手を責める言い方になってしまいます。しかし、「I(私)」を主語にするだけで、言われた相手も素直に受け止めやすくなります。「(私は)手伝ってくれると助かるな」「私はこうしたほうがいいと思う」と言い換えてみてください。やってみたその日から夫の反応が違ったというお声をよく聞く、即効性があるコミュニケーション方法です。
4.「思い込み」と「事実」を区別する
つい夫に言っちゃう&思っちゃう(NG!)
(また機嫌悪そう……)(めんどくさそうな顔してる)
→夫に悪気はないかもしれません
夫に不満がある人は、「夫が嫌そうな顔をするのがストレスで」という言い方をよくします。しかし、実際に夫の気持ちを確かめていないことがほとんど。ストレスを溜める前に、「私はこう感じたんだけど、実際はどうなの?」と聞くと、夫も「そう思わせてごめんね」「仕事で疲れてただけ」と自分の気持ちを話してくれます。「嫌そう」が誤解であることもよくあるのです。
もし夫が不倫しても怒っちゃダメ?
感情のまま追及しない
不倫が発覚したら、怒りたくなる気持ちはよく分かります。しかし、感情のまま追及するのはできれば避けましょう。証拠が取れなくなり、後々不利になることがあるからです。
冷静に状況を見極める
夫や浮気相手を責めすぎると、出て行ってしまう夫もいます。不倫が分かっても、離婚を選ぶ人は少ないもの。自分の思いや夫の性格を考え、冷静に状況を見極めましょう。
自分に原因があれば修正する
不倫はした方に100%責任があります。しかし、自分自身にも原因がある場合もあります。セックスレスや冷たい対応など、改善できることは見直していきましょう。
「夫婦はチームです。」Takakusagi’s Advice
揉めている夫婦は、お互い敵だとばかりに蹴落とし合っている状態になっています。しかし、夫婦とは本来、チームです。相手にイライラをぶつけて一時的にスッキリしても、結局は一緒に沈んでしまいます。チームだと意識するだけで、変えるべきことや、一緒にやるべきことが見えてくるはずです。
(「Are You Happy?」2021年10月号記事)
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高草木陽光
夫婦問題カウンセラー。「HaRuカウンセリングオフィス」代表。これまで約8000人のカウンセリングを行い、メディアへの出演も多数。