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“ちょっと”のこと「岡野宏のビューティーレッスン さあ、はじめましょうか!」第14回 (試し読み)

40年にわたりNHK美粧部に在籍し、国内外の女優や政治家などのメークアップに携わってきた岡野宏さんが考える「魅力ある人」とは? さあ、一緒に美しさへの一歩を踏み出しましょう。
 

“ちょっと”の差

新人女優が人前で長い髪の毛先をつまみ、指の先に巻きつけいじくっています。本人にとっては何気ない行動なのでしょうが、見苦しいので注意をすると、
「そんな、ちょっとしたことで!?」と言い返されました。

彼女は、その“ちょっと”の差の大切さに気がついていないのです。
 

わずかなことに
振り回されてみる

女優の池内淳子さんの着物姿は女優たちの憧れです。
その池内さんが、ドラマの衣装合わせで悩まれていました。着物の表地の色はすんなり決まりましたが、裏である裾回しの色が決まりません。長いこと黙ったまま宙に目を向けていらっしゃいました。

「この次まで、考えさせてくださらない? そのとき、長襦袢の半襟も決めるわね」
その後、お会いしたときに、何を悩まれていたのか尋ねてみました。
「私に直接良し悪しを言ってくれる人たちは、裾回しや長襦袢の半襟にうるさいのよ。変な色合わせをしていたら、そっぽを向かれてしまうわ」
池内さんは、困ったような、でも楽しそうな顔をされました。

「こんな少しきり見えないところに、いつも振り回されているのよ」
見られる怖さと満足感の間を、常に行き来きしているそうです。……

イラスト: © K’s color atelier

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