母娘ホンネ事情 ー娘Sideー(2016年6月号)

娘にとって母親は、一番身近な女性像でもあります。だからこそ母の姿を見て悩んだり、ときには“愛されていない”と思って苦しくなったりすることも。そんな母との葛藤と乗り越え方を語った、娘3人の覆面ホンネ座談会です。

Aさん 34歳・会社員(既婚・長女)弟(32歳、24歳) 私にとっての母私の苦手なことを教え、成長させてくれました。」
Bさん 44歳・会社員(独身・長女)妹(41歳、38歳) 私にとっての母幸せにしてあげたい大切な存在!」
さん30歳・塾講師(独身・長女)兄(35歳) 私にとっての母 ちょっと厳しかったけど、成長できたので感謝してます。」

 

母親が料理をしないことが葛藤の原因!?

 親との葛藤って、誰でも一度は経験しますよね。みなさんはどうでしたか?
 うちの母はわりと高学歴なんですけど、成績についてすごくシビアでつらかったですね~。
 そうだったんですか。
 〝いい点数が取れて当たり前〟だったので、頑張ってもなかなか認めてくれない、褒めてもらえないのが本当に苦しかったです。学校の先生は成績がよかったらすごく褒めてくれたので、それが救いでした。
 それはつらいですね。
 あと、両親が共働きで、夫婦関係もあまりよくなくて。家庭内の愛情の量が少ないので、兄は荒れるわ、両親もよく喧嘩してるわで、〝もう、消えてしまいたい〟って思ってました。
 うちも共働きだったので、その気持ち分かります。母はいつも仕事優先で子供の面倒を見ないし、ごはんもなかなか作ってくれなくてスーパーのお惣菜とかが多かったので。ほかの子のお母さんはちゃんとごはんも作るし、子供の面倒も見てるのに、なんでお母さんはできないの? って心の中で責めてました。
 母親の手作りごはんって大切ですよね。ごはんはお母さんの手が触れて「元気に育ってね」とか「大好きよ」っていう思いが乗ってくるじゃないですか。
 本当にそうだと思います。私も母が食事を作ってくれないことがあったので、小学生のころから自分で作ってましたし。
 そんな小さなころから!?
 はい、料理が好きだったこともあって。でも、食事のことも含めて自分は愛されてないんだなって思ってました。
 ああ~。
 社会人になって母の大変さが分かるようになりましたけど、子供のころは分からないから。
 そうですよね。私も「お母さんは家のことをやって当たり前」という思いが強くあったので、ずっと母を裁いてました。
 子供って自分の視点でしか物事を見られないから、ついそう思っちゃいますよね。
 今考えると、娘からそう思われてたっていうことは母にとってもたまらないと思うんですよ。忙しいなかでも自分ができる精一杯のことはやってくれていたと思うので。
 大人になってから見えてくることって多いですよね。
 自分のしてほしいように愛されなかったから、〝愛されてない〟って思ってたけど、それは間違ってたんだなって、最近気付きました。
 母親によって愛のかたちは異なりますもんね。

 

母娘問題が原因で出産や結婚も遅れる?

 母との葛藤といえば、私は結婚して4年目なんですけど、子供はこれからなんです。まだ赤ちゃんを迎え入れる準備ができていないって実感してて。
 そうなんですか。
 今までお母さんが忙しそうにしていても、自分が家事を代わるとか、弟たちの面倒をみてあげるとかは一切したことがなくて。そしたら今、男性の多い職場で、気配りとか、サポートとかが必要な立場にいるんです。つまり、私の中で「母性を育む」っていうのがキーワードなんです。
 なるほど!
 できない母親を手伝いもせず裁いていた分、今度は自分がやるはめになったっていう……(苦笑)。
 自分に必要なことって、解決するまで形を変えて浮かび上がってきますよね。実は私も、結婚ってずっと〝悪の制度〟だと思ってたんですよ。
  どうしてですか?
 小さいころから父と母の仲が悪くて、いつも父が一方的に母に怒鳴ってるのを見ていたんです。それで毎晩母から父の愚痴を聞かされていて。
 しんどいですね。
 父が怒鳴る姿から男性が怖くなったというのもあるんですけど、いつも苦しんでいる母親を見て、結婚は相手を制度で縛りつけるものなんだと思っていたんです。
 そう思っちゃいますよね。
 それで、憎み合ってる両親の間に生まれた私は、存在している意味があるんだろうか? と悶々として。高校生のときに、母に「何で父と結婚したの?」と聞いてみたことがあったんです。
 そしたら?
 「家つき・車つき・姑抜き」だったからって。結婚って条件なんだって思ったら、結婚願望がサーッとなくなりました。
 わ~、キツイですね。
 そんな母をかわいそうだと思いながら、心のどこかでは恨んでいて。それで高校生のときに、母に「あなたたちを見てると、私結婚なんてしたくないんだよね!」って言ってしまって……。
 あちゃ~。

 

両親への感謝で深まった〝母娘〟の絆

 そうは言えども、長女として家族をどうにかしたいっていう思いはずっとあって。最近、ある方に両親との葛藤を相談したら「生まれてから今までに、両親からしてもらったことを思い出してごらん」というアドバイスをもらったんです。それで両親に感謝できることってないかなって考えてみたんですよ。
 へ~。
 そうしたら、父は仕事が忙しいのに休みには遊んでくれたこととか、仕事帰りに私の好物のお寿司を買ってきてくれてたこととか、いろいろと思い出して。不器用で気持ちをうまく伝えられなかっただけで、本当は愛してくれていたんですよね。
 うんうん。
 母の目線に立って考えてみたら、母は父親がいない家庭で育ったので、〝早く結婚してお母さんを安心させたい〟っていう親孝行な思いがあったんだなと理解できて。
 なるほど~。
 そしたら最近、「頑なに結婚したくないと言ってた私が結婚したら、母も結婚してよかったって感じるんじゃないかな」って思えるようになったんですよ。
 結婚に前向きになれたんですね。
 そう。両親に感謝できることを見つけていくうちに、「この両親を選んできてよかった、今度は私が幸せにしてあげたい」って心から思えたんです。
 それはすごい!!
 Cさんもご結婚はまだですよね?
 はい。実は私も20代のときに結婚を考えた人が何人かいたんですけど、そのたびに母がいい顔をしなくて……(苦笑)。
 そうなんですか。
 自分が夫とうまくいってないからか、私の結婚の話が本格化してくると、遠回しに嫌味を言ってきて。
 え~! 自分の娘なのに。
 例えば相手と電話していたら「そんなにしゃべることがあるの? 暇なのね」って言われたり、彼と母が会うことがあったら、「この子のどこがそんなにいいの?」って言われたり……。
 それ嫉妬じゃないですか?
 多分寂しかったんだと思います。最初はイラッとしたんですけど、私が変われば母も変わってくるかもしれないと思って、Bさんと同じように母にしてもらったことを一つひとつ思い出してみたんですよ。そしたらふと「生んでくれただけで感謝なんだな」って気付いたんです。成果に厳しい母親だからこそ頑張れて成績も伸びたし、今の私がいるので。
 なるほど。
 それで母に電話で感謝の思いを伝えたんです。子供のころのつらかったこととかも全部話して。そしたら電話越しで泣いてました。
 うれしかったんでしょうね。
 そうかもしれません。そうしたら今まで私のやることなすことを否定していた母が、徐々に私のこととか仕事の成果を認めてくれるようになって。嫌味も言われなくなりました。
 へ~!
 私もすごくうれしくて、結婚にも前向きになれたんですよ。あと、今までつらい気持ちを溜め込んで〝どうせ私なんて……〟と自己卑下していたんですが、我慢しても何も解決にはならないんだなって気づきました。
 親子でもちゃんと話さないと、何が嫌で、うれしいのか分からないこともありますもんね。
 与えられなかった愛を嘆くんじゃなくて、与えられた愛を見つけることが、親子の絆を深める秘訣ですね。
 そうですね!

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