前号に引きつづき、大川隆法総裁の著書『じょうずな個性の伸ばし方』を、奥田先生と一緒に学んでいきます。
誰にでも「あのころ」があった
あなたは、思春期のころの自分を憶えていますか。何を考え、何を感じていたか、ありありと思い出すことができるでしょうか。
中学や高校のころ、毎日、恥ずかしいことや悔しいことの連続だった。自分では解決できない問題がたくさんあった。親に言えないこともたくさんあった。体が変わっていくことが恐かった。受験のプレッシャーも半端なくあった。もうすぐ出て行かなければいけない社会に対して現実感がなく、漠然と不安だった。大人が不純に見えて腹が立つけど、自分がまだ何もできない未熟な存在であることも、胸の奥でわかっていた。親の庇護下にいることは頭でわかっていても、どうしても親の生き方に反抗したくて、毎日むき出しの感性で生きていたあのころ。いろんなことが痛かった。
やがて、押し出されるように社会に出て、様々な経験を積み、人生の山をいくつか越えて、大人になった私たち。
思春期の子どもたちは、いままさに、あの大人の手前の大混乱の中で、自立への道を模索しているのです。手探りで歩きながら「自分」と「自分の人生」を見つけ出そうとしているのです。
「ああしろ」だの「こうしろ」だの
「自分で考え、自分で決めて行動したい」という強い意欲を持ち始めた彼らには、ああしろだのこうしろだの言う親が、宿敵に見えてきます。
「生意気なことを言うな」と威圧する父親も、「あなたのことを思って言ってるのよ」と押し付けがましく言う母親も、結局自分の意見など聞いてはくれない。この親を打ち倒さないと、「自分」というものがつぶされてしまうかもしれない。そんなのは嫌だ! だから、必死に反抗してくるのです。
本書153ページには、このように書かれています。
「子どもが言ってくる意見でも、参考になるところや聴いてやるべきところを聴いてやり、親が『勉強になったよ』『いい意見だ』と認めてやると、自分の意見を聴いてくれたと思ってひと回り大きく成長してくることがあります」
親が自分の意見を真剣に聴いてくれた、人としてちゃんと尊重してくれた、それは、子どもにとってこの上なく有難くうれしいことなのです。
負けたくない、負けてほしくない
思春期の子どもは、みな「親を乗り越えたい」という使命感のようなものを持っています。だからバンバン攻撃してきます。親に負けたくない! でも、親に負けてほしくもない……。自分の攻撃ぐらいでは揺るがない強い親であってほしいのです。自立前の、最後の甘えかもしれませんね。
親は、子どものパンチに多少よろめきながらも、人生の先輩として強い姿を見せつつ、かつ、わが子を人として尊重し、その言葉に真摯に耳を傾けることも忘れないでいたいですね。
ポイント
子どもにとって、親は最初の“スパーリング相手”でしょうし、みな、「親を乗り越えなければいけない」という使命感のようなものをもっているところがあります。
(153ページ)
(2012年5月号「子育て110番」)
奥田敬子
早稲田大学第一文学部哲学科卒業。現在、幼児教室エンゼルプランVで1~6歳の幼児を指導。毎クラス15分間の親向け「天使をはぐくむ子育て教室」が好評。一男一女の母。