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【経済の偉人シリーズ①】繁栄思想の偉人たち「アダム・スミス」

低迷する世界経済。今こそ経済の偉人の思想が求められています。
「繁栄思想」で世界を発展に導いた偉人たちについて、鈴木真実哉さんに語っていただきました。

アダム・スミス
哲学者・経済学者〔1723年(洗礼日)~1790年〕
イギリス・スコットランドの哲学者・経済学者。“人間は「物的欲求」と「精神的欲求」が満たされれば幸福になる”という観点から、『国富論』では物的欲求、『道徳感情論(道徳情操論とも)』では精神的欲求を満たす方法を具体的に記す。人を物質と精神の両面から豊かにし幸福にする指針で、当時は哲学の一部だった経済学を独立させた。重商主義を批判し、自由競争に基づく理論を説く。「自由競争によって“見えざる手”が働き、最大の繁栄がもたらされる」という思想が有名。著書は『国富論』『道徳感情論』の2冊のみで、晩年まで改定増補をくり返した。

愛の思いを根底に経済で人間の幸せを追求した「経済界の父」

「経済界の父」と呼ばれるイギリス・スコットランドの哲学者・経済学者、アダム・スミス。
生まれる前に父親を亡くしましたが、母親に非常に愛され、自身も母親を大切にしていました。また、優しい子どもだったため、みんなに好かれていたそうです。さらに記憶力は抜群。読書家で努力家の秀才でもありました。

14歳で地元の学校を卒業し、グラスゴー大学に入学。自由主義の先生の元で道徳哲学を学び、大きな影響を受けます。やがて論理学と道徳哲学の教授に就任。アダムの講義は大人気で、名講義と呼ばれていたそうです。そこで『道徳感情論』を発表し、名声を得ます。

時のヨーロッパは、国を君主ら少人数で独占的に統治する長い封建時代が終わり、国民は突然与えられた自由な人生をどう生きたらいいかわかりませんでした。

ルソーらは、「市民が国家権力を選び、それに服従するべきだ」としていましたが、アダムは「国家や政府が締め付けるのではなく、一人ひとりが自由な社会こそが人を幸福にする」と主張。「人間は神様から『利己心』と『利他心』を頂き、その使い方を任されている。『同感』によってみんなが正しい基準を持てば、世の中はもっとよくなる」と訴えました。

さらに当時のイギリスは重商主義で、保護貿易がさかんでしたが、アダムは『国富論』で「保護貿易で潤うのは自国のみ。植民地は貧しくなる一方だ」と批判。生産性を上げる「分業論」や、分業に必要な機械や工場を買うための「蓄積論」などを説き、本当の豊かさとは「国民が一生懸命働いて、毎年生産が増え続けること。その増え続けたものこそが付加価値であり、本当の富である」と、自助努力の精神を推奨していました。

アダムの新しい経済論は世界で絶賛されると同時に、自由を肯定する危険思想ともされました。しかし、この経済論が世界に広まると、多くの国が豊かになり、特にイギリスは世界に先駆けて産業革命を達成。大英帝国を築き上げるほどに発展・繁栄しました(植民地政策などのマイナス面もありますが)。
その考え方はアメリカに受け継がれ、自由主義と自助努力の精神で世界の大国となっています。

たな経済論によって多くの国や国民を富ませ、幸福にしたアダム。その根底に愛の思いが流れていることは、彼の思想から明らかです。  

さらにアダムは、「本当に自由主義が貫徹すれば、政府の仕事は防衛(国防)・司法(裁判)・公共事業しか必要なくなる」と小さな政府を推奨。

公共事業では国民全員に最低限の読み書きを身につけさせる公教育と、社会道徳や心の教育を教える教会など宗教施設のインフラを整備するべきと主張していました。

筆などで莫大な財産を築いたアダムですが、67歳で死亡した後、資産の多くを匿名で慈善事業に寄付していたことが遺産整理をした友人たちによって発覚します。

アダムは国や国民が豊かに、幸福になる方法を説き、自身も豊かになっただけでなく、その富を再分配していたのです。
経済学の父と呼ばれるアダムは、偉大な思想家で、愛の実践者であり、富の分配者でもあったわけですね。

アダム・スミスが語る現代日本経済の指針

『アダム・スミス霊言による 新・国富論』¥1,365

『ザ・ネクストフロンティア』¥1,470

いずれも大川隆法 著 幸福の科学出版

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鈴木真実哉 Mamiya Suzuki

聖学院大学政治経済学部教授

1954年生まれ。ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ経営成功学部ディーン、聖学院大学政治経済学部教授。専門分野の金融論のほか、貨幣論、シュン ペーター理論などを研究。著書に『格差社会で日本は勝つ』(幸福の科学出版)、共著に『カオスの中の貨幣理論』(雄松堂出版)、『金融入門』(昭和堂)な ど。