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子供の知的好奇心の発芽を大事に育てましょう〔子育て110番〕

だいちゃんの“タウマゼイン”

1歳9カ月のだいちゃんは、私と目が合うと必ず「ニヤァ」と笑って突進してきます。私は、野球のキャッチャーがミットを引きながらボールを受け止めるように、かわいい頭をふわりと受け止め、おめめを覗き込んで「エアコン?」と聞くと、彼は目と鼻の穴を倍ぐらいに開いて息を吸い込みます。

期待に胸をふくらませる彼の手を引いて、エアコンのスイッチがある壁ぎわまで一緒に歩き、抱き上げてエアコンのスイッチを押させてあげます。彼は、運転ボタンが点灯してグリーンに光るのを確認すると、じーっと天井を見上げて、エアコンの4枚の羽がゆっくり開くのを20秒以上真剣な目で見つめます。

エアコンのスイッチを押すとエアコンが作動する。大人にとっては当たり前でも、1歳9カ月のだいちゃんにとっては大発見です!

昔々、古代ギリシャにタレスという哲学者がいました。彼は、「自分の推測通りなら、今日、日食が起きるはずだ」と考えて、水たまりに映る太陽をじっと観察して待ちました。やがて水たまりの太陽が少しずつ欠け、本当に日食が起きました。まだ今日のような天文学がなかった時代のことです。

この時のタレスの驚きを「タウマゼイン」と言います。「知的探究の始まりにあるものすごい驚き」を表す言葉です。

だいちゃんは、今、小さなタウマゼインを体中で感じています。そして、「思った通りの変化」を確認すると、何度もエアコンを点けたり、消したり、点けたり、消したりして、「壁のスイッチとエアコンの羽の連動性」を楽しみます。

「じゃあ、別のスイッチを押すと、何が起きるのかな?」と彼がひらめく日が来るのが、今から楽しみでなりません。

としくんの“タウマゼイン”

2歳半のとしくんは、少し前に「ハサミ・タウマゼイン」を体験してしまいました。「この道具、すごい!」「ジョキンって切るときの音と感覚がおもしろい!」彼の目がそんなふうに輝いています。

それ以来、彼はハサミに夢中で、他の教具には見向きもせずひたすら「ハサミ職人」のように紙を切り続けました。そしてあっという間にハサミが上達しました。

2歳の子がハサミを使うのは、ママにとってはドキドキですよね。安全な玩具(おもちゃ)なら、玩具に子守をさせてママはその間に自分の用事ができますが、ハサミという、使い方によっては危険な道具を子供に使わせるとなると、ずっとそばで寄り添って見守らなくてはなりません。

でも、危ないからと言って使わせないと、せっかくのとしくんのタウマゼインが萎(しぼ)んでしまいます。ここはちょっと大変でも、「子供に寄り添い、少し導き、長めに見守る」ことをしてあげましょう。

幼児にハサミを教える際は、先の丸い子供用ハサミと、細長い紙を用意し、両足がしっかり床につく子供イスに座らせ、イラストのように目線より少し低い位置、おなかの前あたりで身体に垂直にハサミを構えさせます。紙は身体と平行に持ち、ハサミをタテに開いて「チョキン」と「1回切り」をします。これを繰り返すと、やがて正しい持ち方で「チョキチョキ」と連続切りができるようになります。

子供の知的好奇心の発芽を、大事に育ててあげたいですね。

(「Are You Happy?」2018年7月号)

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