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目力を取り戻すー岡野宏のビューティーレッスン

40年にわたりNHK美粧部に在籍し、国内外の女優や政治家などのメークアップに携わってきた岡野宏さんが考える「魅力ある人」とは? さあ、一緒に美しさへの一歩を踏み出しましょう。

優しさをも伝える目力

発した言葉に説得力がなくなったと感じたら、鏡を見てください。目の下の隈は目に力がなくなり、伝える力が弱まっているサインです。アイメークの力を借りましょう。強さだけでなく優しさや温かさを伝えるにも目力は必要です。

ジバンシーのアドバイス

目が大きいだけでは目力があるとは言えません。「目ばかり目立つと他の良さが消えてしまう」と、控えめなアイメークをしていたオードリー・ヘップバーンですが、仏のオートクチュールデザイナー、ジバンシーから要望がありました。

「シンプルで上品な服を作るのでメークは目だけ、しっかりと作るように」

映画「麗しのサブリナ」や「ティファニーで朝食を」でヘップバーンの人気が高まった背景には、ジバンシーが衣装だけでなくアイメークをも指導している姿があったのです。

グレーシャドーの効果

一方、映画祭のために来日したジャンヌ・モローは、メークを担当する私に「アイラインをいつもより控えめに引いてほしい」とおっしゃいました。あまりアイメークをしない日本人の中で浮いてしまうことを心配されたのです。

しかし、アイラインを弱くしたらジャンヌ・モローらしさが消えてしまいました。そこで、目の上にグレーのシャドーを強めに入れたところ、たいへん気に入られました。

「こういう方法もあるのね」

アイラインが上手く描けない方は、まつ毛の根元にグレーのシャドーを入れましょう。強く入りすぎたかなと思うぐらいで、ちょうど良い濃さになります。

アイラインを描くのが苦手な大竹しのぶさんにこの方法を教えたところ、目の下をシャドーで汚されてしまいました。それを防ぐには、シャドーをブラシにつけた後、よく振るかティッシュで軽くぬぐってから肌にのせます。あらかじめ白いパウダーを下まつ毛の下に塗っておいたり、ティッシュを添えてカバーしてもよいでしょう。

最後は黒に戻る

柔らかさを見せるためにブラウンなどのアイライナーを使う人もいますが、やはり最後は顔を締め、ハッキリ見せてくれる黒に戻ってきます。あの金髪の代表女優のマリリン・モンローもアイラインは黒でした。

ペンシルのアイライナーは、時間とともににじんで自然に見えるので、液体ライナーの苦手な人にもおすすめです。かわいく見せたいなら、瞳の上下を太めにし、目尻を短く引きます。

うっすらつけたいときは、書道用の墨を筆で入れると自然に見えます。沢村貞子さんは手のひらに収まる小さな硯すずりをいつも持ち歩かれていました。

一重は個性を活かす

一重まぶたの人は、目の中ごろから目尻に向けてラインを引きます。目尻は糸を引いたように7〜8ミリ余分に描くと日本的な良さが出て、二重の人にはない爽やかでキリッとした印象に仕上がります。一重の気の強さが気になる人は、まぶたに淡くピンク色を差しましょう。独特の目力で人気の出た田中裕子さんのような、ポーッとした柔らかさが生まれます。繊細なラインと淡いピンク色で個性を引き立てましょう。

© K’s color atelier

「自然界から彩りがなくなるこの季節 アイラインで華やぎを」

今月のレッスン

言葉に力がなくなったと感じたら、アイメークを見直してみましょう。

 
(「Are You Happy?」2018年11月号)


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