工夫するって、どういうこと?
しあわせは、どのように生きたらやってくるのかを子どもたちに教えてくれる真理の本『しあわせってなあに』。
第6話は「日々工夫すること」です。
日々工夫するって、どういうことでしょうか。日々の工夫が、なぜ、子どもたちのしあわせにつながるのでしょうか。ふたりの子どもを例にとって比較してみましょう。
A君は、鉄棒が苦手です。逆上がりができないので、放課後ひとりで練習しましたが、1時間頑張ってもできるようにならず、「やっぱり練習しても無理だ」と思い、翌日からは練習を止(や)めてしまいました。
B君も鉄棒が苦手です。A君と同じようにひとりで逆上がりの練習をしましたが、ちっとも上達しません。そこでB君は、どうしたら上手になるかをよく考え、鉄棒の得意なお兄さんに教わることにしました。お兄さんは、足の振り上げ方や、お腹を鉄棒に引き付けるタイミングなどを教えてくれました。最初はなかなかうまくできませんでしたが、教えてもらった通りに毎日練習したら、3日で逆上がりができるようになりました。
日々の工夫が、大きな差を生む
ふたりを比べて、なぜB君が逆上がりに成功したのかを考えてみましょう。A君と違い、B君は、
①すぐにあきらめず、
②どうしたら上達するかをよく考え、③目上の人から素直に教わり、
④自分で一生懸命努力しました。
つまりB君は、よく工夫したのです。工夫とは、今よりもっとよくならないかなあと考えて、努力することです。昨日よりも今日、今日よりも明日がもっとよくならないかと考えて、毎日、一生懸命頑張ることを「日々工夫する」というのです。
運動だけでなく、勉強も、時間ややり方を工夫することで、効率のよい勉強方法を身につけることができます。教科書の線の引き方、ノートの取り方、ドリルの使い方、予習復習の配分など、工夫の余地はいくらでもあります。
このように「もっとよい勉強方法はないか」と考えて日々工夫する人と、とくに工夫をせず、昨日も今日もあさっても、漫然と授業を受け、宿題をこなしている人とでは、時間が経つほどに、明らかな差が出てくるでしょう。
主婦であれば、家事の効率を上げる方法を考えたり、料理やアイロン掛けに、もっと家族への愛情を込められないかと考えたり、勉強をするための時間を作ったり……。工夫の余地は無限にありそうですね。
工夫の中にある心のきらめき
工夫の中には、価値あるきらめきがたくさん含まれています。
「今のままではいけない。まだまだ改善点がある」と謙虚に反省する心。「もっとよくなりたい。よいものにしたい」と発展を願う心。よい結果が出るまで努力する心。そして、日々の工夫を重ねた結果、得られる知恵……。
後世に偉人といわれる人や、まわりの人から「すばらしいなあ」と言われるような人は、こうした日々の工夫、日々の努力を積み重ねてきた人なのです。ぜひ、親子一緒に日々の工夫を実践してみましょう。
(2013年2月号「子育て110番」)
奥田敬子
早稲田大学第一文学部哲学科卒業。現在、幼児教室エンゼルプランVで1~6歳の幼児を指導。毎クラス15分間の親向け「天使をはぐくむ子育て教室」が好評。一男一女の母。