web-201809-芸能界セクハラ

ハリウッドと日本の「セクハラ告発」

昨年10月にハリウッドから始まったセクハラ告発運動は、業界に根深く残る性的暴行の実態をあぶり出しました。この動きは日本の芸能界にも波及しています。一連の出来事を振り返ります。
 

 始まりは、ハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインによる数十年にわたるセクハラや性的暴行を女優たちが告発したことでした。映画「恋におちたシェイクスピア」(1998年)や「シカゴ」(2002年)のプロデューサーとしてアカデミー賞を受賞し、業界に大きな影響力を持つ同氏に逆らえず被害を受けたという人々が、実名で訴えたのです。女優のアリッサ・ミラノがツイッターで、「Me too(私も)」と声を上げようと呼びかけると、同様の被害を受けた女性たちが次々と応え、世界的なセクハラ告発運動に発展。SNSで同じテーマを共有する際のハッシュタグを使って「#MeToo運動」と呼ばれています。

 こうして、ハリウッドにおける深刻な性被害が浮き彫りになっていきました。この顛末は、新人俳優時代の交際相手が被害に遭い、ワインスタイン本人に直接抗議したことでも知られるブラッド・ピットが、プロデューサーとして映画化すると発表されています。

 日本では、人気ブロガーのはあちゅう(伊藤春香)さんが会社員時代に受けたセクハラを告発したり、モデルのKaoRiさんや水原希子さんが写真家のアラーキーこと荒木経惟氏にセクハラを受けたことを告発しました。

 ただ、日本で注目されたのは、財務省の福田淳一事務次官の辞任劇でした。福田氏の女性記者へのセクハラ発言が週刊誌で報じられ、音声も公開されると、福田氏は辞任に追い込まれました。それでも騒動は収まらず、野党の女性議員らが「#MeToo」と書かれたプラカードを掲げ、黒い服を着て、財務省に抗議しました。

 これについて、インターネット番組「THE FACT」のメインキャスターで芸能・マスコミに詳しい里村英一氏は、こう解説します。
 「福田氏のセクハラ事件は、森友加計問題で安倍政権を追及する中で起きてきた問題です。なかなか決定打が出ない中で、安倍政権を批判できるなら何でもよかった。野党の女性議員たちがこれを#MeToo運動だと主張していましたが、本質的には違う問題だと見た方がいいでしょう」

 一方、ハリウッドの#MeToo運動にも違う見方があります。仏ル・モンド紙では、フランス人女優のカトリーヌ・ドヌーヴなど100人の女性たちが連名で、加害者に弁明もさせずに性犯罪者と同様に扱うのは「行き過ぎた断罪」だと批判する声明文を発表しています。

 目指すべきは、被害に遭い、苦しんでいる人々を救うこと。断罪や攻撃が目的ではないはずです。加害者に反省を促し、罪を償わせるのは当然のことですが、攻撃が目的化していないかについては、注視する必要がありそうです。

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