leap

意固地に人の手を借りようとしない兄の介護に困っています。

今年で79歳になる兄を介護しています。兄は小児麻痺で元々足が悪かったのですが、障害をバネに頑張り、自動車工場を経営していました。仕事を引退後、私の家で同居を始めたのですが、なんでも自分でやりたがる兄は、私の不在中にベッドから落下して大腿骨(だいたいこつ)を骨折し、車イスにおむつの生活になってしまいました。それでも私やヘルパーさんの手を借りることを嫌がります。幸い介護老人保健施設でリハビリをすることになりましたが、3カ月後には退所しますし、兄とどう生活すればいいのでしょうか。

 

 介護は、する側にとってもされる側にとっても〝人生観〟が問われますよね。

S そうだと思います。さまざまな施設に見学に行きましたが、介護のあり方に問題を感じてしまうこともあり……。

 介護の現場も、携わっている方の思いによって、さまざまですからね。施設の人は、安全を考えるとどうしても管理型になってしまうことも多いといいます。最終的には入所者の腕を縛ってくくりつけておくしかなくなることもあって、〝人としての尊厳〟を考えると胸が痛みますね……。

S 私の住む地域では、公的施設ではなく、「グループリビング」という形で、高齢者が自由に安心して生活できる住まいづくりを提案している方もいます。

 まさに〝民間〟がカギを握っていますね。政府は多額の補助金を出して特養を増やそうとしていますが、部屋の大きさからすべてが細かく規制され、莫大な税金がかかります。幸福実現党は、介護の分野でも規制を緩和し、民間の創意工夫で多様な選択肢を提供できるようにすべきだと考えています。例えば、空き家を活用して、長屋暮らしのように高齢者や介護家族がお互いに助け合うシステムなど、全国的にニーズがあるでしょうね。

S 私も「地域密着型の介護コミュニティ」をつくりたいと考え、独居老人が集まる〝おしゃべり会〟や、朝のラジオ体操などを仲間と行っています。もう7年になりますが、民間が主体になってどんどんやらないと、事業がまったく動かなくなってしまうんです。

 素晴らしいですね! 人間関係をつくるのが上手な方が地域で活躍する姿は、これからのシニア世代のモデルだと思います。高齢化の日本を救うと言っても過言ではないかもしれません。今回もこのコーナーは、お悩み相談ではなく、お話を伺う場になりましたね(笑)。

S いえいえ(笑)。人のお世話はできても、自分のところはなかなか解決できなくて。
 お兄様は今、ショートステイ(短期入所施設)にいらっしゃるとか。

S はい。自立した生活ができるようになりたいということで、リハビリのための老健施設に入ることが決まったところです。家にいても「人と話したくない」とヘルパーさんを勝手に帰してしまったり、自分でおむつを換えようとしたり……。「妹なんだから、もっと甘えてもいいんじゃない」と言っても「指示するな」と意固地になってしまうんです。

 これまでお仕事で頑張ってこられたお兄様にとって、人のお世話になることは抵抗があるのかもしれませんね。兄妹だと、余計に気を遣ったり……。

S 兄は元々障害があり足が悪かったので、家族からも特に愛されていたと思うのですが……。実は最初に同居を勧めたときも「俺にもプライドがある」と言って断られたんです。「夫も亡くなって、家にひとりでいるのも寂しいから」とお願いして、やっと来てくれたんです。

 なるほど。でしたら、そのプライドを立ててさしあげてはどうでしょうか。小さなことでも、「こんな困ったことがあるんだけど、どうしよう?」と頼るんです。男性はプライドの生き物と言いますから、最後まで立ててあげましょうよ。また、介護に携わる方は根気強くて優しい方が多いですから、同じ男性のヘルパーさんで、お兄様と信頼関係を築ける方が見つかるといいですね。

クオンタム4

S 私もあまり人を頼らずどんどん動いてしまうので、盲点でした! 今日は本当にありがとうございます。

 ぜひ次は、Sさんの活動のお話も聞かせてください!

 

Shaku’s Advice

介護の規制緩和で民間からの「多様な選択肢」を。地域密着のシニアの活躍が日本を救う!

 
(2017年7月号「釈量子のお悩みクオンタムリープ」)

印刷する

釈量子 

幸福実現党党首

1969年11月10日、東京都小平市生まれ。國學院大學文学部史学科卒業後、大手家庭紙メーカー勤務を経て、1994年に宗教法人幸福の科学に入局。学生局長、青年局長、常務理事などを歴任。幸福実現党女性局長などを経て、2013年7月幸福実現党党首に就任。

公式サイト

連載