愛あふれる「世界一の記念日レストラン」を作りたい

レストラン予約サイト「一休.com」の「記念日ランキング」で連続1位を獲得するなど、多くの人々に温かいおもてなしを提供している人気レストランのオーナー・谷中牧子さんに、愛ある生き方の秘訣について伺いました。

 

専業主婦からレストランのオーナーへ

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「花いっぱいの空間でおいしい料理を食べてほしい」という思いから、25年前に神戸市北野にレストラン「花の館パラディ北野」を開いた谷中牧子さん。5年前には東京・白金に2店舗目となる「マーヴェラスパラディ白金」をオープンさせ、きめ細やかなおもてなしと、美容と健康に配慮した料理で人気を呼んでいます。

もともと専業主婦だったという谷中さんが、レストランをオープンさせた経緯とは?
「夫の転勤に伴いフランスに住んでいたころ、フラワーアレンジメントを勉強したことがきっかけで、“花に関する仕事がしたい”と思うようになりました。

帰国後、フランスで習得した技術を生かしたいと考え、『花いっぱいの空間でおいしい料理を食べたら、きっと幸せだろうな』という思いから、事業家だった父の協力の元に、神戸市北野町に一軒家レストラン「花の館 パラディ北野」をオープンさせました。『パラディ』とは、フランス語で“天国”を意味する言葉。お店に来ていただいたお客様に、日常から離れ、天国にいるような幸せな気分を感じていただきたいという思いを込めました」

 

経営者として苦悩した日々

お父様が経営していたフレンチレストランで手伝いをした経験があった谷中さんですが、自分がオーナーの立場に立ってみると、人を雇うことの難しさに直面したといいます。
「レストランを始めたころは40代。店では、20代から40代までの男性従業員を雇っていました。しかし当時は、女性経営者が珍しい時代。『○○して』と従業員に指示を出しても、『女のくせに』『経験もないのに』と反発され、言うことを聞いてくれません。店を辞めてしまう従業員もいて、人間関係の難しさに悩みました。

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あるとき、自分自身を振り返りながら『なんで人がついてきてくれないのだろう?』と原因を考えていくと、『私はオーナーだから!』と上から目線で従業員に指示を出していたことに気が付いたんです。
『自分が変わるしかない』と決意してからは、トイレ掃除から洗い物、皿運び、ときにはキッチンの手伝いをして、従業員と同じ目線に立って共に汗を流しました。実際にやってみると、『こんなの簡単だ』と思っていたことが、意外に難しいということが分かって。従業員の気持ちが理解できるようになると、労わりの言葉が自然と出るようになり、葛藤も次第に解消されていきました。
現在は、しっかりポイントをチェックしながら、従業員に仕事を任せ、私が最終責任を負うという、“任せて任せず”の方針で仕事をしています」

 

神戸と東京で体験したふたつの震災を乗り越えて

順調にレストランを経営していた1995年、谷中さんを阪神・淡路大震災が襲った。
「朝、コーヒーを淹れようとキッチンにいたときに地震が起こりました。自宅マンションは、最も大きな被害が出た地域にあり、すさまじい揺れで、電子レンジや皿など、あらゆるものが飛んできて、体じゅうあざだらけ。私は11階建てのマンションの最上階に住んでいましたが、5階までぺしゃんこになりました。あちこちから火の手があがり、地獄絵図のような光景が広がっていたのを、今でも鮮明に覚えています。
自宅から車で15分ほどの場所にあった店に行ってみると、地震の被害がほとんどなかったため、家族で店に移っての生活が始まりました。
震災からしばらくして、店を開けましたが、主なお客様は観光客だったため、震災の影響ですっかり客足が途絶えてしまいました。
周囲には、震災で家を失い、未だ自宅のお風呂に入れない方も多くいらっしゃいました。そこで、“困っている方のために何かできないか”と考えて始めたのが、店のお風呂を提供し、「お風呂屋さん」をすることでした。
チラシを作って近所に配布したところ、反響が大きく、毎日予約がいっぱいに。お風呂に入りに来た方が、店で食事をして帰ってくださり、店は徐々に賑わいを取り戻していきました。

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2011年には、東京・白金の店で東日本大震災も経験。停電によって東京が真っ暗になるなか、“どうにかして人を元気にしたい”という思いから、店内に花をいっぱい生けて、癒しの空間を作りました。すると、お客様が『心がほっとした』と喜んでくださり、改めて、『人を幸せにすることが、私の喜びなんだ』ということを実感しました」

 

愛を与える人生の素晴らしさを実感して

現在、谷中さんのレストランは、レストラン予約サイト「一休.com」の「記念日ランキング」で連続1位を獲得するなど、ホスピタリティあふれるおもてなしが評判を呼んでいます。
「実は、レストランをオープンして10年くらいは、“自分が愛を与えてもらいたい”という思いのほうが強く、心が満たされない、つらい時期がありました」

そんななか谷中さんは、幸福の科学の大川隆法総裁の著書『人を愛し、人を生かし、人を許せ。』に書かれていた「与えた愛は、与えた人のものになる」という言葉に出会う。
「この言葉を胸に仕事をするなかで、本当は、これまでもお客様の笑顔や、『ありがとう』という言葉で、たくさんの愛をもらっていたんだということに気づかされました。そして、徐々に“人に与えること”が喜びになり、いつの間にか“当たり前のこと”になっていったのです」

 

見返りを求めず、美しく咲く
花のような人生を生きたい

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「人は、誰かのために『○○してあげたい』と思うと、次から次へとアイデアが泉のように湧き出てくるものです。
お客様に喜んでもらうことが、私の生きがいであり、使命だと思っています。誕生日や結婚記念日といった、大切なハレの日を演出するお手伝いをするため、“おもてなしあふれる、世界一の記念日レストラン”を作りたいという夢を持っています」
“人に愛を与える人生”に生きる谷中さんの姿は、幸福感に満ちています。谷中さんのように、愛あふれる人生を歩むための心掛けとは?
「日々のコツコツとした“小さな与える愛の実践”を大切にしています。人は誰でも、それぞれの立場で“仕事”を持っています。それがたとえ小さなことであっても、ひとつずつの仕事のなかに、『相手が幸せになりますように』『喜んでくれますように』といった“愛”や“祈り”の気持ちを込めることが大切だと思います。それが、人を感動させるための、愛の素になります。

愛には、形はないし、目にも見えません。けれど確実に循環していて、人に与えた愛は喜びとなって自分に戻り、“アイム・ハッピー”になれると思います。
ただ美しく咲く花のように、人に見返りを求めず、自然体で人に喜びや安らぎといった愛が与えられる人生を歩んで行きたいと思います」

(2015年7月号)

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株式会社パラディ北野 代表取締役

神戸市生まれ。夫の海外赴任のため、1998年から3年間フランスに在住し、フランス式のフラワーアレンジメントを習う。1990年に神戸市北野にレスト ラン「花の館パラディ北野」を、2010年に東京都港区白金に「マーヴェラスパラディ白金」をオープン。現在、レストラン予約サイト「一休.com」の 「記念日ランキング」で連続一位を獲得する人気店に。テレビドラマのロケ地としても使用されている。 レストラン 花の館 パラディ北野(本店)/ レストラン マーヴェラス パラディ白金

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