新しいあなたの顔
空前のマイ・スタジオブームです。パソコンやスマホの画面を通した顔が、あなたの新たな顔として加わりました。オンライン会議など、別の場にいる人たちが同時に画面に映ると、顔の見栄えの差に大きな開きがあることに気づかれるでしょう。映った顔が不健康そうだったり、きれいに見えなかったりする原因のほとんどは、光の問題です。
メークを直す前に、まず光を見直しましょう。「大女優たちは照明マンの機嫌を損ねることは絶対にしない」というくらい、光を大切にしています。光の扱いひとつで寝不足や体調不良のときなどの、見栄えのトラブルを解消できるのです。
光をコントロールする
顔を映すとき、まず大切なことは、光を顔に当てることです。景色がきれいだからと窓を背にして撮影し、逆光で顔が暗くなっている人を見かけますが、それでは見ている相手に表情が伝わりません。
部屋の中での光源は、太陽光か照明です。光が顔に当たる場所を探し、影ができるようであればレフ板(反射板)を使い、光をコントロールします。専用の物も売っていますが、白画用紙などで代用でき、膝に乗せれば上からの光を反射し、顔が見えるようになるだけでなく、しわやたるみを和らげて見せてくれます。
気を付けたいのは、顔のそばに真っ白な物――カーテン、置物、着るものなどを配置することです。顔に光が当たって良いじゃない、と思われるかもしれませんが、対比で顔色が汚く見えてしまいます。そのためテレビ業界では、少し色の付いた「TVホワイト」と呼ばれる、少しくすんだオフホワイトやアースカラーの家具や衣装が準備されていて、顔色を引き立てるようになっています
専用のライトを一つ準備すると、顔映えが格段に上がります。初めに揃えたいのは、ドーナツ型のリングライトで、顔全体に光を当てることができます。スタンドやクリップなどが付いた、高さをコントロールできるものを選び、顔がきれいに映る高さを探し出しましょう。
メークは画面内で確認を
くま、ほうれい線の影は、光源の位置を下げると消えますが、下げすぎると子供が懐中電灯で遊ぶようなお化け顔になるので、良い塩梅を探しましょう。吹き出物などの肌のトラブルを消し、きれいに見せるには光量を強くし、肌色を飛ばします。きれいに見せるとは、色や形を飛ばすことです。そのため、ファンデーションの色は普段より一段濃い目にし、頬紅、目の上のシャドーは一度に決めようとせず、少しずつ濃くしながら、画面を通して色と形を確認していきます。ドラマやCMで女優の肌が美しく見えるのは、光と肌色のバランスを2〜3日かけて慎重に決めているからで、それくらい光というのは大切なものなのです。
口紅やグロスは濃い人が多いので、控え目にすると画面内での顔のバランスが良くなります。目や眉のラインは光を強くすると飛んでしまうので、画面を見ながら描き加えましょう。
影も大切に
料理人の辻嘉一さんが、料理の撮影に立ち会われたときのことです。
「そんなに明かりを当てたらきれいに見えるかもしれないが、形だけで味が伝わりません。その影があるから、包丁裁きやおいしさを感じることができるのですよ」そう教えてくれました。それは人も同じことです。平面的な強い光は顔のトラブルを飛ばし、きれいに見せもしますが、どこかつまらない印象になりがちです。影を作ることによって、心の内を出した雰囲気が現れます。くれぐれも光の当てすぎで、大事なものまで消し飛ばさないようにしてください。
© K’s color atelier
画面に映り込む ちょっとしたことが 気になります
今月のレッスン
意識をして顔に光を当ててみましょう。
(「Are You Happy?」2021年5月号)
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