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リネンの効用。目的と手段<希望の洋服店 M SELECT>Vol.22【試し読み】

「パートナーをもっと美しくオシャレにしたい」――そんな女性たちの願いを叶えるファッションコラム。メンズファッション業界の裏側を知り尽くした油井誠氏が、女性読者とそのパートナーのファッションセンスUPをお手伝いします。
 

去年からシルクが高騰していますが、その背景には中国富裕層の高級志向に加えて投機的な買いもあるようです。好きで買うなら正直ですが、投機は豊かさの表現手段である「お金」自体が目的になってしまいます。高級素材といえばリネンも人気で値上がりしつつありますが、そもそも麻とリネンは同じなのでしょうか。植物繊維「麻」のうち、「リネン」は亜麻の茎から作る中でもいちばん柔らかい繊維で、フランス北部、ベルギー、ロシア等が主産地です。欧州では衣類をはじめ、ホーム、テーブル、キッチンリネンなど生活に密着し、年間を通して使われてきました。高級ホテルのシーツやベッドカバーはベッドリネンと呼び、夏限定でもなさそうです。

 リネンの効用は主に3つです。ひとつは「吸水発散性」で、水分や汗を素早く吸い取り発散させてくれます。これが、リネンが夏に好まれる理由です。結果、防カビ性に優れ、臭いも抑えてくれます。ふたつめは、天然素材の中でもっとも汚れ落ちがよく洗濯に強いこと。洗えばさらに柔らかくなり白さも増すので、ホテルで使われるのも納得ですね。ただし薄い染色は色落ちが早いことも。3つめは肌への優しさです。リネンにはペクチンが含まれているのでチクチクせず、ソフトな肌触り。さらには繊維中の空気が体温調節をしてくれるので、寒い季節も暖かいオールシーズン繊維のようです。

アユハ2018年8月号表紙 (590x800)
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記事DATA

油井誠 Makoto Yui

長野県生まれ。関西外国語大学外国語学部英米語学科在学中にアメリカへ留学。卒業後、セツモードセミナーで絵と服飾デザインを学び、編集記者、ファッションモデルエージェントを経てファッション業界へ。メルローズのプレスを皮切りに、Men’s Melrose、TAKEO KIKUCHI、パーリーゲイツのメンズデザイナー、伊勢丹研究所のメンズコーディネーター、ラコステのメンズMDチーフ、リーバイ・ストラウスジャパンのバイヤー、MDプランナーなどを務める。現在はフリーランスとして活動中。