
悟りの精舎・総本山・日光精舎館長の伊田信光さんに、八正道の深め方を聞きました。
今、求められている信仰心からの「お立て直し」
本来の自分を取り戻すための「人類の秘宝」
大宇宙をお創りになられた仏は、最初に私たち人間を創造されたとき、「我のごとく偉大なるものとなれ」と願われました。
八正道とは、仏に創られたときの本来の自分に戻るために仏より与えられた「人間完成の道」であり、「人類の秘宝」なのです。
では、本来の自分とは一体何か。
それは「仏の子としての自分」であり、仏が一人ひとりにくださった「使命そのもの」です。
仏は私たちを創るとき、自由意志を与えました。しかし同時に、宇宙の理法から心がずれたときには、私たちの心の奥にある仏と同じ性質、仏性(ぶっしょう)は苦しみを感じるようにできています。
今、世界中で苦しみや悲しみが絶えないのは、人々が心というものを見失い、それぞれが人間心で勝手にルールをつくることで、人間が神に成り代わろうとしているからでしょう。
それを神中心の世界に戻していくのが神の正義の樹立。今という危機の時代に生きる私たちに求められていることです。
真の武士道とは何か
この信仰心からの根本的な「お立て直し」をするために、3万年前に日本に降り立ち、武士道の源流となられた天御祖神(あめのみおやがみ)の存在が明かされ、今再び本当の武士道とは何かが説かれ始めています。
大川隆法総裁は、経典『現代の武士道』のなかで、武士道とは、「利得、私欲を超えた正義の道を選んだ、勇敢な魂の生き方」と明かされました。さらに、仏陀の宇宙魂である宇宙存在、R・A・ゴールは霊言で、武士道の奥には「正邪を分かつ」という考え方があるが、正邪を分かつ前に、生死を超えた精神があると語っています。
「利得、私欲を超える」「生死を超える」とは一体どういうことか。
それは自分を肉体的な感覚で捉えるのではなく、「使命そのもの」である本来の自分に目覚めることです。
この3次元に生きている以上、肉体に宿っているので、どうしても自分を守ろうとする自己保存の思いや、性欲、食欲、睡眠欲をはじめとするさまざまな欲が出てきます。
だから、いつも霊的な視点に立ち返って、「それは自分ではない」と自覚し、「正見」「正思」「正語」「正業」「正命」「正精進」「正念」「正定」という八つの道を通して、心をコントロールする。
この八正道の実践がなければ、本当の意味で正邪を分かつ智慧を得ることはできないのです。
正しい信仰があってこそ自分を正せる
世の中には、自分を振り返る習慣を持っている方はいらっしゃるでしょう。でも、その振り返る基準とは何でしょうか。社会の常識でしょうか。法律でしょうか。それとも家訓でしょうか。
正しい信仰を持ち、仏の説かれる法を基準に自分を振り返らなければ、宇宙の理法にたどり着くことはできません。
正しい信仰とは、「自分が根本仏から、使命を与えられ、創られた存在だ」ということを受け入れることです。
この「信じる力」が強いのは、古来、女性の強みです。分析し、些末なことばかり追い求めがちな男性と違い、女性にはパッと直感で本質をつかめるところがあります。また、男性がのらりくらりと責任逃れし、自己保身をするなかで、前面に立ち、戦ったりすることもある。そういった腹が据わったところも神が女性に与えられた〝武器〞の一つでしょう。
ただ、女性は男性に比べ感受性も強く、感性的な方も多いので、理性的に自分を見つめ直す八正道には、つまづくところもあるかもしれません。何事も訓練でできるようになるものなので、次のページからの解説を参考に、毎日自分の心を正してみてください。
(武士道とは)「利得、私欲を超えた正義の道を選んだ、勇敢な魂の生き方」のようなものでしょうか。
『現代の武士道』より
正見(しょうげん)
「縁起を見るものは法を見る。法を見るものは仏陀を見る」と言われますが、この世界では自分の出した思いや行いは必ず返ってきます。嫉妬したら嫉妬され、裏切ったら裏切られる。今の環境はすべて、あなたがどういう存在かを知らせるために現れているものです。仏は今、自分に何を教えようとしているのか、すべてに仏の意図を見出す。
これが正見です。他人や環境のせいにする心を持っていては、それは見えてきません。
女性は自分を守りたい、守られたいという気持ちが強いものです。何にも依存せず、自分で自分の在り方を決め、それに対し責任を持って未来を拓いていく。禅の言葉で言うと、「無依(むえ)の道人」といいますが、この「精神の自立」こそ正見には必要です。
正思(しょうし)
正思とは主に、「貪(とん)」「瞋(じん)」「痴(ち) 」「慢(まん)」「疑(ぎ) 」「悪見(あっけん)」の六大煩悩の反省です。たとえば、体に悪いと分かっていても甘いものが食べたい。これは食べ物に支配され、自分をコントロールできない「不自由」な状態なわけです。この執われを一つひとつ外すことです。
また、仏ならどう思うか。これをいつも考えることも正思のポイントです。それは心がひねくれ、歪んでいてはできません。根本仏は20次元以上の存在であり、そのすべてを理解しようとするのは、蟻が象を考えるようなもの。
「素直さ」「謙虚さ」を忘れないことが大切です。この二つは、女性が美しい心を磨くうえでも大切な徳目でしょう。反対に女性が陥りやすいのは、「他人との比較」による劣等感や嫉妬心です。周りと比べるのではなく、仏の基準で考える癖をつけましょう。
正語(しょうご)
家庭や職場が壊れるのは、たいてい言葉からです。呟く言葉で自分の心を縛っている方も多くいます。この言葉の威力を知れば、不用意な発言を慎めるでしょう。
口ではこう言っているけれど本心は違う。こっちとあっちで言っていることが違う。これは女性にありがちなので、真実の言葉を出す努力をしましょう。また、励ましの言葉は人を立ち直らせ、愛の世界をつくる力になります。ぜひ、そんな周りを照らす女性を目指してください。
正業(しょうごう)
『真説・八正道』の正業では、現代人が持つべき仕事の心得が説かれています。ただ作業をするのではなく、仕事のなかにオンリーワンの仏性の輝きを込めることが大事です。また、周囲との調和のために女性が心がけたいのは「和顔愛語(わげんあいご) 」。「一歩引く」という姿勢で、縁の下の力持ちになることも女性に期待される役割の一つです。
正命(しょうみょう)
正命とは、「身(しん)」「口(く) 」「意(い) 」の三業(さんごう)の統合と言われます。言っていることとやっていることが違うのではだめで、その人が本気かどうかは、時間の使い方に表れるものです。
命を「自分のもの」だと思っているか、それとも、「仏から預かっているもの」だと思っているかで、人生はまったく変わっていきます。
また、女性が自堕落な生活をしているのは、男性から見ても残念です。精神性あふれる健康的な美しさを醸し出すためにも、まずは朝のスタートの仕方から生活を見直すことをおすすめします。
正精進(しょうしょうじん)
正精進とは正しい努力の点検ですが、これはあなたの努力は果たして「仏に向かう努力」かということです。たとえば、「浪人時代に16時間勉強した」と言っても、試験に通るための勉強なら、これは正精進ではないわけです。
また、継続できなければ、修行は本物ではありません。
「分かった」と思った瞬間から、仏の方向からずれていきます。だから、菩提心(ぼだいしん)を起こして「前後際断(ぜんごさいだん)」し、精進を続けることです。
元来女性は忍耐強く、毎日の家事など、静かに淡々と続けられるところがあります。そうした凡事徹底の姿勢が、しなやかな強さをつくっていくのではないでしょうか。
正念(しょうねん)
正念とはすばり、思いによって未来を創造していくことです。どんな思いもやがては実現していきます。だから、仏の方向、幸福の方向に、思いをパシッと定めましょう。10年、20年、30年と情熱を持ち続けるためには、仏の理想を受け入れ、「自分とは一体何者なのか」を探り、「こういうかたちだったら自分も喜びをもって仏に貢献できる」という、魂のうずきを発見していくことです。
正定(しょうじょう)
本当の意味で仏性を発見するためには、実は禅定に入らなければいけません。
仏性そのものの本質をつかむ、それはつまり、如来(にょらい)の境地ですが、如来の修行としての一番目は、「大円鏡智(だいえんきょうち) 」。鏡のごとき心を持つことです。これを持つことで、あらゆる生命が仏性を持ち、仏の慈悲によって生かされているという本当の世界の姿が見えてくるようになります。
『真説・八正道』には、「限りなく神仏と一体の境地を目指すこと」と説かれていますが、正定とはまさしく八正道の完成を表しているのです。
本当の意味で八正道を実践することができれば、一日一日に対する捉え方は、大きく変わっていきます。
この地上は、魂の修行の場であり、私たちは仏から許されて今世の命をいただいています。
もし今日で命が終わると考えたら、地上に降りた目的である、本来のミッションに立ち返り、為すべきことに全力を注ぐでしょう。
「明日もある」「明後日もある」「10年経ってから」。そんな考えでは、いつまで経っても、魂としての完全燃焼はできません。
魂の完全燃焼、それは、死の呪縛から解き放たれ、「永遠の今を生きる」ことです。
人生の一日一日、一瞬一瞬を、本当の自分で、全身全霊をかけて生き抜いていく。この「一日一生」の生き方こそが、この地上における、最高の生き方であると大川総裁は説かれているのです。
(「Are You Happy?」2022年3月号)
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