web-201810-平林さん

JAXA名誉教授 平林 久さん 「宇宙にはまだ大きな謎があります。」

電波天文衛星「はるか」の科学主任として宇宙の謎の解明に取り組んできたJAXA名誉教授の平林久さんに、宇宙はどこまで科学で解明できているのか聞きました。
 

宇宙はダイナミック!

――「宇宙研究を一生の仕事にしよう」と決めたのは、いつですか。

平林(以下、平) 1960年代後半の大学院生のころです。私が専攻した電波天文学は日本ではスタートしたばかりで外国との差が大きく、あまり成果も出ていませんでした。それまで天文学では目で見える光を望遠鏡で観測していましたが、電波技術の発展に伴って、宇宙から地球に届く電波を観測する電波天文学が始まったんです。
 当時、世界では電波天文学で衝撃的な発見が二つありました。ひとつは65年の、宇宙のあらゆる方角から来る、微弱な電波の発見。これは宇宙がビッグバンで始まったという説を裏付ける観測事実です。もうひとつは67年に、強い電波を周期的に出す不思議な天体が見つかったこと。その正体は中性子星という原子核の巨大な塊のような星でした。
 この二つの発見に、「宇宙はすごくダイナミックで、何があるか分からないぞ」と感じたのです。

――平林さんが科学主任として取り組んだ、電波天文衛星「はるか」では、どんなことを調べたのですか。

 宇宙の果てに近いところにある、太陽の約1億倍の重さの超巨大ブラックホール周辺の現象です。
 60年代から、クエーサーという強い光を放つ天体が遠くの宇宙に見つかっていました。例えば、うしかい座の方角にある銀河3C296を望遠鏡で見ると、上の画像1の緑色の部分のように淡い銀河が見えます。これを電波望遠鏡で見ると、画像で赤く映る、対になっているジェットが見える。その大きさは光速で50万年かかる長さになるほどの巨大さです。90年代に入って、この中心にブラックホールがあるらしいことが分かってきました。
 「はるか」は衛星として地球の周りを回りつつ、宇宙からの電波を観測します。同時に同じ天体を地球上の各地の電波望遠鏡で観測することで、解像度を大幅に上げることができるのです……

アユハ2018年10月号表紙 (590x800)
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