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【子育て110番】3つの「黙る」で 子供の心の力が強くなる

「私の子育て、これでいい?」――子育て中のママたちは、毎日が試行錯誤の連続です。そんなママたちに、大切な子育てのヒントをお届けします。

「静かな心」の持つパワー

幼少時、近所に裏千家茶道のおばあちゃん先生がいて、幼稚園時から高校卒業まで毎週お稽古に通っていました。木登り名人で、おそらく学校一エネルギッシュだった私ですが、お茶の稽古には不思議と喜びを感じていました。

水屋で独りお道具を準備しながら心を静め、茶道口に置いてふすまを開ける一瞬前、スッと精神を統一します。茶室には、自然体のまま背筋の伸びたお師匠さんが一人。お点前の最中、私の心が乱れ手元が乱れると、穏やかな声で「居住まいを正して」と言います。

思春期の親との葛藤や、家業の倒産という危機的状況の中でも、茶道で身につけた立ち居振る舞いと「和敬清寂」の心は、心棒となって私を支え続けてくれたと思います。

また、低学年のころに習っていた剣道の稽古では、はじめに「正座、瞑目」という心を静める時間がありました。茶道でも剣道でも、はじめに心を静めることで集中力や忍耐力が高まり、長い年月の間には心の力がついてくるということがわかりました。

 

体でおぼえる「自制心」

お子さんの中には、落ち着きなく動き回ったり、我慢ができずに泣き叫んだりする子がいます。これは、本人の性格や能力の問題というよりも、心の安定がどの程度あるか、自制心(自分で自分をコントロールする心の力)がどの程度成長しているか、に注目して見てあげないといけません。活発で元気いっぱいの子でも、集中力の高い子はいますし、反対に、大人しいタイプの子でも、目に落ち着きがなく不安そうで集中力のない子もいます。

こうした落ち着きのなさや集中力の欠如は、わりとストレートに学力不振につながります。しかし、子供自身が「これではいけない」と、自分で意識して心と行動をコントロールできるようになるのは、だいたい10歳前後からです。私は、教室の年長さんや、その上のサクセス№1の低学年の子供たちが落ち着きのないとき、体を使って自制心を目覚めさせるという方法をとります。

「さあ、全員で挑戦です。音をひとつもたてないで、イスからそーっと立ち上がり、イスを机に入れて、イスの後ろに立ちます。ゆっくりでいいから、声も音も絶対出しません。ではどうぞ」

少し前まで雑然としていた教室内は、開始5秒で異様なまでの集中力と沈黙に充ち、やがて全員がイスの後ろに直立不動で立ちます。どんよりとしていた子供たちの目に、強く美しい意志の力が宿り、輝き始めます。音を立てないというルールひとつで、子供は全神経を張りつめて体をコントロールしようとします。体をコントロールすることで集中力が高まります。そして、「沈黙して姿勢を正すと、とても気持ちが良い」ということを経験します。

宗教には「聖黙」という修行があります。言葉を発さず、心を静かに深く見つめ、智慧や悟りを深める修行ですが、子どもたちにはこんな風に教えてあげます。「聖黙とは、3つの『黙る』です。お口を閉じて黙る。体も音を立てないで黙る。そして、心も静かに黙る。黙っている間に、みなさんの頭は賢くなり、心は強くなりますよ」

おうちでも、瞑想的な音楽を流し、お子さんと一緒に「聖黙行」をやってみてはいかがでしょうか。

Illustration by Mika Kameo

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記事DATA

奥田敬子 Keiko Okuda

早稲田大学第一文学部哲学科卒業。現在、幼児教室エンゼルプランVで1~6歳の幼児を指導。毎クラス15分間の親向け「天使をはぐくむ子育て教室」が好評。一男一女の母。