子育て110番 子供が大きくはばたく育て方① 偉業を成しとげる人の共通点は、 忍耐力と克己心

ノーベル賞受賞者の生い立ち

10月、ふたりの日本人研究者がノーベル賞を受賞しました。45年以上微生物の研究を続け、感染症の予防薬の開発などで人類に大きな貢献をした大村智さん。最先端の量子物理学の分野で、ニュートリノに質量があることを実証し、物理学の定説を覆した梶田隆章さん。業績においても人物としても、日本が世界に誇れる素晴らしい方々です。
このおふたりをはじめ、日本のノーベル賞受賞者の方々の生い立ちを調べると、ある共通点が見えてきます。それは、心根正しく真面目に生きているご両親に、その子らしさを認めてもらいながらも、人間として至極真っ当に育てられているということです。
例えば大村智さんは、とてもやんちゃで負けず嫌い。そのためケンカをよくする子でしたが、就寝前には必ず家族一人ひとりにおじぎをして「おやすみなさい」と挨拶することが家族の決まりでした。やらないとたいへん叱られます。毎日家の農業の手伝いをすることも当たり前で、跡取り息子としてちゃんと仕事のできる人間になるよう育てられました。おばあ様からは、人の役に立つ人間となりなさいと、たびたび言われたそうです。
特殊な英才教育を施されたわけではないけれど、ご両親の中に「人間としてのあるべき姿」のような理想・信念があり、当たり前にきちんと育てられている。それが彼らの共通点であり、実はそこに、大成する人間の要件がつまっています。これは、今の親御さんたちにはもっとも難しいことかもしれません。

 

忍耐力と克己心が必須条件

大村さん率いる研究チームは、45年にわたる研究で450種類の新規化合物を発見。中でも年間3億人を救っているといわれる「抗寄生虫抗生物質イベルメクチン」の開発はもっとも有名です。しかし、新薬の成功確率は、通常百万分の一といわれます。
大村さんは言います。「研究者にとって大事なことは、やろうと思ったことを徹底的にやる姿勢。失敗してもあきらめず、乗り越えていくよ! という気持ちです」「今の若い人は大事に育てられたために、耐性が弱いのが心配です」
やりたいこと、やるべきことを決めたら、忍耐強くやり抜くこと。ひとつの成功で満足したり慢心したりせず、さらによいものや、もっと人の役に立つものを求め続け、現状を打破し、今までの自分を超えていこうとすること。忍耐力と克己心は、偉業を成しとげる人には必須の条件と言えます。
今の子供たちの中には、優しい大人から「無理しなくていいのよ」「できなくてもいいのよ」と言われて育つ子もいて、その場合、本当は十倍百倍の力が潜んでいても、発揮されないまま大人になります。子供には、ぜひ自分に挑戦する機会や、潜在的な力を出す機会を与えてあげたいものです。
シンクロナイズドスイミングの井村雅代コーチは、厳しいことで有名です。選手にきつい練習を課しながら「無理しいや」「無理せな強うならんで」と声をかけます。弱いままではダメだ、強くなるには無理してきつい練習をやらなければダメだ、あきらめたら終わりなんだと。そして必ず栄光をつかめと。
子供時代から、我慢すべきは我慢し、簡単に投げ出さないという心の素地をつくることが大切ですね。

Illustration by Eri Kawada

 

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奥田敬子 Keiko Okuda

早稲田大学第一文学部哲学科卒業。現在、幼児教室エンゼルプランVで1~6歳の幼児を指導。毎クラス15分間の親向け「天使をはぐくむ子育て教室」が好評。一男一女の母。