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自制心のある子のほうが、自由に伸び伸び育ちます。なぜでしょう?

子育て110番自制心

新幹線の車内で

先日、出張の行き帰りの新幹線で、対照的な親子さんに出会いました。

行きの車内で見かけたのは、ママと2才半くらいの男の子。
満席の車内で、男の子はお母さんのひざに座ってパンを食べています。男の子が少し興奮した声でおしゃべりを始めると、ママは笑ってうなずいたあと、「周りに人がたくさんいるから、小さな声でお話ししようね」と教えてあげました。
男の子は幼い忍耐心を発揮して頑張りましたが、20分ほどで限界がきたので、ママは男の子の手を引いて車内をお散歩に出かけました。

帰りの車内で見かけたのは、ママとパパと4、5才の女の子2人と弟くんの5人家族。
子供3人は、無邪気に遠慮のない音量で話したり遊んだりしています。仕事を終えたお疲れモードの人々が無言で座るなか、子供たちのボルテージがどんどん上がりますが、ママもパパも何も言いません。ついに近くの男性が「お嬢ちゃんたち静かにしいや」と諭すと、突然パパがキレて「こら!」と怒鳴り、子供3人の頭を順番に叩きました。もちろん3人は大声で泣き出しました。

 

欲望と感情のコントロール

自制心というと、自分で自分を押さえつけて自由を失うような、堅苦しいイメージがあるかもしれませんが、実はその反対です。自制心のある子供のほうが、結果的に自由に伸び伸びと生きられることのほうが多いのです。どうしてでしょうか。

自制心は、英語でセルフ・コントロールと言います。何をコントロールするかというと、自分の「欲望」や「感情」です。

もし、欲望や感情をコントロールする気持ちがなかったら、子供はどうなるでしょうか。欲しい物を欲しいときに欲しがり、感情を、相手構わず所構わずぶつけるでしょう。お友だちの玩具が目についたら欲しがり、道すがらハンバーガーショップを見つけたら「食べたい!」と言って泣き叫ぶでしょう。

周りに迷惑をかけるし、世間体も悪いのでママもつらいかもしれませんが、いちばんつらいのは本人です。
自分の心から湧き出て止まらない欲望や感情に振り回され、周りなど見えず、自分の欲望をかなえることしか考えられなくなり、心はいつも焼けるように苦しいでしょう。笑顔も少ないでしょう。
しかも、周りの大人からは「あいつは見張っていないとダメだ」と思われたり、怒鳴られたりして干渉され続けます。本人も周りも「自由に好き勝手にやっている」と思いながら、実は心が欲望や感情にぎゅうぎゅうに縛られて、自由に伸び伸び生きることができなくなっているのです。

自制心は行動で学ぶものです。「ここでは静かにしようね」とか「走らないでおこうね」と、穏やかに、でも毅然と教えてあげてください。やがて、自分や周りを客観的に見る理性の力が育っていくでしょう。そして小学生になったら、勉強とスポーツで自制心は鍛えられるので、ぜひ打ち込ませてあげてください。

自制心のある子は、欲望や感情に振り回されない自由な心で、夢や希望に向かって集中して努力することができます。そして将来、安心して仕事や組織を任せられるリーダーへと成長していくでしょう。

 


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奥田敬子 

早稲田大学第一文学部哲学科卒業。現在、幼児教室エンゼルプランVで1~6歳の幼児を指導。毎クラス15分間の親向け「天使をはぐくむ子育て教室」が好評。一男一女の母。

 

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