美と健康を手に入れるための歩き方<ウォーキングスタイリスト 櫻田千晶さん>

モデル時代のウォーキングレッスンで歩き方が体や心に及ぼす影響を実感。現在はウォーキングスタイリストとして正しい歩き方を伝え、心身を健康に導いている櫻田千晶さんに、誌面特別レッスンをしていただきました。

 

人生に影響する″歩き方〟

 私がウォーキングを意識したのは、モデルを始めた高校生のころのことです。それまでは猫背で内股の、典型的な″日本人の歩き方”でした。あのままの歩き方でいたら……とぞっとするほど、歩き方が人生に与える影響は大きいものと言えます。

 日本は着物文化が長かったためか、内股の方が多いのですが、外側に遠心力がかかるため、ふくらはぎが外側に広がってしまい、O脚の原因になります。日本人の95%がO脚と言われていますが、見た目が美しくないばかりか、セルライトができやすくなったり、お尻が下がることで尿漏れの原因になったりと、健康面でもトラブルを引き起こしてしまうのです。

 もうひとつ日本人に多い「猫背」も、筋肉が鍛えられないためお腹がポッコリと出て、背中や二の腕にお肉がついてしまいます。背中にぜい肉がつくと、後ろ姿が10歳老けて見えると言われます。歩き方を変えるだけで、スタイルや姿勢、健康面まですべてが変わってくるのです。

 

何歳でもO脚は治る

歩くときに肩と膝が先に出るのは「猫背」の証拠。正しい歩き方を意識されることをおすすめします。日本人は膝を曲げて歩くので、特にハイヒールを履くと美しくなく、とても残念に感じます。海外の方からも、そのような声はよく聞きます。

膝を曲げた歩き方もやはり健康に影響します。体重50キロの方が1歩歩くごとに、かかとに体重分の負荷がかかりますが、膝を曲げるとその5倍の負担が膝にかかってしまうそうです。日本に膝の関節を悪くしてしまう方が多い理由は、歩き方にもあるのではないでしょうか。

正しい歩き方なら血液やリンパ液が循環しやすく、筋肉もつきやすくなり、結果として骨も強くなります。段差などでつまづくことも減り、年齢を重ねても元気に歩けるのです。

私のスクールに8年くらい通っている70代の生徒さんは、20センチも隙間が空いている極端なO脚で、「こういう脚の家系だから仕方ない」とおっしゃっていたのですが、レッスンを続けていたら2年後には真っすぐになりました。何歳になってもO脚は治るのですね。

寝たきりの方を減らしたい

歩き方や姿勢は、客観的な視点がないと直せないので、親御さんには小さいうちからお子さんを見てあげていただきたいです。私のスクールも、下は10歳から上は何歳まででも受け付けていますし、実際に親子で通われている方もいらっしゃいます。

日本は長寿大国と呼ばれ、平均寿命は世界トップクラスですが、健康寿命はそれほどでもなく、女性は平均約12年を寝たきりで過ごすというデータもあります。つまづきにくい正しい歩き方を伝えることで、寝たきりの方を減らし、女性たちにもっと輝いてもらいたいんです。女性が輝けば男性も元気になります。日本全体を元気にするためにも、正しい歩き方をたくさんの方に知っていただきたいですね。

 

美しい立ち方

美しいウォーキングの基本は美しい立ち方から。
壁に背中をつけて、正しい姿勢を確認しましょう。

●かかととくるぶしをつけて真っすぐ立ったときに、太ももと膝、ふくらはぎがつく状態が理想の脚の形です。横から見て、耳の穴、肩の先、股関節、膝、くるぶしが一直線になるのが基本の立ち方です。

●壁に背中をつけ、肩をぴたりと壁に押し付けます。肩の先と壁の間はおよそ5センチです。

●背中と壁の間は、手首が入る程度が正しい姿勢です。こぶしが入るほどすき間がある場合は、骨盤が前傾している可能性があります。

●かかとをつけ、つま先はこぶしが1つ入るくらいに開きます。

 

★O脚を治すエクササイズ

上記の「美しい立ち方」のときに太もも、膝、ふくらはぎのどれか1つでもくっつかない場合はO脚です。タオルを2枚重ねてたたみ、両膝ではさんで3秒ほどギュッと思い切り寄せて、膝の内側の筋肉を刺激します。毎日3セットを何度か行えば、少しずつ改善していきます。

(「Are You Happy?」2018年7月号)

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