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銀座「クラブ由美」 伊藤由美ママ「男女の コミュニケーションに大切なのは 『気遣い』です」

23歳で「クラブ由美」を開店し、〝銀座の超一流クラブ〟として名だたるVIPたちをもてなしてきた伊藤由美ママ。長年の経験で身につけたセクハラ回避方法や、男女のコミュニケーション術についてお話しいただきました。

「セクハラ」判定の難しさ

 今、何かとセクハラ問題が話題になっていますが、私はどちらかというと、何でもセクハラだと決めつけてしまうのはよろしくない風潮と思っています。もちろん、自分の立場を利用して女性に迫るなど、卑劣な行為は許してはいけません。しかし実際には、仕事のために自ら男性に近寄り、利用しようとする女性もいるわけです。そういったさまざまなケースをどこまで〝セクハラ〟と呼ぶのか判断するのは、難しい問題だと思います。ある人にされればセクハラだと感じられても、別の人にされれば嫌ではないということもあり得ます。

 同じ言葉でも、言い方ひとつで印象も変われば、受け取り方も人それぞれです。すべてを〝セクハラ〟という言葉で一括りにするのではなく、一つひとつを見定めることが大切だと思うのです。

 セクハラに悩む女性がいる一方で、セクハラだと言われるのを恐れ、「女性にはメールすらできない」という男性がいるのも事実。相手に何一つ不愉快な思いをさせてはいけないのなら、コミュニケーションが取れない不自由な世界になってしまいますよね。

銀座のママが教える上手なかわし方

 女性が過敏になりすぎてしまうのもはかばかしくないことかと思いますが、銀座にクラブを構えてからの36年の間には、ごく稀にマナーの悪い方もいました。もちろん常連様は紳士的なお客様ばかりですが、時折、お連れ様の中には女性を口説かれる方も。基本は同伴以外の店外デートは禁止なのですが、遊び慣れていないのか「休みの日に映画でも」と。そういった誘いには、職業柄、基本的には自分でうまく切り返すことが必要になります。

 例えば、店内での場合、体に触れたがる方には、逆にこちらから相手の手をソファの上で軽く押さえるとか。そうすれば、手に触れられているので男性も嫌な気持ちにはなりません。

 下品なことや下ネタばかり言う方には、うまく話題を切り替えられるように、わざとらしくスタッフに「〇〇持ってきて」などと話を一旦中断。即座に別の会話を切り出します。ここで相手の好きなことや得意なことに話題を変えられれば、機嫌を直してうれしそうに話してくださるはずです。そのためには、常に相手が何を望んでいるのか、よく観察することも大切ですね。

 職場でしつこくデートに誘ってくる男性がいる場合は、態度をあいまいにせず、嘘だとしても「彼氏がいるので、男性とふたりきりでは会えません」とハッキリとお断りしましょう。もしくは「他の人も誘っていいですか?」と必ず複数人で行くことを提案して、ふたりでは会わないようにすることです。

 相手の行動や言葉をうまく切り返すことができないと、男性の言いなりになるだけですから、相手を不快にさせない上手なかわし方や断わり方を知っておけば、自分の身は自分で守ることができるはずです。

セクハラやパワハラは〝弱いものいじめ〟

 女優の杉本彩さんが立ち上げた「公益財団法人動物環境・福祉協会Eva」の理事として参加し、一緒に活動していますが、動物を虐待する人間は、エスカレートすると暴力の矛先を必ず人に向けます。これはセクハラ問題でも同じです。動物や女性、子供など、自分よりも弱いものに愛情を注げず、威張って他人を見下したり、ささいなことに怒って周りに当たる人ほど、セクハラやパワハラが多いと感じます。結局、ハラスメント行為は、〝弱いものいじめ〟です。自分を強く見せようとする人ほど実はコンプレックスが強く、力や立場が弱いものをいじめて、自分のほうが偉いという歪んだ優越感を確認しているだけだと思います。

 セクハラやパワハラを繰り返す人は、どこへ行っても嫌われますよね。するとますます卑屈になり、「どうせ俺は誰にも大事にされないから」と、劣等感を深めてしまい、寂しい人生を送ることになってしまいます。「女性や子供、部下など、自分よりも弱いものに対して思いやりを持てるか」ということは、とても大切です。

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