更年期障害の治療法

1.ホルモン補充療法

更年期障害の主な原因は女性ホルモンの減少ですが、それに対して、女性ホルモンを補うことで、症状を改善させようとする治療法がホルモン補充療法です。主にホットフラッシュなどに効果があります。

女性ホルモンは通常、骨形成に働いて丈夫な骨を作ったり、血中の善玉コレステロールを上昇させて血管の中をきれいにしたり、脳細胞に働きかけて気持ちを安定させたり、毛髪の増加、胸やお肌の張りを維持したりと、体のさまざまなところに作用しています。

そのため、早く閉経を迎えた場合(42歳以下)、骨粗しょう症や脂質異常症など他の病気を起こす可能性も高くなるのです。これらの予防としてもホルモン補充療法は使われます。

2.漢方薬

東洋医学では、更年期障害は体内にある「気・血・水」の変動、滞り、偏りによるものと考えられています。ここでは、よく処方される3種類の漢方薬についてご説明します。

① 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)……冷え症でむくみやすい、めまいのある方。

② 加味逍遙散(かみしょうようさん)……疲労しやすく不眠、イライラのある方。

③ 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)……症状が激しく、のぼせ、ほてりのある方。

以上は「三大漢方婦人薬」とも呼ばれ、更年期障害以外にも、重い生理痛や便秘、冷え症など婦人科系のさまざまな症状に使用します。

3.治療法の注意点

ホルモン補充療法は、乳癌、血栓症のある方には使えません。

また、5年以上処方し続けると、乳癌リスクが1.2倍高くなる可能性がありますので、血液検査や乳癌検診などの定期的なチェックが必要です。

投与量や方法(飲み薬、張り薬、塗り薬など)によって効果も変わるため、主治医とよく相談の上、適切な治療を行いましょう。

更年期は次の段階への移行期間です。不調をきっかけに体を点検し、生活を見直し、改善してみてはいかがでしょうか。

(「Are You Happy?」2013年12月号)

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