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皇學館大学 現代社会学部 伝化分野 准教統文授 岩崎正彌さんインタビュー②前編(2015年4月号)

現存する国家のなかでは、世界最古の歴史を持つ日本。その食文化の根本には、日本を守り続けている神々の存在がありました。日本の伝統文化を教える岩崎正彌先生に、日本の誇るべき食文化と神々とのかかわりについてうかがいました。


◆自然の恵みへの感謝が神々への感謝に

日本は古来より、とても豊かな国でした。四季に恵まれ、海に囲まれ、人々は仲良く助け合い、豊富な海の幸や山の幸により、幸せに暮らしてまいりました。
日本人は自然の恵みに対して、「ありがたい」と思って生きておりました。その感謝の思いが自然と神々への感謝の祈りにつながっていったのです。それがそのままに神々への祭祀=祭となり、今日まで伝えられているのです。

 

◆神々にまず奉ってから私たちもいただく

祭の基本は「奉(たてまつ)る」ということです。祝詞(のりと)によって祈りを奏上し、実りを神饌(しんせん)として奉ります。私たちにとって大切な「食」を「神饌」として神々にまず召し上がっていただいてから、私たちも同じものをいただくのです。

今でも食事の前には「いただきます」と声に出し、手を合わせて感謝をいたします。この行為によっても、自ずと神様に「ありがとうございました」と申し上げる神道精神が確認されるわけです。

<食前食後の感謝の和歌>

食前感謝
静座(せいざ) 一拝一拍手(いっぱいいちはくしゅ)

たなつもの 百(もも)の木草(きぐさ)も 天照(あまてら)す
日(ひ)の大神(おおかみ)の 恵みえてこそ

頂きます

食後感謝
端座(たんざ) 一拝一拍手

朝宵(あさよい)に もの食(く)ふごとに 豊受(とようけ)の
神の恵みを 思へ世の人

御馳走さま

神道では、食前には静座、一拝一拍手の上で、食前感謝の和歌を詠じ、「いただきます」と唱和します。食後には端座、一拝一拍手の上で、食後感謝の和歌を詠じ、「ごちそうさま」と唱和します。まさしく「天照」「豊受」の大神様への感謝を捧げています。和歌の出典は、本居宣長(もとおりのりなが)の歌集『玉鉾百首(たまぼこひゃくしゅ)』より。

◆天照大神様より賜った稲穂

稲作をはじめ、日本の文化はすべて大陸から来たという説もございますが、正史である『日本書紀』には、日本を統治させるために天照大神様が天孫である瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)を高天原から地上に降ろす際に、稲穂を与えられたと記されています(「斎庭(ゆにわ)の稲穂の神勅(しんちょく)」)。

天照大神様から賜った稲穂の米は、一粒が何百粒にもなるありがたい作物です。貯蔵に適し、炊いて美味しく、それを干飯(糒)にすれば携行食にも、発酵させればお酒を醸すこともできます。稲作は、豊かな「食」による、豊かな日本文化の根本となりました。

稲作は天照大神様より賜ったのです。戦前まで、私たち日本人は学校でこうした神話を日本の真実として習ってまいりました。

敗戦後にGHQが日本を弱体化するために、神話教育を撤廃した結果、文化はすべて大陸から来たと教えられています。しかし本来は『古事記』や『日本書紀』という日本の正史こそを真実として学ぶのが、日本人のあり方ではないでしょうか。それが日本の誇りや、強さや正しさにもつながります。もう一度、歴史を見直すべき時が来ていると思われます。

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記事DATA

岩崎正彌 

茶の湯文化学会理事 / 一級建築士

1959年、東京都生まれ。茶の湯文化学会理事。一級建築士。早稲田大学理工学部建築学科、早稲田大学大学院修士課程修了。卒業後、内井昭蔵建築設計事務所に勤務し、浦添美術館、吹上新御所、京都迎賓館基本計画等に携わる。同事務所の京都研究所所長を経て退職。財団法人平安遷都1200年記念協会常任参与、池坊短期大学助教授・入学部長・教学部長などを歴任。2004年より京都精華大学芸術学部非常勤講師。中学社会教科書『新しい みんなの公民』(育鵬社)の「日本の伝統文化一覧表」執筆。