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親世代とは違う! イマドキのいじめ・非行事情「現代のいじめ・非行は “見えにくく”なっている」(2012年7月号)

もし自分の子どもが学校でいじめを受けたら? もし非行に走ってしまったら? はたまた、ニートや引きこもりになったら? ――子どもが小さいときはもちろん、親より体が大きくなってからも、子育ての悩みは尽きません。このコーナーでは、いじめと非行から子どもを守る方法について、現代ならではの事情も交えながら専門家にお話を伺いました。

Q. 子どもがいじめられないか不安です。最近のいじめはひどいと聞きますが……?

A. 以前より陰湿で陰険になり、いじめに対する子どもたちの考え方も変化しています。(井澤さん)

携帯電話やインターネットの普及により、いじめもメールやコミュニティーサイトなどを使った“ネットいじめ”に変化していると思われがちです。でも、私たちが受ける相談では、言葉でのいじめや無視が中心で、さらにメールでもいじめられる、といった形がほとんどです。ただ、現代のいじめは以前より陰湿で陰険なものになっています。

警察庁のデータによれば、「いじめはおもしろい」、「うざい、不潔、空気が読めないなどの理由があれば、いじめてもかまわない」と考える子どもがおよそ80%。子どもたちがいじめを悪いことだと思っていないことがよくわかります。

さらに現在のいじめは、クラス全員が加担してくるケースが多いことも特徴です。いじめに加わらないと仲間はずれにされ、かばったりしたら次のターゲットにされてしまいます。子どもたち自身でいじめが止められないことも、エスカレートする原因のひとつです。

いじめられサイン

お子さんからこんなサイン、出ていませんか?
◦頭痛を訴え、学校に行きたがらない。
◦帰ってくるとすぐに部屋に閉じこもる。
◦理由はわからないが成績が低下。
◦親の前で携帯メールを見なくなる。
◦友達からの電話に出たがらない。
◦妙に明るく装う。
◦教科書に落書きがある。
◦物をよくなくす。
◦急に元気がなくなる。
◦急にお金を欲しがる。
◦すり傷や打撲がある、服を汚してくる。
◦おねしょをする。

Q. もしも子どもがいじめにあっている場合、解決のためにまず親がすべきことは?

A. 「私がこの子を命をかけて守る」と決意してください。(井澤さん)

まず、子どもを絶対に守ると決意することです。そして、その決意を言葉や行動で子どもに伝えてください。親がしっかりしないと、子どもは敏感に察知し、「パパやママは私が嫌いなんだ」と落ち込んでしまいます。 

あるお母さんは、高校2年生の娘さんがいじめで不登校になったとき、「学校に言わないで」と泣き叫ぶ娘さんを振り切って学校に抗議。(お母さんが守ってくれる)と安心した娘さんは、だんだん元気になっていきました。

今はいわゆる“モンスターペアレント”も多いため、「親同士で話し合う」という手段は危険です。実際に、いじめっ子の親に怒鳴り込まれた、などの事例が後を絶ちません。学校から相手の親に伝えてもらいましょう。学校にはそのような指導責任があります。

いじめの解決にはパターンがあり、そのマニュアルに沿えば必ず収まります。悲観せず、勇気を持って立ち向かいましょう。子どもを守れるのは、親しかいないことを知っておいてください。

いじめ対処法

1 保護者はいじめに立ち向かう決意をする
2 いじめの内容を文書にする(証人、証拠を集める)
  Point! ICレコーダーで学校や相手の保護者とのやりとりなどを録音しておきましょう。
3 いじめっ子を注意し、叱るよう学校に申し入れる
  Point! いじめっ子を叱り、きちんと謝罪させるよう学校に申し入れましょう。
それでもダメなら
4 教育委員会・警察・法務局・地元議員・マスコミなどを巻き込み、再度学校に迫る

Q. いじめの事実を訴えても学校が非協力的です。どうしたらいいですか?

A. 教育委員会や警察、法務局、地方議員、マスコミなどを巻き込んで“大事”にしてしまいましょう。(井澤さん)

昨今のモンスターペアレントの増加もあって、学校側もことを大きくしないように望む傾向が強いといえます。

いじめっ子の親が“逆ギレ”して学校に乗り込み、校長と担任に土下座を要求。学校側も言われるままに土下座をし、被害者の親に「いじめはありませんでした。勘違いでしょう」と言ったという、信じられない事件もあります。戦う気力がなくなっているんですね。

学校側が誠意ある対応をしない場合は、教育委員会や警察、法務局、地元議員、マスコミなどに相談しましょう。学校ぐるみでのいじめの隠蔽には、外部からのチェックが必要です。ものを壊されたり、暴力や精神障害などが発生する「いじめ」はもはや犯罪。警察に「被害届」を出すことも考えましょう。

とにかく“大事(おおごと)”にすることです。学校側も、いじめ問題から逃げずに取り組むうちに意識が変化し、新たないじめが起きにくい学校に変わっていきます。保護者の声が、学校の未来も変えていくのです。

マスコミに訴えて学校を動かしたお母さん

あるお母さんは、いくら学校にいじめを訴えても効果がありませんでした。業を煮やして某大手新聞のインターネットサイトに「いじめと学校の対応について」を投稿したところ、その日のうちに新聞社から連絡があり、記者が取材に来ました。そしてすぐに記事になり、学校は保護者からの問い合わせで大騒ぎ。もう逃げることはできなくなり、PTA総会を開いて釈明する事態に。もちろんいじめも収まりました。

“自立”と“自律”のできるいじめと縁のない子どもに

最近多い相談に、友達を独占したくて他の子と遊ばせないといった、本人は“愛情表現”のつもりのいじめがあります。善悪の基準がわからず、自分の心をコントロールできない子どもが増えているように感じています。
同居や近所づきあいが当たり前だった時代と違い、今は親の人間関係も希薄で、子育ての知識が自然に入ってくる環境ではありません。人の話を聞く、本を読むなど、知識を吸収する努力が今の保護者には不可欠になってきています。
どうか「この環境は子どもの成長にふさわしいか」「親としてこんな心境や思いでいいのか」などと、折に触れて考えてみてください。そして、“自立”と“自律”のできる、いじめと縁のない子どもに育ててあげてください。

一般財団法人いじめから子供を守ろう!ネットワーク
Tel:03-5719-2170 Fax :03-3492-7137
E-mail:kodomo@mamoro.org
URL: http://mamoro.org/

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記事DATA

井澤一明 Kazuaki Izawa

一般財団法人「いじめから子供を守ろう ネットワーク」代表

教育評論家

1958年静岡県生まれ。国立沼津高専卒。元システムエンジニア。
医療機器の保守メンテナンスを皮切りに、医療機器ソフトウェア開発、ハードウェアの開発に携わる。主なコンピュータ言語はアセンブラ、C言語、SQL。
その後、システム管理責任者、カスタマー相談室責任者を経て、2006年の秋頃より知人と共にいじめ防止活動を模索し、翌2007年2月、NPO(非営利団体)「いじめから子供を守ろう!ネットワーク」を設立し、事務長に就任。
2009年4月より同ネットワーク代表。7年間で5000件以上のいじめ相談を受け数多くの問題を解決に導いている。いじめ相談の傍らシンポジウム、セミナー、学校、PTA等で子供たちを守るための講演活動を続けると共に、「いじめ防止条例」の必要性を世に訴え続けている。

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