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科学する心を育てましょう②「幸せの法則について」

アンパンマンのうた

昔も今も、子供たちに大人気のアンパンマン。困っている人や泣いている人がいると、空を飛んでかけつけて、助けたり、励ましたり、ばいきんまんと戦ったりするヒーローです。
原作者のやなせたかしさんが作詞したTVアニメの主題歌も大変有名で、その歌詞の中に「愛と勇気だけがともだちさ」とあります。私はこの歌詞が好きなのですが、「私は嫌い」と言う中学生の女の子がいました。

彼女の気持ちに興味を惹かれて、「どうして嫌いなの?」とたずねると、「だって、ほんとうは悲しいこともイヤなこともいっぱいあるでしょ? そういう気持ちも大切でしょ?」という答えが返ってきました。その瞳は、まだ人生の本当の苦難困難は知らないけれど、人間や人生の真実をまっすぐ見つめようと一生懸命でした。

確かに、誰の人生にも必ず悲しみや苦しみがあります。それは、人間を成長させてくれるきっかけになります。でも、もし長い間、自分の悲しみや苦しみにとらわれて、誰かを憎んだり運命を嘆いたりするマイナスの感情を抱き続けたら、幸福はだんだんと遠ざかっていってしまいます。私は彼女に、私の考えを話しました。「この歌のはじめに、『たとえ胸の傷がいたんでも』ってあるでしょ? アンパンマンは、つらいことも悲しいことも知っていたんじゃないかな。それでもボクは、自分のことだけ考えて泣いて生きるんじゃなくて、人のために、笑って生きるんだって、愛と勇気を選んで生きるんだって、ある日、決めたんじゃないかな」と。

ニュートンも、お釈迦様も

かの大科学者ニュートンは万有引力の発見で有名ですが、信仰心篤く、神仏のことについても生涯研究を続けました。また、「物事には必ず原因がある」という原因・結果の法則を数学的・物理学的に打ち立てたことでも有名です。

こういう法則は、物理学の世界だけにあるのではなく、人生にも確かな法則が働いているようです。

ニュートンより2千年以上前、お釈迦様は、この世界には原因と結果の法則があり、人間の幸・不幸にも法則があると説きました。

「善因善果・悪因悪果。
良いことをすれば良い結果がくる。
悪いことをすれば悪い結果がくる。
良い心を持ち、良い行いをすれば、必ず幸福がやってくる」

と人々に教え、それは世界中に広まりました。
本当かな? と思ったら試してみましょう。
実験室は、あなたの心です。
例えば、ぶすっとした顔で学校へ行き、ぶすっとした顔で帰ってきたわが子に、「ちょっとは笑いなさいよ! お母さんまで気分が悪くなるじゃない」と言ったら、どんな結果がやってくるでしょうか。お子さんは、自分の不安や不機嫌に押しつぶされて笑えなくなっているのかもしれません。
「あなたもいろいろあるのよね」という気持ちで気長に接したらどうでしょう。心からの愛しさを込めて「あなたは、笑顔がかわいい」と頭をなでたら、どんな結果がやってくるでしょうか。

人生にも法則があります。
原因と結果の法則を知り、幸福になる心や行動を選べば、人は幸せになれるんだよ、と偉大な先人は教えてくれています。私たちもアンパンマンと同じように、愛と勇気と幸せを選びたいですね!

(「Are You Happy?」2016年3月号)

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