がんの手術から10年―「多くの人に支えられて今の自分がいる。 だから今度は、私がお返しをする番。」モデル・園田マイコさん

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モデルとしてファッションショーやファッション誌で活躍しながら、シングルマザーとして一男を育てるなか、2008年に乳がんと診断された園田マイコさん。
その翌年に発刊した、乳がんの発覚から手術、闘病生活の経験を綴った著書『モデル、40歳。乳がん1年生。』は、多くの女性たちの心を支えてきました。
手術後10年が経ち、この秋、すべての治療を終えた彼女に、当時の心境や現在の思いを語っていただきました。

 

がんの手術から10年経って

2009年に乳がんの手術を受けて、来年で10年になります。先日、いったんすべての治療が終わって、本当はもう“卒業”なのですが、「1年に1回は検査をお願いします」って先生にお伝えしました。患者さんはみなさんおっしゃるんですが、今までずっと病院に通っていたのが、ある日、急に「もう来なくていい」となるのはすごく不安なんですよね。中には、10年以上経ってから転移が見つかったり再発する方もいますから。ですので、今後も1年に1回は通おうと思っています。

 

39歳のときに見つかった乳がん

いちばん最初にがんが見つかったのは2008年です。お風呂に入っていたときに、左胸の乳頭の下あたりに“硬いもの”を見つけたんです。私の母が乳がんの全摘手術をしていたので、もしかしたら……と恐ろしくなってしまい、すぐに病院に行きました。いろいろな検査をして、その日は「95%大丈夫」という診断だったのですが、1週間後に検査結果を聞きに行ったら、乳がんだという診断で、全摘をすすめられました。目の前が真っ暗、頭の中が真っ白になって、先生の説明も途中からほとんど入ってこなくなってしまって。お会計を済ませて、外のベンチに座った瞬間、号泣しました。あとからあとから涙があふれて、どのくらい泣いたか自分でもよく覚えていません。少し落ち着いたところで、病院に行くことを伝えていた元夫に電話をしたのですが、彼の声を聞いた瞬間にまた涙があふれ出して、言葉が出なくなってしまって。彼は、私が泣き止むのを黙って待っていてくれました。

当時、中学2年生だった息子には、ちゃんと伝えようと思ったんです。家に帰って話そうとしたら、すでに元夫から聞いていたようで、「これからサポートしていくから大丈夫」って、そっと抱きしめてくれました。ちょうど反抗期で、うまくコミュニケーションがとれていない時期だったんですが、「息子の中にそんなやさしさがあったんだ」とすごくうれしくて、「この子のためにも死んだらいけない。がんばろう!」って、気持ちを切り替えることができたんです。

 
続きは本誌でお読みいただけます

病気をして変わったこと
がんと闘っている方、そして、そのご家族へ
これは人生経験のひとつ

 

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1969年、東京都出身。高校卒業後からモデルを始め、「LOEWE」「クロエ」「FENDI」など一流ブランドのファッションショーに多数出演。2008年、39歳のときに乳がんが見つかり、翌年、がんの発覚から手術、治療の経緯を綴ったエッセイ『モデル、40歳。乳がん1年生。』(KKベストセラーズ)を発刊。現在も女性ファッション誌、CM、広告、テレビなどで幅広く活躍しながら、ピンクリボン運動や講演活動などを行っている。環境セラピー・ジュニアセラピスト、ビューティーライフ・セラピストなどの資格を持つ。一男の母。