いまこそ知りたい日本神話(2013年11月号)

天武天皇の命により編纂された『古事記』(712年)と『日本書紀』(720年)。そこに描かれている日本の国の成り立ちは、実にいきいきと活躍する神々の歴史から始まります。国際化が進む現代だからこそ、自分の国の原点を知っておきたいもの。日本の代表的な神話を幸福の科学のポイント解説つきでご紹介します。

※神話には民族や伝承によって諸説あるため、代表的なものを掲載しています。

 


 

『古事記』と『日本書紀』の違いとは?

日本の神話とは、一般的に8世紀初頭に成立した『古事記』と『日本書紀』(まとめて記紀という)に書かれている神代の時代の物語をいいます。『古事記』と『日本書紀』はともに、天武天皇の命によって編纂がはじまりました。『古事記』は大和言葉を重んじた国民向けの文学的な書物であるのに対し、『日本書紀』は本格的な漢文で書かれた、海外にも通用する国内初の「正史」です。記紀は、戦前まで国史教育に用いられていました。

 

天地のはじまりと神の誕生

日本に伝わる「天地開闢(てんちかいびゃく)」の物語は、はるか昔、天と地の区別がない闇の世界からはじまる。そして、それまで一体だった世界がふたつに分かれ、地上には大地が、天上界には高天原が誕生。高天原には、宇宙の根源の神「天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)」がお生まれになり、続いて「高御産巣日神(たかみむすひのかみ)」と「神産巣日神(かみむすひのかみ)」がお生まれになって世界の創造に取りかかった(3柱を「造化三神(ぞうかさんしん)」とよぶ)。

一方、天と分かれたばかりのまだやわらかい地上には、生命の活力を司る「宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)」がお生まれになる。

最後に、高天原の守護神「天之常立神(あめのとこたちのかみ)」がお生まれになり、高天原を固定し、恒久的に神々が住む場所としたという。 これらの5柱の神々(別天神五柱)には男女の区別はなく、自然と現れては、すぐに身を隠してしまったといわれている。

 

次々に誕生した神々

別天神五柱の誕生ののち、国土の永久を守る「国之常立神(くにのとこたちのかみ)」と、大自然に生命を吹き込む「豊雲野神(とよくものかみ)」がお生まれになる。そののち、記念すべき男神と女神のペア5組が次々に誕生する。

まず、生命をはぐくむ土壌を整える「宇比地邇神(うひぢにのかみ)」と「須比智邇神(すひぢにのかみ)」が誕生。

そして、土壌に芽生えた生命に形をあたえる男神「角杙神(つぬぐいのかみ)」と女神「活杙神(いくぐいのかみ)」が誕生。

続いて、その形に男女の性別を与える男神「意富斗能地神(おおとのぢのかみ)」と女神「大斗乃弁神(おおとのぢのかみ)」。

さらに、国土を豊かにし、人間の姿を整え、繁栄と増殖を促す男神「於母陀流神(おもだるのかみ)」と女神「阿夜訶志古泥神(あやかしこねのかみ)」がお生まれになり、最後に日本国土や自然神などの万物を生み出した男神「伊邪那岐命(いざなぎのみこと)」と女神「伊邪那美命(いざなみのみこと)」がお生まれになった(国之常立神から伊邪那美命までの神々を「神世七代」とよぶ)。

そして、伊邪那岐命が禊をしたときに、「天照大神(あまてらすおおみかみ)」、「月読命(つくよみのみこと)」、「須佐之男命(すさのおのみこと)」の「三貴子」が誕生した。

 

≪ 幸福の科学的ミニ解説1≫

『古事記』の語り部・稗田阿礼は霊能者だった!

日本の神話が書かれている『古事記』は、語り部である稗田阿礼が誦習したものをベースに、太安万侶がこれを編纂したといわれています。

実は、阿礼は霊能者であり、『古事記』は日本の神々の霊示をうけて語り降ろしていた「霊言」(※)であったのです。

ただし、当時の人たちが理解できる範囲で語られているので、天地創造や宇宙の根本神の記述などは必ずしも正確とはいえないようです。阿礼を通して語らせた神々のお考えは、真実の信仰の姿を人々に学ばせ、「日本の国において、神の愛される人間像とは何か」を示そうとした、と幸福の科学の霊言集ではいわれています。(金子)

※「霊言」とは、あの世の霊存在の言葉を語り下ろす現象のことをいう。これは、高度な悟りを開いた者に特有のものであり、「霊媒」(トランス状態になって意識を失い、霊が一方的にしゃべる現象)とは異なる。

日本の主な神様

<造化三神(ぞうかさんしん)>

天上界の高天原に最初に誕生した「天之御中主神」「高御産巣日神」「神産巣日神」の3柱の神々を合わせて、「造化三神」といいます。

天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)
「天の中央に位置する主君」を意味する名を持つ“宇宙の根源神”。『古事記』には、「天地が分かれ始めたころ、できたばかりの高天原に最初に生まれた神である」という記述がある。時間や空間、事象などのすべてを包括する偉大な存在。

高御産巣日神(たかみむすひのかみ)
天地創造のときに天御中主神の次に高天原に現れた、「すべてのものの創造・生成」を司る神。古くから皇室では祭祀において重視され、豊穣を感謝する秋の「大嘗祭(だいじょうさい)」や豊作を祈願する春の「祈年祭(としごいのまつり)」で祀られる。

神産巣日神(かみむすひのかみ)
高御産巣日神の次に高天原に現れたとされる、「新たなものを生み、生成する力」を持つ神。さまざまなものを結びつける力が生命の蘇生復活にも関わりがあるといわれている。高御産巣日神とはともに「創造」を担う一対の神と考えられている。

天之常立神(あめのとこたちのかみ)
「大地の出現をたたえ、永遠の安定を願う」という意味を持つ、天地開闢(てんちかいびゃく)の際に別天神(ことあまつかみ)の五柱の最後に現れた「天」を司る高天原の守護神。「地」(国土)を司る国之常立神と一対と考えられている。

国之常立神(くにのとこたちのかみ)
天地が分かれはじめたときに地上に葦のような形をして生まれ、泥土を凝縮させて生命が宿る大地を造ったとされる神。「神世七代(かみよななよ)」のいちばん目に現れた独神(どくしん)で、「地」(国土)を司るといわれている。天之常立神と一対と考えられている。

須佐之男命(すさのおのみこと)
伊邪那岐命が禊をし、鼻をすすいだときに生まれたとされる、地上と海を支配する神。荒々しい性格で知られ、乱暴な素行から、姉である天照大神によって高天原を追放されるが、地上での活躍ぶりによって善神に変身。出雲の国を統治しながら、国造りに携わった。

天照大神(あまてらすおおみかみ)
伊邪那岐命が禊をし、左目をすすいだときに生まれたとされる女神。高天原を治める太陽を神格化した神であり、神道の信仰における最高神として伊勢神宮を中心に祀られている。

Illustration by Shinichiro Hattori

記事DATA

金子一之 

ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ、プロフェッサー

(かねこ・かずゆき)1964年生まれ。駒澤大学経済学部経済学科卒業。1990年より幸福の科学に奉職。幸福の科学指導局、支部長、書籍編集部、メディア文化事業局、 ヤング・ブッダ渋谷精舎副館長、総本山・那須精舎館長などを経て、現在、ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ、プロフェッサー。著書に、『修行のプロフェッショナルを目指して』(人間幸福学叢書)、『「自分の時代」を生きる』(幸福の科学出版)など、編著に『HSUテキスト 1 創立者の精神を学ぶⅠ』『HSUテキスト 2 創立者の精神を学ぶⅡ』、共編著に『HSUテキスト 4 基礎教学A』(いずれもHSU出版会)がある。