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ノーファンデーションのすすめ「岡野宏のビューティーレッスン さあ、はじめましょうか!」第15回 (試し読み)

40年にわたりNHK美粧部に在籍し、国内外の女優や政治家などのメークアップに携わってきた岡野宏さんが考える「魅力ある人」とは? さあ、一緒に美しさへの一歩を踏み出しましょう。
 

夏の化粧くずれ

40年ほど前の夏「薄化粧のHONDA受付嬢、爽やかな社風」と、新聞記事に載りました。汗で崩れた化粧を見かねた本田宗一郎さんが、「夏の間だけ、女性社員は化粧をしなくともよい」と提案されたそうです。その記事を読んだ盛田昭夫SONY社長がうなりました。

「先にやられた。崩れた化粧は見られたもんじゃない。夏なんて化粧しないほうが涼しげだし、美しいのではないですかね」

経済界きっての洒落者ふたりが、そろって真夏のメークに疑問を呈したのです。
 

素顔が感じよい
パリのご婦人たち

夏になると女優から、どうすればファンデーションなしでいい感じに見せられるか相談されます。プライベートではファンデーションを塗らずに過ごしたい願望が強いのです。  
 
「でもね、シミやそばかすをさらすのって相手に失礼にならない?」

と心配したのは女優の壇ふみさんですが、日本の女性は、ファンデーションなしの顔を相手にさらすのが失礼になるという気持ちがあるようです。

夏のパリの街を行き交うご婦人たちをうらやんだのは松坂慶子さんで、「すれ違う人、皆素顔よね」とおっしゃいました。日焼けすることがステータスの欧米では、シミ・そばかすは夏を謳歌した証ですから、それらを隠す気がありません。素顔だと涼やかに感じられますし、どのような年齢の人でも、比較的皮脂が多めに出るので艶があり、きれいに見えます。

「ファンデーションなしだけど、眉とか目とか、口紅に重点を置いていて、いい感じよね」

ファンデーションを塗らなくても、ポイントを押さえれば、相手に対して“気を遣っています”ということが伝わり、失礼にはあたりません。…

イラスト: © K’s color atelier