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朝から晩まで一日中スマホを手放しません。〔竜の口法子校長の熱烈エール もう大丈夫!〕

〔お悩み〕
高校2年生の娘がいるのですが、もうすぐ受験生になるというのに、家ではスマホばかり見ていて、一向に勉強をする様子がありません。いくら注意しても聞く耳を持たず、食事中もスマホから目を離さないので会話も減ってしまいました。今さら取り上げるわけにもいかず、どのようにスマホ離れを促したらよいでしょうか。
(48歳/滋賀県)

学生時代に知っておきたいスマホと学力の関係

お母さんにはまず、娘さんにとって身近な問題である、「スマホと学力の関係」について勉強してみることをおすすめします。受験が近い高校2年生の娘さんと話すときの参考になると思います。結論から言うと、スマホには中毒性があり、長時間の使用は、健康にも成績にも支障が出ます。本格的に受験が始まることをきっかけに、使い方を見直す一歩を踏み出しましょう。

『スマホが学力を破壊する』『やってはいけない脳の習慣』(ともに川島隆太 著)の2冊は、衝撃的な内容です。副題に、「2時間の学習効果が消える!」とある通り、2時間以上勉強しても、3時間スマホを使うと、自宅で何も勉強しない子より成績が低くなってしまった、というデータが紹介されています。また、「あなたは普段、勉強としての使用以外で、1日どれくらいインターネット接続ができる機器、スマホ、タブレッド、アイポッド、ゲーム機などを使っていますか?」というアンケートで、携帯やスマホの使用時間が長い子ほど、成績が低いという結果が出ました。この著書は、宮城県仙台市で、7万人の小中学生を対象に、7年間調査した結果を本にしたもので、7万人×7年間はかなり説得力があります。特にスマホのアプリのなかでも、最も学力低下の結果が出たのは、ラインです。

スマホを手放してみる

娘さんがスマホを手放せない理由の一つに、ライングループなどでは、友達がみんな使っているという事情もあるでしょう。また、英語の勉強や、目覚ましなど、生活必需品と感じているのかもしれません。しかし、私が校長を務める高校では、思い切って受験期にスマホを解約したところ、生活上、何ら不便はなかったと言う生徒もいます。おかげで勉強に集中できて、成績も上がり、「自分がスマホを使っていたのではなく、使われていたことが分かった」と言っていました。手放してみたときの解放感は大きかったようです。

マイルールの設定を

散歩などの健康的な趣味を持つことも、長時間の携帯使用への対策の一つになるでしょう。長時間のスマホは、睡眠障害や、やる気の低下を引き起こします。電子機器から離れ、大自然の力に触れると、活力がアップします。運動、読書、料理なども良いでしょう。心身ともに気持ちの良い状態を味わい、楽しんでみることが大事です。

もう一つは、マイルールの設定です。高校2年生ともなれば、押し付けが大嫌いな年頃。説教ではなく、上手にスマホと付き合うためには、どんなことが必要か、親子で一緒に考えてみましょう。そして、娘さん自身が出した結論を自分で守るように促していくと、自己管理能力もつき、勉強での成果も上がっていくと思います。もう大丈夫‼

(「Are You Happy?」2021年5月号)

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