亡くなった方々への供養の祈りも、震災復興のために私たちができることのひとつ。
心理カウンセラーの水村和司さんに、故人に送る「愛念」が持つスピリチュアル・パワーについて聞いた。
実は、「供養」や「廻向」など、故人に向けられた祈りは、目には見えなくても本当にスピリチュアルなパワーを持っているのです。
私のクライアントさんの中には、ときどき霊感の強い方がいらっしゃいます。
彼らはたびたび死後、間もない人の霊を目撃するようです。
そのエピソードを交まじえながら、祈りがどのような作用をもたらすか、お話ししていきましょう。
エピソード
露天風呂に入っていたら、交通事故で亡くなった知人の男性が無念を伝えに来た。
あるクライアントの男性Aさんが仕事で熱海に行ったときのこと。
露天風呂に入っていたら、海のほうから白いものがヒュッと近くに来たそうです。
そして誰かが一緒にお風呂に入っている気配を感じました。
怖くて振り向けなかったものの、待っている感じがしたので恐る恐る振り向くと、そこには若い男性が……。
しばらくしてAさんは、それが知り合いの女性の彼氏で、つい最近交通事故で即死した人物だとわかりました。
その霊は、「彼女に会いたくて、無念を伝えたいんだけど、彼女は聞こえないようなんです。それで、気がついたらあなたのところに来ていました。伝えてもらってもいいですか」といいます。
後日Aさんが知り合いの女性にその出来事を話すと、泣きながら喜んだそうです。ところが一度では終わらず、その後もたびたび彼氏の霊が現れるので、Aさんは怖くなってしまいました。
それで、「もう見えない! 聞こえない!」と心を閉ざしたところ、見えなくなったということです。
水村解説
このケースの場合、Aさんが心を閉ざした、つまり無視したので見えなくなっただけで、残念ながら何も解決していません。
亡くなった彼氏が女性に無念を伝えたいというのは、人間として当然のことかもしれません。
しかし、当然の気持ちであっても、長く続くと「執着」となってしまい、あの世へ旅立ちにくくなるのです。
彼が一旦彼女への思いを手放すこと、Aさんが供養に関する正しい知識を身につけることを祈っています。
(「Are You Happy?」2011年6月号)