「高齢初産」ー女の本音トーク

日本産婦人科学会の定義では、35歳の初産から高齢出産とみなされます。しかしバリバリ働く女性が増えた今、初産年齢は年々上昇。はたして高齢初産は、“適齢期”での出産とどう違うのでしょうか。先輩高齢初産ママのAさんと、子育て真っ最中のBさん・Cさんが、高齢初産の実情や本音を語ります。

【メンバー】

♥ Aさん(60歳・会社経営)
40歳で出産。20歳の息子ひとり。

♥ Bさん(41歳・イラストレーター)
38歳、41歳で出産。3歳の娘、5カ月の息子の育児中。

♥ Cさん(38歳・美容師)
35歳で出産。2歳10カ月の息子ひとり。

 
 私はずっとキャリアウーマンで、35歳で結婚して退職したんです。2度妊娠したけど、4カ月と6カ月くらいで流産してしまって。40歳を過ぎたら妊娠はもうあきらめようと思っていたら、40歳の誕生日の直前に授かって、「これは産まなくちゃ」と。無事に息子が生まれてきてくれて、今年20歳になります。
 よかったですね。私も息子を41歳で出産したので、Aさんが息子さんを出産されたときと、あまり変わりませんね。
 そうね。20年後も、心も体も元気だから心配しないで(笑)。お子さんが小さいから、ママ友も若いんじゃない?
 そうなんです。20代のママとは、メールの文章や話す内容、笑いのツボも違いますね。
 それを合わせるところが若返りなのよ。
 なるほど!

 

「今産まなきゃ!」というインスピレーション

 Bさんは、ずっとお仕事されてましたよね?
 そうなんです。妊娠する予定も自分の中にはなくて。結婚が38歳で遅かったし、年も年だから出産は肉体的にも厳しいし、将来を考えたらどうかなって。仕事一本で行こうと思ってたけど、結婚して半年で授かったので、退職して育児の道へ突入しました。
 私は35歳で産んだので、全然高齢出産という感覚がなくて。でも本当は、妊娠はもう2、3年先にしようと思ってたんです。
 えっ、なぜ?
 転職してまだ3年くらいだったから、まだまだ未熟だなと思っていて。旦那とも「私、まだ先でも産めると思うから、もうちょっと先にしよう」って相談してました。でもある日、「今産まなきゃ!」とインスピレーションが降りてきて(笑)。これは産まないといけないなと思ったんですけど、そうしたら一向に授からなくて。
 時間差があったのね。
 「インスピレーションを下ろしたわりには、なかなか来ないじゃん」って、しびれを切らしたころにやっと妊娠しました。

 

身体への影響が大きい人も……

 「高齢初産だから育てるのが大変」とかは、あまりないわよね? 子育てがたいへんなのは、どのお母さんも同じだものね。
 そうですね。強いて言えば、私は最初の子のときは骨盤の戻りが若い人よりちょっと遅かったみたいで、産後3週間くらいは歩くのもやっとでした。出産も、陣痛がなかなか来なくて。それも年齢的な部分があったみたいです。
 経産婦さんによくある症状ですが、私もインナーマッスルが弱っていて、出産後は咳をしたりすると尿漏れが。出産前はなかった腰痛もひどくて。姿勢を正したり、お尻をキュッと締めたりして、筋肉を衰えさせないようにしています。2人目を41歳で産んだ友達も、子宮脱になってしまって。彼女は歌の仕事をしていたから、筋肉がついていても産後のトラブルは起こるんだって思いました。

 
「妊娠は当たり前の
ことじゃないからね」

 私ね、2回流産というか死産をして、病院の先生には、「これは防げないです」と言われたけど、「私には女としての価値がないのかしら」と自分を責めたりしたの。それで検査してもらったら、赤ちゃんを異物として排除する抗体ができているかもしれないって言われて。息子を妊娠したら、アスピリンを処方されました。あまり飲みたくなかったけど、言われた通りずっと飲んでいたら、無事に産まれてくれて。
 私も年齢のことが頭にあって、2人目は40歳までに妊娠しなかったらあきらめようと思っていました。自然に任せていたら40歳で授かって、41歳で出産。芸能人の高齢初産を調べたら、40代とか、普通にいらっしゃるんですよね。
 Cさんも2人目、考えてるんでしょ。まだまだ大丈夫よね。
 そうですね。1人目の妊娠が分かったときに職場の人に報告したら、男性上司に「おめでとう。妊娠は当たり前のことじゃないからね」って言われて、それがすごく心に残っています。私は妊娠を先に延ばそうと思っていたくらいだけど、実際は望んでも授からない方もいるし、流産してしまう方もいらっしゃるから、妊娠、特に高齢出産をあまり軽く考えないようにしようと思いました。
 友達もなかなか授からなくて、住んでいるアメリカで不妊治療を7、8年続けたそうです。不妊治療は精神的にも肉体的にもきついと言ってました。私と同じくらいのタイミングで彼女も妊娠・出産して、よかったです。

 

高齢初産のリスクと「2人目はどうする?」

 40歳以降の出産は、障害児の確率も高くなるといいますよね。
 1人目の妊娠中、ちょうどそういうドラマをやっていたので、真剣に見てました。もしかしたら、私もこういう立場になるかもしれないと思って。どうなっても受け入れよう、天国で約束して生まれてきてくれるはずだから、と思いながら、自分が育てることができるのかという不安はありました。高齢出産を希望している方は、そうした確率が少し高くなることだけは、心づもりをしておいたほうがいいかなと思います。あと、子供が成人するころには還暦なので未来が心配でしたが、Aさんに今日お会いして、大丈夫なんだって思いました(笑)。
 (笑)子どもが大きくなるにつれてショックなのが、小さいころは自分のお母さんが他のお母さんより年上なんて考えないわけよ。だけど中学生くらいになるとわかってくるから、それがね……。ちなみに20歳の今は、「お母さんを引退させてあげたいのに、僕はまだ働いていない」という気持ちが少しあるみたい。
 優しいですね!
 息子はそう思ってくれていても、私は子育てが終わってから、もうひと花咲かせたいと思っているの。だってまだまだ元気だもの。
 子供を産むことで、逆に気合いが入りますよね。他のお母さんより年齢が上だから、もっと頑張れる気持ちがでてくるというか。あまり無理すると大変だけど。

 

元キャリアウーマンにはつらい育児という“修行”

 この間Bさんと話したんですけど、若いうちに出産した人のほうが、子育てのセンスがいい人も多い気がして。子供への言い方とか、うまいんですよね。私は出産したてのころ、たとえば子供が泣けば、友達が言っていたあれじゃないか、本に書いてあったあれが原因じゃないか、って頭が働いちゃって大変だったんですよ。
 私も出産前に育児本をたくさん読んで、これだけ知識があれば対処できると思ったけど、いざ生まれるとあたふたして、こんなにコントロールできない世界があったんだって。これが子育ての修行なんだと思いました。
 子供の世話をしていて、1時間くらい経ったと思って時計を見たら、数分しか経っていなくて、1日が永遠のようで。そのわりに、「今日1日、何もせずに終わってしまった」と落ち込んだり……。
 何の成果も出していないことに、ショックを受けたりしますよね。仕事で使う能力を鍛え過ぎていて、なんでも合理的にやれると思ってたんです。でも子育てはぜんぜん合理的にできないの。
 それが、仕事をバリバリこなしてから出産した、高齢初産女性の大変なところかもね。

 

メリットも多い高齢初産

 高齢初産のいい面は、仕事で培った段取り力で育児と家事の両立ができること、キャリアをある程度積んでいて復帰がしやすいこと、子供がいない生活に未練がないことかな。若いママ友は、独身の友達が遊んでいるのに、自分は育児してるって落ち込むらしいけど、私はそう思わないですし。
 私も、思い切り仕事も遊びもしたから、次は思い切り育児をしようと思って。ときどき、赤ちゃん連れでお食事とかもしたから、そこまでストレスは感じなかったかな。あと、高齢初産だと、同世代の友達は出産が終わっている子がほとんどだから、アドバイスが聞けるのもありがたいわよね。「哺乳瓶は完璧に消毒しなくても大丈夫よ」とか、「離乳食は別で作らなくても、大人のものを刻んであげて」とか。コツを聞いて、育児に一生懸命になりすぎないようにできる。
 同世代の友達から「大丈夫だよ」って言われると、こっちも育児への気持ちがぎゅうっとならないですみますよね。

 

備わっている母性は絶対に開花する!

 高齢初産が不安な方は、体とリスクの心配以外には、お仕事をストップすることや、経済的な不安が大きいのかしら。
 これまでの人生の延長線上で考えると不安が出てくるけど、違うドアを開くと違う世界が絶対に広がっているので、そこに飛び込む勇気があれば、どうにでもなるんじゃないですかね。
 絶対そう!
 赤ちゃんを授かったということは、それが一番大事な使命ということよね。それに母性が絶対に開花するから。妊娠してるとき、周りの赤ちゃんがすっごくかわいく見えなかった?
 かわいく見えました!
 私は出産前まで全然赤ちゃんがかわいいとか思えなくて、妊娠中はおなかにいることも忘れちゃうくらい(笑)。でも今は、よその赤ちゃんもかわいいと思えます。
 自分で経験して、「人間の赤ちゃんってこんなにかわいいんだ」って。道ですれ違った、全然知らない赤ちゃんもかわいくて、話しかけちゃう。2人目を産んだら、さらにかわいいと思う気持ちがぐわーっと湧いて。
 たぶん、女性はみんな母性を持っていて、子供を産むと、開花するようにできてるんですよ。
 強制的に開花させられる感じかも(笑)。
 特に高齢出産の方はそうなると思うの。若い人は、「こんなはずじゃなかったのに、もう産んじゃった」みたいに思う方もいると聞くけど、私たちはそうじゃないから。
 そう思います。私なんか、半分おばあちゃんなのか! っていうくらいかわいがってる(笑)。
 うちも夫が“じいじ”みたいにかわいがっていて(笑)。甘やかしすぎだよ! って。
 高齢初産、楽しいわよね。
 絶対楽しいです!
 今までの人生とはまったく違った喜びや幸せであふれているから、必要以上に悩んだりせず、思い切って飛び込んでほしいですね。

 
(「Are You Happy?」2014年11月号)