読者のリアル体験「私の生き念のせい? 相手が謎の体調不良に……」(40代・フリーライター)

嫉妬心や恨み心などの強い念いは、言葉や行動で表わさなくても、相手に影響を与えている!?
念いの力で、相手を痛い目に合わせてしまった( ! ) 読者の仰天エピソードをご紹介します。

 
10年以上前、当時私は広告代理店で働いていました。そこではいちから文章の基本を叩き込まれ、苦しい日々でしたが、一年後には何とか独り立ちできるまでになりました。

私につらくあたるひとりの男性

同僚や先輩たちはそんな私を温かく応援してくれていましたが、ただひとり、私につらくあたる男性がいました。彼は私より2歳年下の係長。いわゆる「年下の上司」です。私が担当した広告がカタチになっても、彼だけはおもしろくない様子。また、会議中に急に立ち上がって私に向かって激昂し、周囲が唖然としたこともありました。さらに、なにかにつけ私を呼び出しては、「先輩の言うことをメモしない」などと細かいことをネチネチと言うのです。

確かに思いあたることもあったので、自分なりに直すよう努力しましたが、文章の「てにをは」がおかしいなど、どう考えても彼が間違っている場合は譲れませんでした。それを伝えると、彼は激怒し、私への態度はますます感情的になっていきました。

あるとき、私は急な海外出張で、数十万円の仮払いが必要になりました。係長の彼が不在でしたが、急いでいたため、仮払い書の係長欄は空欄のまま、上位役職の方の印をもらって仮払いをしたのです。私が出張から帰ると彼は、自分の印を抜かしたことでカンカンに怒っていました。私は、もうウンザリでした。

そして――。やり場のない悔しさ、怒り……、一生懸命に抑えていた思いはある日、彼から思いっきりクシャミをかけられたことで、噴き出してしまったのです。

アイキャッチ・本文5

 

苦しむ彼をダンゴ虫に

その日の夜、私は、イメージの世界で彼をダンゴ虫にしようと思い立ちました。苦しむ彼をギュウギュウと丸め、「ヒマラヤの向こうまで飛んでいけっ!」と思いっきり蹴飛ばしてみたのです。するとどうでしょう、若干スッキリするではありませんか。翌日も、またその翌日も、“蹴飛ばしの儀式”をして就寝するのが私の習慣になりました。

 

「毎晩、顔が浮かぶ」と言われて

それから間もなく、彼は体調不良で、出勤できなくなりました。
(性格が悪いだけでなく、体まで弱かったんだ)と、私は内心冷やかに見ていました。

ある日、青い顔をして咳込みながら、一週間ぶりに出勤した彼に呼ばれました。(一体何の用?)いやいや会議室について行くと、そこで彼が唐突に切り出したのです。
「毎晩、キミの顔が浮かぶんだ」
「はあ? 何、言ってるんですか」
「ごめん、僕が、何か申し訳ないことをしているんだったら謝るから、ごめん、ごめん……」
青い顔をして一方的に謝り続ける彼を、私は茫然と見ていました。

体験5

(顔が浮かぶなんて怪しいこと言って。この人ヤバいかも)と思いましたが、謝られて悪い気はしません。確かに今まで彼には嫌な思いをさせられてきたし、謝られるのも正当性があると思いました。

「いえ、私も生意気なところはあったと思うんで」
「いや、僕も、本当にごめん」
そんなこんなで、一応和解して、ふたりで会議室を後にしました。
と、その日の夕方、急な人事異動があり、彼は違うセクションへ異動していったのです。

 

私、もしかして生霊?

それから半年たったころでしょうか、本を読んでいて、ドキッとするくだりに出会いました。
「生霊は、ある意味、死せる霊より恐ろしい」
ぱっと、彼とのことが脳裏に浮かびました。毎晩、押さえつけてダンゴ虫に丸めていたときの彼。力任せに蹴飛ばしていたときの苦しみが伝わってくるようでした。

(もしかして私、生霊だった……?)
そんなに悪気なくやっていたことが、実際に生身の人間を傷つけていたのだとしたら、それは本当に怖いことだと思いました。
以来、自分の念のコントロールに気をつけるようになったのは、言うまでもありません。

(「Are You Happy?」2012年4月号)

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