毎日がHAPPY!「折れない心」のつくり方

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人生を生きる上で直面するさまざまな問題。そんなとき、強い心でポジティブに乗り切れたら――。『幸福感の強い人、弱い人―最新ポジティブ心理学の信念の科学』(幸福の科学出版)の著者・ハッピースマイルクリニック院長の千田要一先生に、毎日をハッピーに過ごすための「折れない心」の作り方をうかがいました。

 

完璧主義ほど心が折れやすい

最近、「心がへこむ」とか「心が折れる」といった言葉をよく耳にします。
「心が折れた」状態とは、心理学的にいえば、「ウツ状態」のこと。気分の落ち込みや不眠、食欲不振、判断力の低下などの症状が現れ、ひどい場合は日常生活にも支障をきたしてしまいます。
心が折れないためにもまずは自分の傾向を知り、予防することが大事です。

心の折れ方にもタイプがありますが、心がもっとも折れやすいのは、「完璧主義」や「完全主義」のまじめなタイプの方です。自分を高めるための努力を惜しまないため、ストイックで優秀な方も多いです。
しかし、いつも「自分の足りないところ」ばかりが気になってしまうため、人の評価を気にして「NO」と言えず、仕事も多く引き受けてしまったり、頑張りすぎて、ある日突然心が折れてしまうことも。なかでも普段、「あなたはウツにならないタイプよね」と言われている人ほど、注意が必要です。また、完璧主義の方の特徴として、幼少期、親から過度な期待をかけられた長男や長女など、第一子の方が多いようです。

 

意外に大切な心とエネルギーのイメージ

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ところでみなさんは、「心」についてどのようなイメージをしていますか。
患者さんにもよくお話ししていますが、“心が折れて”しまった人の話を聞いていると、みなさん「心」のイメージをあまり持っていないような気がします。

本来、心はスーパーボールのように柔軟で弾力性があり、「折れる」とはほど遠いものなのではないかと思うんです。また、「心が折れる」と感じる人の特徴として挙げられるのが、「自分のエネルギーは、使うと減ってなくなるガソリンのようなもので、限界がある」と考えているということです。やはり、この世の肉体的な自分だけを「自分」だと思っているということも、心が折れると感じる問題の原因だと考えられます。

私の専門であるポジティブ心理学では、科学的なデータをバックボーンにしながら、スピリチュアリティの重要性を訴えていますが、自分自身が神仏とつながっており、尽きることのない大いなるエネルギーが供給されているとイメージすることが大事なのだと思います。

 

折れない心を作るための方法とは?

ウツの症状で来院した患者さんと接していて感じることは、自分の喜怒哀楽に鈍感な方が多いということ。自分で自分の感情が把握できていないんですね。

心が折れないためにも、①毎日5分~10分の瞑想やリラクゼーションを行い、自分の感情と向き合うことをおすすめします。最初は難しいとおっしゃる方も、リラクゼーション音楽を聴いたり、映像を見ながら練習することでできるようになります。また、過去に虐待やなんらかのトラウマがある方の場合、瞑想などをくり返すうちに「封印された記憶」が出てくる場合もあります。そのように、自分の感情のさまざまな変化を感じ取っていくことが大切です。

そして、現実に起きている問題を解決する方法を学ぶことも必要です。
具体的には、②自分に必要な知識をつけるために、ビジネスや歴史小説、伝記や精神世界に関する書籍など、さまざまなジャンルの本を読みましょう。知識がツールとなって問題解決に役立つので、患者さんにもおすすめしており、実際に効果もあります。

さらにもうひとつ大切なのは、③早めにSOSを出すということです。まじめで他人の力を借りることが苦手な方が多いのですが、自分のためにも周りの人のためにも、早めの相談を心がけてほしいと思います。

 

家族や友人の心が折れてしまったら?

もし、家族や友人の心が折れてしまったというときは、周りの人はまず①「聞き役」になってあげましょう。心が折れてしまった人は、悩みを吐き出せずに溜め込んでしまっているので、話を聞き、ダストシュート役(ごみ箱役)になってあげるだけでも大きな役割を果たします。「あなたはそう思うのね~」と、あくまでも「同意」はせず、「共感」しましょう。

②話を聞いてあげるうち、相手の心が開いてきたなと感じたら、やっとアドバイスです。表情をうかがいながら相手の言葉を使い、ほめながら客観的なアドバイスを言ってあげましょう。「聞く:話す=8:2」のバランスがポイントです。心が折れてしまった人をサポートするには、「愛の思い」を持って接してあげることが前提です。

また、③休ませてあげるというのもひとつの方法です。たとえば不登校のお子さんの場合、「学校に行けたら……」と切実に思っているのは本人です。ですから、家族は「そろそろ学校行ったほうがいいんじゃない?」と言いたいのをぐっと我慢して、適度な距離を取って休ませてあげましょう。

 

もっと自分を好きになってほしい

折れない心をつくるキーワードは「自尊心」です。今までの研究でも明らかになっているのですが、自尊心の強い人は心が強く、病気にかからないんです。ですから、もっと自分を好きになって、自分のいいところを見つけてください。

自分を好きになれない人が多いですが、もったいないことだと思います。否定的な言葉や社会的な評価を取り払えば、「明るい」「誠実だ」「勇気がある」など、本来の自分のいい面が見えてくるはずです。そのような、持って生まれた自分の長所を大事にしてほしいと思います。

(「Are You Happy?」2013年3月号)

 

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千田要一 

医学博士、精神科・心療内科医 ハッピースマイルクリニック院長

1972年生まれ。医学博士、精神科・心療内科医、ハッピースマイルクリニック院長。九州大学大学院卒業後、ロンドン大学臨床研究員として「ポジティブ心理学」研究に従事。現在、ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)プロフェッサー。著書に『幸福感の強い人、弱い人』(幸福の科学出版)、『ポジティブ三世療法』(パレード出版)、『若返る力』(栄光出版)など。

公式サイト

千田要一さんの本

『幸福感の強い人弱い人 ―最新ポジティブ心理学の信念の科学』

『幸福感の強い人弱い人 ―最新ポジティブ心理学の信念の科学』

幸福感の強い人と弱い人の違いは「潜在意識の信念」の違いにあった! “自分のことがもっと好きになる”ポジティブ心理学で、「心の病」を対処するヒント満載の一冊。自己診断できる心理テスト「6つの性格・信念チェック!」も必見。