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お飾り派?シンプル派?〔岡野宏のビューティーレッスン〕

エネルギッシュなお飾り派

春は新たな出会いが待っています。初めての場で、どのように装うか悩まれる方も多いでしょう。さて、「お飾り派」と「シンプル派」、あなたはどちらにされますか?

メークも装いも120%しないと気が済まないお飾り派の人には美人が多く、岩下志麻さん、美空ひばりさん、ブルゾンちえみさんなどがいらっしゃいます。めいっぱい飾るので絵画にたとえれば余白がなく、周囲を受け入れる余地がない、どこか手の届かない遠い人のように感じられることがあります。

お飾り派の大御所、黒柳徹子さんや美輪明宏さん、久本雅美さんらが飾り立てるのは、皆と共に楽しくハッピーに過ごすためで、全身のバランスが微妙にクスッと笑えるものに作られています。個性的なアイテムを使い奇抜にデコレートされたものが多く、相手に楽しんでもらうための彼ら流のサービスです。その最大の目的は、視聴者から飽きられないためで、絶えず新鮮な気持ちで接してもらえるよう、毎回印象を変え、軽い驚きを振りまいています。

お飾り派の人は、その場を明るくできる性格、はっきりとした自分を持っています。そうでないと、装いに負けて本人の影が薄くなり、野暮ったくなるので努力が必要です。

お飾り派からシンプル派へ

シンプル派のスタイルは、その人の持ち味を表に引き出してくれる良さがあります。

今では、そのシンプルなスタイルに一流のすごみを漂わせる市川海老蔵さんも、10代半ばで俳優デビューした当時は、流行物の服にアクセサリーをジャラジャラつけて、人気のヘアスタイルをされていました。

ところが、大河ドラマ主演ということでたくさんの取材を受ける中、納得がいく記事ができず悩まれました。そこで、父親の市川團十郎さんから「迷いが出たときはよろしくお願いします」と頼まれていた私たちが、彼から流行り物の飾りのついたベルトや靴、ほつれたパンツ、鎖のタイピンや指輪を剥ぎ取り、撮影に向かわせました。海老蔵さんは不満を顔に出していましたが、余分なものを取り去ったことで、彼が持つ清潔感と育ちの良さが際立ち、〝おしゃれな人〞としてメディアに取り上げられるようになり、今のスタイルにつながっています。

シンプルは行きつ、戻りつ

どのような人にも、その人なりの魅力があり、それを見つけるために余分に装っているものを少しずつ取り除いていきます。その過程で不安を感じたら少し元に戻し、心を安定させてから再び取り除いていきます。メークを薄い色にして物足りなく感じたら、形、タッチをしっかりと見せることで垢抜けます。

シンプルにすることは美しさへの近道ですが、それは〝足りない部分は自身を磨いて補おう〞という気持ちが生まれ、物に頼らない美しさが身につくからです。美しい言葉をものにしたら口元を清潔にして唇に色みを差し、身のこなしが美しい人は香りを添え、手の仕草に自信があれば爪だけ華やかにしても良いでしょう。ベースがシンプルだからこそ、それらが際立つのです。

余白は余裕につながる

さて、シンプル派には、お飾り派にはない余白があります。美智子上皇后のお姿を拝見していると、その余白は相手のためにあるのではないかと思われます。お言葉が、優しく、時には力強く心に入ってくるのも、その土地の花のブローチに心が休まるのも、ベースがシンプルで余計なものがない分、際立って感じるのではないでしょうか。

装って相手を楽しませるのも、余白で相手を受け入れるのも、その人の立場や個性によって変わります。鏡と相談してみてください。

© K’s color atelier

あなたと私 似ていても 違う。見た目も 中身も。

今月のレッスン

アクセサリーをしない日を作り、その日1日、姿勢を意識してみてください。

 (「Are You Happy?」2020年4月号)


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